リボンシティ(川口)Renovation
2010年1月UP
リボンシティ(埼玉県川口市)における、大規模工場跡地の複合都市への再生について紹介いたします。
リボンシティの概要
事業概要
- サッポロビール埼玉工場は、平成15年9月に80年間の歴史に幕を閉じ、約12haの工場跡地では複合都市開発がスタートしました。
- 「地域に貢献できるまちづくり」を開発のテーマとして、跡地は工場閉鎖から3年半という短期間で再生し、平成18年春に新たなまちに生まれ変わりました。

立地状況
- リボンシティは、JR京浜東北線川口駅の北東約800mに位置しています。
- 敷地は平坦で、周辺は住宅と工場が混在する市街地で、近年は工場から集合住宅等への土地利用の転換が進んでいます。

再生までの歴史
- 多様な産業が育つ地という江戸時代以来の川口の地域特性を活かし、大正12年、先端的設備を要したサッポロビール埼玉工場の前身が川口並木元町に建設されました。
- 会社の合併や敗戦後の財閥解体、昭和39年の社名変更を経たサッポロビール埼玉工場は、一日のビール生産が大ビン換算で160万本という大工場でしたが、平成15年9月、生産の集中合理化のため工場を閉鎖し、80年間の歴史に幕を閉じました。

開発におけるコーディネートについて
UR都市機構のコーディネートによる開発
- UR都市機構は、かつてサッポロビールとともに、東京・恵比寿の恵比寿ガーデンプレイスや名古屋のアーススクエア千種などの工場跡地の再開発事業を行いました。こうした事例を踏まえ、埼玉工場跡地の再開発事業についても、UR都市機構はパートナーとして選ばれました。
- 工場跡地利用計画策定のコーディネート業務における目的は、公共団体の上位計画(川口市総合計画・川口市都市計画基本方針・川口市住宅マスタープラン・川口駅周辺地区住宅市街地整備総合支援事業)と土地所有者(サッポロビール)の意向を踏まえながら、民間事業者ニーズに基づいた土地利用計画案と整備プログラム案を土地所有者に提案することでした。
- 土地利用計画の骨組みを策定するにあたり、UR都市機構は、埼玉県・川口市・UR都市機構による意見交換会を開催し、前者に学識経験者を加えた基本構想策定委員会を設置して、検討を重ねました。
- これらの成果をまとめた「川口並木元町地区開発計画への提言」は、委員会と連名でサッポロビールに提出されました。
- サッポロビールはこの「提言」を受け、「開発計画の方向性」をまとめて、川口市より開発の合意を受けました。その内容に基づくプロジェクトの実現に向けて、サッポロビール・川口市・UR都市機構の3者は協力してプロジェクトを推進していくこととなり、UR都市機構は事業段階においても委託を受けて、プロジェクトのコーディネートを実施しました。

リボンシティのまちづくりの考え方
1.「川口都心」としての都市機能・ライフスタイルのあり方を追求しています
- 「古いもの」(川口を代表する工場=ものづくりの拠点)と「新しいもの」(市役所に近い都心エリア活性化の起爆剤)との融合が「川口らしさ」
- 都市機能やアートギャラリー(ものづくり拠点)、周辺に貢献する大規模公園、シネコンを含む大規模商業施設、保育所や老人ホームなど、多世代の都心ライフを支える多様な施設の導入へ
- ライフスタイル:「少しアップグレード」「カジュアルに都心生活を楽しむ」「ヤングファミリーと活動的シニア」

2.「まち歩きを楽しむ空間」として2つの通りをデザインしています
- 「まち歩きが楽しい都心空間の実現」~大規模工場跡地のため回遊性が低く、地域から孤立した敷地を「地域と結ぶ」、2つの通りの創出へ
- 地区を束ねる骨格空間として、綿密なランドスケープ調整により、統一感のある沿道景観の実現へ

3.ディベロッパーへのPR(ライフスタイル提案の継承・発展)を行います
- 住宅街区では、多様な機能(公園やショッピングモール等)がすぐ近くにあることをアピール
- 「自然を感じる」、「生活シーン」、「コミュニティ」などのキーワードからライフスタイルを提示

リボンシティのビジョンとコンセプト
開発計画の方向性における基本的な考え方である「川口市の都市部における「まち歩き」が楽しい新しい都心空間の実現」を踏まえ、まちづくりの考え方を整理しました
ビジョン
「川口の新名所づくり」 (新しい市民文化ゾーンの創出)
地区のバリューアップと共に、地域文化に貢献する交流空間を想定し、周辺地域にない近隣公園と共に、アートギャラリーによる文化発信機能を備えます。
コンセプト
「川口都心の再生 ~まち歩きが楽しい都市空間の実現~」
~少しアップグレードでカジュアルに、都心ライフを楽しむヤングファミリーと活動的なシニア~
まち歩きが楽しい、周辺より少しリッチな空間にすることで、ターゲット層の吸引を図ります。
景観形成の方針
「歩行者空間アクティブモール」
「まちを繋ぐ緑」
「様々な都市機能が複合した一体的な市街地をつくる」
「安心・安全な空間づくり」
これらの方針を基に、まち全体のイメージを高める具体的な景観調整を進めます。

「リボンシティ」愛称の由来

愛称「リボンシティ」は、サッポロビールの清涼飲料水のキャラクターである「リボンちゃん」、ビール工場跡地が魅力的な複合都市へ再生(Reborn)すること、地区内を縦横に走るアクティブモール(歩行者専用通路)などにより、街と街、各施設が、「りぼん」でやわらかく結ばれることをイメージしています。