街に、ルネッサンス UR都市機構

インタビュー

集合写真

 「アーベイン博多駅前ファースト」は、平成26年にプロジェクトがスタートして以来、延べ4万人以上が携わり、約4年の歳月を経て無事竣工を迎えた。
その計画、設計、施工を手がけた者たちが一堂に会し、このプロジェクトへ込めたそれぞれの思いを振り返った。
< インタビュー実施日:2019年2月14日 >

博多駅前で事業をするということ

対談の様子1

 地下鉄博多駅から徒歩3分。全国的に見てもトップクラスの一等地に新築のUR賃貸住宅を計画するにあたり、既存のUR賃貸住宅を超えるグレードを目指すことは必然だった。また低層部にバスターミナル施設を整備するという条件が、限られた敷地での事業計画をより困難にさせた。グレード感の高い都市型住宅を目指すこと、「博多」という場所性へのこだわりが計画を進めるキーワードとなった。

コンセプトは「むすぶ」「つつむ」「つなぐ」

 バスターミナル施設の上に住宅。この「動」と「静」を心地よく共存させることが、設計チームにとって大きな課題だった。異なる人の流れを「むすぶ」場所として動線設計に苦心した一方で、試行錯誤を重ね、住宅部分全体と、住宅・施設それぞれのエントランスを門型のデザインで「つつむ」ことで、それぞれの構えをつくる工夫を施した。また景観照明にも力を入れ、博多周辺の景観照明を数多く監修する松下美紀氏が手がけた光のデザインは、駅前の景観に建物を「つなぐ」ポイントの一つとなっている。

 住宅のエントランスホールは、建物の第一印象を決める場所として特にグレード感を高く意識した場所である。中でも目を引く一連のアート作品はこのプロジェクトのために画家の片山雅史氏に制作を依頼したものであり、「博多」を題材としている。また住戸の設計にあたっては72プランもの提案を行いながらも、「博多」というキーワードには頭を悩ませたという。最終的に型式は21まで厳選されたが、そのカラーバリエーションは「博多」の伝統工芸をイメージしたものとなり、落ち着きと品格を感じさせる空間を生み出している。

説明する関係者

工事への向き合い方が変わる時代

 既成市街地の狭小な敷地での建設工事は苦労の連続であった。隣接する住宅や施設への配慮と工事の段取りとのせめぎ合いで、狭小敷地で安全管理や工程管理の厳しさを感じた場面も多くあったという。バスターミナル施設と共同住宅からなる複合建築物であることのほか、公的賃貸住宅として、経済性、構造躯体の安全性や省エネ性能に対するURの要求水準の高さが、一般的な14階建ての建築物と比較して施工条件の厳しさを増していた。

談笑する職員

 一方で施工者の立場としては、効率的な工法等を提案することで工期の短縮にも努め、限られた工期を走り抜けた。「かつては工期末が近づけば夜間作業も含む突貫工事で仕上げるのが普通であったが、今はそのような時代ではなくなっている。施工業者としての適切な労務管理、工程管理は当然ながら、工事を発注する側の適切な工期設定も今後は特に重要になる。」と当現場の所長は語った。

多世代の暮らす住宅として

対談の様子2

 アーベイン博多駅前ファーストには、事業の性格上、世代・世帯のいずれをとっても幅広い方が住まわれている。団地のような豊かな屋外空間は無い中で、お住まいの方同士が交流できる場所として、エントランスのサロンスペースや多目的室を準備した。日々の生活を豊かにする一つの場として、そして新たなコミュニティが生まれる一つのきっかけとして、活用されていくことを期待している。

 平成の終わりに生まれた「アーベイン博多駅前ファースト」が、平成元年に始まった「アーベイン」ブランドのフラッグシップとなった。計画、設計、施工に携わったすべての関係者が、それぞれに誇りを持ち、気持ちを一つにして臨んだ集大成として、ここが記憶に残る場所になることを願っている。

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