Profile

真鍋 耀平

入社:
2018年
専攻:
創造理工学研究科建設工学専攻
研究内容:
医療福祉環境の改善による空き家問題の解決

大学では土木一般を、大学院では都市計画を学ぶ。入社後は、都市再生関連の設計・発注業務に従事。2020年より現職。福島県双葉町の復興支援工事を担当している。

Career

  • 2018年:

    東日本賃貸住宅本部 技術監理部 設計第1課(現設計部 都市再生設計第1課)
    主に新潟県長岡市の建物解体工事の設計・発注業務

  • 2020年:

    福島震災復興支援本部 復興支援部 双葉復興支援事務所 工事課
    双葉町中野地区・駅西地区における設計協議及び工事の施工調整

地元住民の生活を取り戻す。
それを願い、「まちびらき」に取り組む。

大学院では空き家問題を研究していたそうですね。

都市部の空き家問題がテーマでした。空き家の解消には、暮らしに必要不可欠な医療福祉環境の改善が有効ではないかと考え、研究しました。やがて就活の時期を迎え、私はURの地域医療福祉拠点化への取り組みを知りました。私自身が抱えていた問題意識と重なる部分も多く、非常に共感しました。また、職員の方々にお会いする中で、仕事に対する真摯な姿勢を目の当たりにし、「こういう人たちと一緒に働きたい」と、強く感じたことを覚えています。

福島県での復興支援とは、どのようなものですか。

ご存知の通り、2011年の東日本大震災の原発事故により、12市町村に避難指示が出されました。10年が経った現在では除染により、避難指示区域は徐々に解除が進んでいます。一方、いまだに避難指示が続いている地域が存在するのも事実です。これらの地域に対して、近い将来の解除を目指して住民を迎え入れるための準備を行っています。私自身は、双葉町、特に中野地区と双葉駅西側第一地区において、基盤整備を中心とした工事を担当しています。

「ありがとう」
その言葉が、かけがいのない意義。

さらに具体的な業務を教えてください。

2020年3月、双葉駅と、駅へのアクセス道路を含む区域に対する避難指示が解除されました。JR常磐線も全線開通を果たし、それは地元にとって希望の光となりました。そしてほぼ同時期に、URは双葉駅の西側の工事に着手しました。URが手がける領域は、インフラ、住宅、商業・業務施設など多岐にわたりますが、私の担当はインフラと宅地の一体的な基盤整備。2022年秋に予定されている居住開始、つまり「まちびらき」に間に合うよう、さまざまな関係者の意見を取りまとめながら、工事の進捗管理や関係者間の調整を行っています。限られた工期の中、全体を俯瞰しながら課題を抽出し、臨機応変に対応することには難しさもあります。しかし、住民の方々が予定通りに生活を取り戻せることを願い、全力で取り組んでいます。

重要な立場がゆえに、プレッシャーも大きいのではないですか。

「事業全体を俯瞰・調整することがURの役目」。入社前から分かっていたことですが、いざ自分がその立場になってみるといまだに緊張感を覚えますね。ただ、入社直後から様々な経験を積み重ねたおかげで、今の業務にも対処できていると思います。たとえば、1年目に経験した都市再生事業。再開発に向けた建物解体の条件決めや建物解体にあたってのコスト算出を担当したのですが、多くの発注先との調整に不安を覚えました。そこで始めたのが、丁寧な資料作成。情報を関係者にしっかり共有し、正しく理解してもらえるよう心がけたのです。それだけが理由ではありませんが、業務が無事に完了した時の達成感は格別でした。こうした経験が積み重なって、今の私があるのだと思います。

復興支援という仕事には、どのような意義を感じていますか。

現在、私の工事エリアには誰も住んでいません。しかし、工事の作業エリアを確保するために、地権者に事情を説明して土地をお借りすることがあります。すでに福島を遠く離れて生活している方も多いのですが、まちが復興すれば、再びここで暮らす日が来るかもしれない。そんな方々から聞く「ご苦労さま。ありがとう」の言葉は、仕事の意義を思い起こさせてくれる、かけがえのないものだと感じています。

基盤整備の現在を教えてください。

基盤整備が完了した土地は、順次、双葉町に移管していきます。双葉駅西側第一地区での最初の区画の引き渡しは、2021年11月に行われました。現在、宅地の一次造成はほぼ完了し、インフラや道路の整備に取りかかっています。目下の課題は、地中に電線を通す共同溝の整備。1本の道路の中に、水道・下水道・電線共同溝を新たに整備する必要があり、埋設深さが最も浅い電線共同溝の整備を完了するまでの工程管理が重要です。それらの工事進捗状況の確認もあって、最低週に一度は現場に出向きますが、そのたびに景色が変わっていくのが分かります。この変化をみるたびに、やりがいを実感します。

Day Schedule

  • 9:00

    出社。メールチェック

  • 10:00

    現場での定例会議に向けて、
    関係機関と協議のための資料作成

  • 11:00

    車で移動。双葉町の工事現場へ

  • 12:00

    現場着後、昼食

  • 13:00

    現場の状況確認

  • 13:30

    現場定例会議。
    進捗状況確認、課題の洗い出しと共有など

  • 16:30

    定例会議を踏まえて現場状況確認

  • 17:00

    帰社。各種事務処理、メールチェック

  • 18:30

    退社

景色が変わる。
変化が生まれる。
その中で、自分の視点も変わっていく。

My Future

思えば、当初の志望動機とはかなり異なる業務ですね。

そうですね。もともとは団地と地域医療をつなぐような仕事に関わりたいと思っていました。しかし、都市再生や災害復興を経験した今、分かったのは「事業分野にこだわる必要などない」ということ。どの分野においても、私たちURの仕事は課題解決にほかなりません。課題解決のために必要なのは、多角的な視点と広い視野です。まだ都市再生と震災復興の2部門しか経験していませんが、それぞれの視点から浮かび上がる課題の違いに、日々気付かされているところです。まずは新たなスタートを切る双葉町をしっかりと見届け、その後は視点と視野をさらに鍛えて、よりよい提案ができるように成長したいと思います。