風力発電
再生可能エネルギーを活用する風力発電は、環境に配慮した発電システムであり、欧米を中心にその導入が進んでいます。近年では、我が国でも関連法令の改正や電力購入制度の整備などを背景に、その導入が活発化してきています。
しかし、都市部における風力エネルギーの利用については、発電効率などの経済的な問題をはじめ、システム導入に伴う地域環境との景観的親和性といった課題から、民間等で実施した例は極めて少ないのが現状です。
一方、風力発電システムは環境に対して極めて優しく、また災害時のバックアップ電源としても利用が期待できることから、都市部の基盤整備を実施するにあたって、今後は有効なメニューの1つになりうる設備であると考えられます。
UR都市機構では、都市住宅技術研究所において、市街地における地上付近(3~5m)と高層部(100m程度)における風況調査及び発電量等のデータを収集することにより、都心部へのシステム導入に対する問題点を明らかにすることを目的とした、風力発電システムのフィールド測定を実施しています。
また、ハートアイランド新田(新田地区)においては、モニュメントとしてデザインした風車を設置し、発電電力を景観照明(インターロック部に埋め込んだLED照明等)に利用して、景観にも配慮したモニュメントとしての風力発電システムの導入を行うなど、実際の事業フィールドにおいても、環境への配慮や費用対効果を考慮しつつ、一部の団地で採用しています。
今後は、都心部の公園や街路、建物屋上などへの汎用的な導入を想定し、小型高効率でかつ地域住民との共生が可能となるシステムの開発が望まれます。