浜甲子園さくら街
調和と変化のある美しい街なみ
- 昭和30年代に建設された浜甲子園団地は、UR都市機構の建替事業によって、Ι期着手地区が「浜甲子園さくら街」として、生まれ変わりました。景観コンセプトは、「調和と変化のある美しい街なみ」。スリムな高層棟と多彩な中層部分は、分節デザインによる小さな単位が建ち並び、気持ちの良いスケールの美しい街なみを実現しました。


街なみづくり
建物デザイン
- マスターアーキテクト方式※により、一定のルールのもとで、個性あふれる建築家の共演により、「浜甲子園さくら街」の個性を演出しています。
建物ファサードは、既存の集合住宅の高さに近い5階の高さで上下の外観を明確に区分するとともに、小さく分節したユニットにより、リズム感のある街並みを構成しています。また、明るく軽快な色合いで「浜の手のまち」らしさを表現しました。




- ※マスターアーキテクト方式とは
街づくりにおける手法の一つで、マスターアーキテクトが複数の建築家を統括し、それぞれの個性を活かしながら、街全体の統一を図っていきます。「浜甲子園さくら街」では建築家の江川直樹氏をマスターアーキテクトとして選定し、3つのデザインユニット(10の設計事務所で構成)と共同で街なみづくりを進めました。
マスターアーキテクト 江川直樹氏((株)現代計画研究所 大阪事務所長)
街なみ景観の誘導
- 「浜甲子園さくら街」では、周辺環境との調和、良好な街なみ形成の誘導及び保全を目的に、都市計画法に基づく地区計画を導入し、建物の最高高さや壁面位置の制限を設けています。
街のイメージを形成する街路沿いは建物の最高高さを20mまでに制限しています。敷地の中心部においても、北側斜線と合わせて最高高さは45mまでとしています。
また主な街路沿いは、緑豊かなゆとりある歩行者空間を形成するために、壁面位置を道路境界線から3~5m後退させています。

空間形成コンセプト
暮らす人にやさしい街空間

模型写真は設計図を元に作成しています。設計の変更、改良などにより、実際とは異なる場合があります。
なお、後工区の土地利用計画は未定です。(平成17年7月現在)
生物生息環境の維持・向上
- ここに住まう動物や植物にもやさしい街となるように、自然との融合もテーマのひとつとして取り組みました。
チョウのすめる環境づくり
- 浜甲子園団地内の環境がチョウ類の生息に適していることが、生物環境に関する調査でわかりました。そこで、「浜甲子園さくら街」では、このチョウ類などの昆虫に必要な生物生育環境の再生に努め、昆虫類が生息しやすい環境づくり、さらにチョウ類を餌食とするモズなどの鳥類が飛来する空間づくりの取り組みを計画しています。

百年の森づくり
- タブノキやスタジイなどの郷土樹種を用いて時間の経過と共に風格を増していくような森(鎮守の森=百年の森)を目指しています。

ランドスケープデザインコンセプト「空・道・緑・人」
- 抜ける<空>、ゆるやかに曲がる<道>、青々とした<はらっぱ>、といった従前の景観や、長年この地で育まれてきた木々や石積みの面影を残すことで、住み続ける方の思い出を継承するとともに、豊かなコミュニティ活動を育むことのできる屋外空間を創出しています。
小道と樹木を継承した「さくら通り」
- さくら通りは、かつての団地内通路とプレイロット沿いにあった桜を残した通りです。かつての記憶の継承と同時に、新しく誕生した「浜甲子園さくら街」の名称にも継承されています。
おおらかな広がりのある「はらっぱ」
- 駐車場の増設で減ってしまった住棟間に広がる「はらっぱ」は、浜甲子園団地の魅力の一つでした。そんな原風景ともよべる「はらっぱ」を、鳴尾川の親水プロムナードにつなげ、ゆったり確保しています。




共同花壇の設置
- 園芸活動を通したコミュニティ活動の場所として、共同花壇と休憩スペースを一体的に整備しました。共同花壇には雨水を溜め再利用できる施設も設置します。

ゆとりのある歩行者空間の創出
- 既設の歩道と一体的な歩道を敷地内に確保。紅葉の美しいモミジバフウの街路樹を配置し、潤いとゆとりのある歩行者空間を、街の都市軸になるように計画します。

ナンキンハゼの並木道
- 新緑、花、紅葉、果実と四季の変化が実感できるナンキンハゼの並木と、歩行者が見て楽しく潤いを与える緑の空間を提供します。

鳴尾川親水プロムナード
- クロマツ・エノキなどの緑に被われた土手と川面が見える親水プロムナードは、毎日の暮らしに潤いをもたらします。

浜甲子園さくら街
- 住所:兵庫県西宮市古川町、枝川町
最寄り駅:阪神本線「甲子園」駅からバス約4分、徒歩約2分
地区面積:4.3ha
設計者:UR都市機構西日本支社
竣工年度:第1期平成17年10月、第2期平成20年5月予定