Profile

中田 俊也

西日本支社 都市再生業務部
うめきた都市再生事業所 事業調整課

1999年入社。JR久宝寺駅前の再開発プロジェクトを皮切りにキャリアをスタート。2002年、「うめきた1期区域」の全体開発コンセプト策定などに従事。その後、関西でのニュータウン事業等に携わり、2017年~2021年に再度、「うめきた2期区域」の担当として事業の全体調整に従事。

関西最後の一等地。
その再開発。

一日の乗降客数約250万人を誇る西日本最大のターミナルエリアに位置する梅田貨物駅跡地。大きさ約24ha、「関西最後の一等地」とも言われるこのエリアで、産学官連携により、国際競争力の高い知的創造都市に生まれ変わらせる「うめきたプロジェクト」が2002年に始動した。うめきた1期区域、うめきた2期区域と段階的にまちづくりを進め、URは始動時からプロジェクト全体のプロデューサーとして関与している。その黎明期にプロジェクトメンバーとして参画したのが、中田だ。「もともと大阪の再開発に携わりたかった私にとっては、大きな機会だと感じました。将来どのようなまちになるのか、とてもワクワクしながら取り組んだことを覚えています。」
当時携わったうめきた1期区域の業務のひとつが、開発全体のコンセプト策定である。国際コンセプトコンペを実施し、世界中からアイデアを募る大規模なものだった。コンペを踏まえ、うめきた1期区域は、2013年にオープンした「グランフロント大阪」を核に、ショップやオフィス、ホテル、分譲マンションで構成され、イチョウ並木やせせらぎの道など豊かな植生が敷地内に配置されている。起業支援や企業の育成にも力を入れており、研究機関や企業、クリエーターなどと来館者の交流施設「ナレッジキャピタル」を備え、国内外から注目されるエリアになっている。

「みどり」と「イノベーション」の
複合拠点の実現

2005年に中田は本プロジェクトを離れたが、2017年から、うめきた2期区域の担当として、再度本プロジェクトのメンバーとなった。
「異動の辞令は率直に嬉しかったですね。20年以上のキャリアの中でも、うめきたへの思いは特別なものがありますから。」
うめきた2期区域では「『みどり』と『イノベーション』の融合拠点の実現」を目指している。これは、他の都市にはない大規模かつ魅力的な「みどり」が人間の創造性を刺激する環境を創出し、世界からその環境を求める人材や技術、資本が集積していくような常に成長し続けるまちを目指すものだ。
中田が着任したとき、うめきた2期区域では、2014年度に決まった「うめきた2期区域まちづくりの方針」に沿って、いくつもの事業が同時並行で動いていた。中田のミッションは、これらを束ねる全体調整だ。
URが事業地区内の土地を先行取得することでまちづくり方針に沿った民間誘導を適切に行いながら、大阪市とJR西日本による「鉄道の地下化・新駅設置」、URによる「土地区画整理と防災公園整備」、2018年度からは民間事業者による建物の建設と、UR自らも事業を行いながら、事業全体の進行を調整してきた。
そして、2023年春の鉄道地下化切替の完了及び新駅開業、2024年夏の民間建物施設の一部開業及び道路・公園等の都市基盤の一部供用を開始する先行まちびらき、2026年度のまちの全体完成に向けて、現在様々な工事が同時に進行している。「計画から設計、工事までのすべてが調整の対象で、難しい調整も数多くあります。自分が持てる力を最大限に発揮して取り組んでいます。」

自分の持つ、すべてを出し切る。

うめきた2期区域における中田の業務は、非常に多岐にわたる。
「事業者間の役割分担調整、民間提案を取り入れた公共施設整備を実現するための行政機関協議、地下インフラの埋設計画、輻輳する工事間の工程、ヤード計画の総合調整など、多岐にわたります。多数の工事を決められた期間内で同時並行的に進めていく必要がありますが、設計や工程の検討熟度は工事によってまちまちです。調整の方向性を見誤ると、大きな手戻りやスケジュール遅延を起こしかねません。これを回避するため、調整すべきテーマに応じた定例会議を立ち上げました。関係者が一堂に会したうえで、課題を明確にし、解決に向けた意見調整を継続的に行うことでリスクヘッジに取り組んでいます。」
プロジェクトを前進させるためには、関係者間の合意形成が欠かせない。しかし、容易に着地点を見出せるわけではない。意見の食い違いや認識のずれを調整しながら、プロジェクト全体にとっての最適解を導くことが、常に求められているのだ。「事業や工事についての知識、コミュニケーションスキルなど、今の自分が持つすべてを出し切るつもりで会議に臨んでいます。関係者全員がface to faceで会話できる場は非常に重要です。困難さや苦労は常に付きまといますが、国内屈指のリーディングプロジェクトに携わっている実感が、モチベーションの源になっていますね。」

多彩な経験を、社会のために。人のために。

うめきた2期区域プロジェクトは、2021年に入って急加速している。経験したことがないほどの調整業務を遂行するため、中田は走りながら考え続ける。
「課題の先延ばしは許されず、スピード感が求められます。主体的に課題解決の方向性を示しながら、全力で最適解を追求しています。URでの20年のキャリアの中で、全体を俯瞰する視点を培ってきました。それらをフルに活かして、プロジェクトを着実に進めていく力になりたいと思っています。」
うめきた2期区域では、2023年春に鉄道地下化が完了し、新駅が開業。2024年夏には、民間建物施設の一部開業といった「先行まちびらき」がある。すべてが完成されるのは2028年の予定だ。中田がうめきた2期区域の担当に着任してからすでに5年。このまま完成を見届けたい思いはあるが、固執はしないと中田は言う。「私は基盤整備を中心に、計画から設計、工事まで、満遍なく多彩な業務を経験してきました。これらの経験を活かして、マネジメントの役割を果たしていきたいと考えています。まちづくりとは、社会基盤をつくること。つまりURで働くことは、人々の生活に不可欠な社会基盤づくりに関われるということです。自分の手がけた仕事が、社会のため、人のためになっていく。その思いをもって、どんな仕事にも前向きにチャレンジしていきたいです。」


※取材時の情報となります。