街に、ルネッサンス UR都市機構

UR賃貸住宅 団地景観フォト&スケッチ展2016 審査の風景

2016 審査の風景

審査総評

※敬称略

大西 みつぐ (写真家)

非常に内容が充実していました。復興中の工事現場の風景があったり、悲しみを象徴するような建物やモニュメントがあったり、お祭リがあったり、応募された皆様の目線で時の経過をきちっと伝えていこうという視点がはっきりしてきました。写真を上手く写そうとか、構図をしっかりしようとか、美しい色彩を表現しようというような技巧に走ることなく、素朴に、ストレート に応募された皆様の現在を記憶して行くことが、この復興の歩みの記録として、しっかり息づいていくことだと思いました。

大西 みつぐ (写真家)

千葉 学 (建築家)

震災から5年も経つと、被災地の方たちにとって極めて特異な状況だった造成や工事の風景が、日常の風景になっています。その中にも、次に向かう気づきを積み重ねて行こうとしていたように感じられました。逆に、まちが復興され、被災地の風景が見えなくなってきている中で被災地の状況に、もう一度目を向けられるような作品も多くあって、震災から5年が経ったということが象徴されていたのではないかと感じました。

千葉 学 (建築家)

なかだ えり(イラストレーター)

復興の作品について、以前はインパクトの強い大漁旗とか、被災した船などが多かったと思いますが、震災から5年が過ぎて、日常を取り戻そうとした伺気ない風景に被写体が変わってきています。年月が経ち、被災した方も、被災地を訪れた方も含めて、少しずつ自然体に戻ろうとしている前向きな光のようなものが感じられました。また、「忘れてはいけない」という被災地からのメッセージがあると思いますが、応募者の方からも“伝えたい”という心意気が感じられて非常に良かったです。

なかだ えり(イラストレーター)

池邊 このみ (ランドスケーププランナー)

震災から5年が経ち、3年目くらいまでは復興というと暗い写真が多い中で、元気になるような、応援できる写真を評価していましたが、今回は海産物だとか、そこで働く若い方たちが、まさに復興が住宅や道路や構造物だけでなく、産業の方にも行き渡ってきたということが伝わってきました。また、スケッチについては非常にレベルが高くなってきた印象を受け、工事中の重機の音が聞こえてくるような作品、あるいは人々の産業に対する活気や喜びなどの生活が伝わってくるような作品に感動を得ました。

池邊 このみ (ランドスケーププランナー)

コメント

フォト大賞

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「プロムナード」
大西 みつぐ
シンプルながら写真的なセンスがあり、構成力のある作品です。無機的な建物として直線で捉えているだけでは面白くないのですが、このパースペクティブ上に人々の日常の暮らしがあって、休日には人々がこのプロムナードに集うことを暗示させる暖かいイメージがこの作品にはあります。
池邊 このみ
壁の方に映っている細やかな金属の影と道に続いている風景が無機的でありながら、造形的に非常に面白い風景だと思いました。

優秀賞
(大西 みつぐ 選)

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「夢いっぱい」
大西 みつぐ
カメラを構えて引き気味に全体像を入れ、手前の花が光を上手く受けて、始業式に向かう子どもたちに重なっています。中庭は影になっていますが、光の質により朝の雰囲気も出ています。ウルっとさせるメッセージと併せて、精いっぱいの大きさの日常的なカメラアングルが評価できました。

優秀賞
(なかだ えり 選)

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「今日もここから」
千葉 学
風景の断片をコラージュするように寄せ集め、自分が見ている風景をもう一度組立て直している、本当に生き生きとした作品です。
なかだ えり
風景を見ている自分自身も描かれているというスケッチならではの視点を持つ面白い作品です。決して自己中心的な感じがなく、自分の子どもも含め、団地にいる子どもたちを平和に見守って愛していることが伝わりました。

スケッチ大賞

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「小さなスケッチ旅行」
大西 みつぐ
ちょっと考えつかないような視点で表現されているのと、植物画が非常にしっかりときれいに描けている。子どもにこの1枚を見せると、色々とお話が出来そうな、絵本的な世界がある非常に楽しい作品です。
なかだ えり
団地の風景のワンシーンを切り取ったのではなく、方位まで入れて、イラストマップのように描いています。団地がとても好きで暮らしているということが良く伝わってくる、面白い作品です。
池邊 このみ
それぞれの植物が植物図鑑のように美しく描かれている一方で、団地の配置図のようにテクニカルにも描かれています。会話が見えてくるようなイラストで、物語が非常に生き生きと描かれた、少し次元の違う世界観を持った作品です。

キッズ・ジュニア賞

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「夕ぐれどきのURちんたい」
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「みんなの団地」
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「にっこり おうち」
大西 みつぐ
それぞれが作者の年相応の良さがあり、甲乙つけがたい作品です。「みんなの団地」はお菓子を置いても似合うようなメージがあって、とても気持ちが明るくなる作品です。
千葉 学
「みんなの団地」は団地の中で目にする風景のカタログのように並んでいるような描き方ですが、その場の情景や奥行感など色々と表現されている面白い作品です。

優秀賞
(千葉 学 選)

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「この空が好き①」
大西 みつぐ
非常に若々しい作品で、カメラを傾けたことにより、一つの動きが出ています。子どもがジャンプするようなイメージと鯉のぼり、団地ができた時からずっと育っているような高い木によって、子どももスクスクと育っているような感じが伝わって来ます。太陽光が子どものほほを照らしているライティングが非常に良いです。
千葉 学
とても動きがあり、子どもがまさに動き出しそうなダイナミックさや日々の日常の風景が一瞬切り取られた感じの様子がとても魅力的な作品です。

優秀賞
(池邊 このみ 選)

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「櫻の河」
千葉 学
団地の風景の間にこれだけ壮大な桜が川のように流れて行く風景をよく見つけた作品です。
池邊 このみ
アイストップまで全部続いてパースペクティブに桜が連なっていて、団地で初めての春を迎え、引っ越して来て良かったという喜びがメッセージとともに表現されていました。
審査の風景
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