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賃貸物件の退去費用。内訳や負担区分、費用を抑えるポイント

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賃貸マンションやアパートの退去時に、建物や設備の補修費用を請求されることがあります。これは借主に原状回復義務があるとされているためですが、入居時とまったく同じ状態に戻すということではありません。実は原状回復の規定が法律で明文化されたのは2020年で、費用負担でトラブルになるケースも少なくないようです。ここでは、ちょっと分かりづらいルールを基本から解説。退去時の出費を抑えるポイントも紹介します。

賃貸物件の退去費用の内訳や敷金との関係

賃貸物件の退去時に発生する費用の内訳は、原状回復費用とハウスクリーニング代が主になります。負担の条件や対象範囲、支払いの方法など、基本から確認しましょう。

●賃貸物件の退去費用の内訳
・原状回復費用
結論からいうと、賃貸物件に入居している期間に発生した、すべての汚れや損傷の修繕費用を負担しなければならないわけではありません。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」としています。
つまり、明らかに通常使用の結果とはいえないもの、わざと壊したり、自分の不注意で傷を付けたり、掃除を怠ったことで拡大したカビや水あかなどは、使い方に問題があったと判断され、借主の原状回復義務の対象になるということです。ちなみに前述の「善管注意義務」とは「善良なる管理者の注意義務」の略で、部屋を使用し管理する者として、一般的・客観的に要求される注意義務を意味しています。
国土交通省のガイドラインは、妥当と考えられる一般的な基準を示したもので、法的強制力があるわけではありません。しかし、ガイドラインを読むと、居住年数の経過とともに建物や設備の品質が低下する「経年劣化」や、普通に生活していても傷や汚れが付いてしまう「通常損耗」による修繕費用は、原則として大家さん(貸主)の負担としていることが分かります。これらの費用はすでに賃料に含まれるという考え方が前提になっています。
そのため、退去時に借主が負担する原状回復費用については、「経年劣化」や「通常損耗」ときちんと区別した上で算出されなければなりません。耐用年数を踏まえて、退去時の残存価値を考慮する必要があり、単純に新品に置き換える費用や、修繕費の全額とはならないことに注意してください。これについては、後ほど具体的なケースで説明します。
・ハウスクリーニング代
入居者の退去後に、大家さん(貸主)がクリーニング専門業者に依頼して、部屋を清掃する費用がハウスクリーニング代です。床のワックスがけ、クロスの貼り替え、水まわりのお手入れ、エアコン清掃などが行われることが多いようです。本来これは貸主負担で行われるべきものと考えられます。しかし、賃貸借契約書に特約として「退去時クリーニング清掃費○万円借主が負担する」などと記載がある場合は借主負担となります。
一般的に多くある例としてハウスクリーニング代を紹介しましたが、実は前出のガイドラインで貸主負担とされている項目でも、賃貸借契約書に特約として借主負担であることが具体的に記載されている場合は、そちらが優先されます。費用相場と大きくずれているなど明らかに不合理な場合を除いて、一度契約が成立すると交渉での変更が難しいため、契約時に内容をよくチェックしておきましょう。
●賃貸物件の退去費用と敷金の関係

入居する物件の賃貸借契約手続きの際に、敷金・礼金・仲介手数料・火災保険料・保証会社利用料・前家賃などの初期費用を支払います。このうち敷金は契約時の担保として借主が貸主に預けておくお金であり、返還されるのが前提となっています。万が一、家賃の支払いが滞ったときの補填(ほてん)や、原状回復義務が生じた場合にはその分が差し引かれ、精算されて余ったお金は戻ってきます。

敷金は家賃の1~2カ月分が相場といわれ、入居中に故意・過失により設備を故障させたり、床や壁を大きく損傷したりすることがなければ、一般的なハウスクリーニング代や原状回復費用はカバーできることが多いでしょう。ただし、特約により原状回復の範囲や方法が変わるため、前述の通り、契約時に賃貸借契約書の内容をきちんと確認することが大切です。なお、敷金だけでは費用に不足があった場合、退去時に追加で原状回復費用を請求されます。

関西や九州では、敷金の代わりとして保証金を支払うことがあります。その目安は家賃の3~6カ月分と敷金に比べるとやや割高な傾向があるかもしれません。また退去時の原状回復費用があらかじめ決められていて(1~2カ月分が相場)、入居時と同じようにきれいでも、逆に補修費が多めにかかっても、決められた金額で差し引かれることがあるようです。

ほかにも、敷金から原状回復費用を一定金額差し引くことを特約に記載する「敷引き」や、和室のある物件では畳の表替えや、ふすまの貼り替えについて特約がある場合もあります。ちなみに、初期費用を抑えられる敷金無料の物件の場合、敷金がないことで、退去時に原状回復費用をまとめて用意しなければならないことがあります。高額となる場合もありますので、契約の際は慎重に検討することをおすすめします。

賃貸物件の退去費用の負担区分

原状回復費用の考え方だけでなく、次に具体的なケースで借主と貸主、どちらの負担になるかを解説します。どんな点に注意して賃貸住宅で暮らすと良いか参考にしてください。

●借主が負担するケース

前述のように入居中のすべての傷や汚れを元通りにする必要はなく、経年による劣化や故障などについては、回復する義務は発生しないことになっています。では、借主の故意や過失などにより修繕費用の負担が求められるのはどんなケースでしょうか。いくつかの例をピックアップしました。

【壁(クロス)】
たんすなど家具を移動の際にクロスを破いてしまった、物を固定するのにくぎやねじで穴を開けた、たばこのやに、ペットによって汚れやにおいが付いた、子供が落書きをした、結露を放置したり、清掃を怠ったりしたことでカビや染みなどが生じた。
【床(畳・フローリング・カーペット)】
家具設置の際に傷が付いた、自分の不注意から重いものを落としてフローリングをへこませた、観葉植物やエアコンなどの水漏れで床材が傷んだ、飲み物や洗剤をこぼしてカビや色落ちなどが生じた。
【建具/設備】
窓の網戸を破いてしまった、障子やふすまに穴を開けた、玄関の鍵の紛失や破損で交換が必要になった、洗面台にヘアピンを放置してさびが移った、キッチンや換気扇、浴室の清掃を怠ったことで油汚れ、水あか、カビや染みなどが付いた。

汚れがクリーニングで済む程度なら費用はそれほどかからないでしょうが、設備交換が必要となると負担額が大きくなります。ただし、その場合でも原状回復費用として全額を支払うわけではありません。内装材や設備の耐用年数と、借主の入居年数を踏まえて、経年劣化分と通常損耗分を差し引いて考えるのが基本になります。

耐用年数は、例えば流し台が5年、エアコンは6年、便器や洗面台などの給排水設備は15年などとされています。それなら、耐用年数を超えた設備は原状回復費用の負担がなくなるかというと、そのようなことはなく、継続して使用可能な設備については、その工事にかかる費用の一部などを借主が負担する必要があるとされています。

●貸主が負担するケース

前述のように経年劣化や通常損耗による修繕費用は、原則として大家さん(貸主)の負担とされています。例えば、日光が当たることで生じた壁や床の色あせなど、時間の経過とともに劣化していくものや、目立たない程度の画びょうの穴など、普通に生活していてもできてしまう傷が該当すると考えられます。

【壁(クロス)】
ポスターやカレンダーを貼った部分に変色した跡が残った、画びょうで小物を留めたとき穴ができた、冷蔵庫やテレビを設置したことで電気焼けといわれる黒ずみができた、日光が当たって日焼けして色あせた。
【床(畳・フローリング・カーペット)】
ベッドやソファなどを置いたことで足の部分のカーペットがへこんだ、暮らしているうちに自然とフローリングのワックスが落ちた、日光によってフローリングや畳が日焼けして色あせた。
【建具/設備】
給湯器・コンロ・エアコンなどの設備機器の寿命による故障、次の入居者のための鍵交換や浴槽などの設備交換、借主が破損していない網戸の張り替え、借主が通常の清掃を実施していたにもかかわらず行う消毒、専門業者による室内のハウスクリーニング。

賃貸物件の退去費用を抑える方法

退去時に高額請求を受けることのないよう、入居中にできる具体的な対処法や注意点をここではお伝えします。ちょっとしたコツをつかむことで簡単にできることもあります。

●入居中にできること

アパート、マンション、一戸建てのすべての賃貸物件に共通しますが、部屋数が多いほど原状回復費用が増える可能性があります。また、部屋数の多少にかかわらず、入居年数が長くなると、経年劣化や通常損耗も増えるため、借主の原状回復義務のある部分と区別できるよう準備しておいた方が良いでしょう。

そのためには、入居後すぐに室内の状態を確認して、細かく記録を残しておくことをおすすめします。そもそも入居の時点であった傷や汚れ、故障や破損の箇所について原状回復義務はありません。入居時と退去時の室内の状態の違いを主張できるようにすることが大切です。スマートフォンやデジカメで該当箇所を撮影して資料を作成し、1部は自分用に、もう1部は管理会社や不動産会社に提出しておくと良いでしょう。

入居してからの普段の生活で、きちんと室内や設備の掃除をすることも大切です。ほこりや汚れ、カビなどが落ちなくなる前にお手入れし、エアコンなどの設備も故障しないようメンテナンスすることが退去時の不要な出費を抑えるコツといえます。もし不具合がある場合は放置せずに、早めに管理会社や不動産会社に電話して相談しましょう。借主が報告を怠ったことで拡大した被害は、故意・過失に該当するため注意が必要です。

原状回復費用の節約のために掃除すると思うと負担感がありますが、きれいな部屋で気持ち良く暮らせるというメリットがあります。掃除を小まめにすること自体にデメリットはないでしょうから、ぜひ実践してみてください。

●退去前にできること
・可能な限り汚れを落とす
退去後にハウスクリーニングするなら汚れたままでも良いのではと考えがちですが、自分ができる範囲でキッチンの油汚れ、トイレや浴室のカビ、壁のクロスを清掃しておくことで、不要なクリーニング費用の請求を防げる場合があります。窓ガラスをしっかり水拭きするだけでも、部屋の印象はかなり変わります。
・穴や傷を修理しておく
退去時の原状回復費用を抑えるために、壁や床の傷を自分でDIYにより修復するという方法もあります。ホームセンターやネット通販でさまざまな補修キットを購入できますので、もし技術に自信があれば挑戦してみても良いかもしれません。実際には、小さな穴や傷でもプロと同じレベルできれいな状態に仕上げるのはかなり難しいため、修理がうまくできなかった場合には、余計に費用を請求される可能性もあります。最初に目立たない部分で試してみることをおすすめします。

退去手続きを進める中で、原因が分からない修繕費の請求をされた場合は、不動産会社に連絡を取り、負担の理由など詳しく説明を受けましょう。何にいくら費用がかかっているか見積もりを確認した上で、納得ができない場合は全国にある消費生活総合センターに相談してみても良いでしょう。

引っ越し費用を抑えるならUR賃貸住宅がおすすめ

独立行政法人都市再生機構が管理するUR賃貸住宅は全国に約71万戸。初期費用を節約できる「4ナシ制度」があり、退去時の原状回復の負担区分も明確なので安心です。

●UR賃貸住宅なら礼金、仲介手数料、更新料、保証人が不要

URは礼金・仲介手数料・更新料・保証人がすべて不要です。この「4ナシ制度」で初期費用を大幅に抑えられ、保証会社利用料なども発生しないため、契約時に必要なお金は、敷金(月額家賃の2カ月分)と、入居日から月末までの日割り家賃、日割り共益費のみ。契約更新時にも更新料の負担はなく自動更新されます。ずっと安心して住み続けることができる、うれしい特長がいろいろあります。

その一つが「住み替え制度」で、URから別のURの部屋へ引っ越す場合、敷金を引き継げることがあります。その場合、現在の住まいの敷金から修理費負担額などを差し引いた残額が引き継がれます。新居の家賃が現在の住まいと同額か低くなるなら、所得要件を確認する書類の提出が不要になり、住み替え時の手間や負担を軽減することが可能です。

退去の際は、最短で14日前までに契約解除届を提出すれば良く、月の途中で解約する場合は日割り家賃を支払います。一般的な賃貸住宅では退去日を通知した後で急に引っ越し予定が早まった場合、通知した退去日までの家賃が無駄になる可能性があります。その点、URは退去日の通知から引っ越しまでの期間が短く設定できるため、急に引っ越しすることになっても比較的スムーズに手続きができ、余分な出費を抑えやすいといえます。

●UR賃貸住宅の退去費用に関する決まり

URでは、居住のルールをまとめた「住まいのしおり」で、退去費用の負担区分についてガイドラインを示しています。具体的なケースが明示されていますので、安心して暮らすことができます。入居の際は、URが用意したチェックシート(点検確認書)を使って借主が現状を確認し、その内容を管理サービス事務所などに提出します。借主とURで、入居前からの汚れや傷をきちんと共有して、退去時の原状回復の判断に利用しています。

また、URには一般的な賃貸住宅で必要な原状回復が原則として免除される「DIY住宅」があり、壁や床のリメイク、棚の設置など、好みの部屋にカスタマイズを楽しむことができます。DIYができる範囲の違いで以下のラインアップがあります。URのHPに実例の記事も掲載されていますので、興味がある方はチェックしてみることをおすすめします。

<UR-DIYラインアップ>
「DIY住宅」
建物の構造部分(躯体)以外は、原則としてDIY(Do It Yourself=自分でメンテナンスや補修などの手を加えること)が可能な「UR-DIY」物件。本格的なDIYに取り組めます。
「Petit DIY住宅」
大きなレイアウト変更はできませんが、壁紙や床面など内装部分のDIYが可能な「UR-DIY」物件が、一部で用意されています。
「カスタマイズUR」
「UR-DIY」の物件でなくても、「壁紙の貼り替え」、「床材の変更」をはじめ、決められた範囲で防音性を高めるカスタマイズができる物件です。

※申込時にお渡しする「DIY住宅の手引き」の範囲を超えた施工、DIY承諾書に記載のない工事などについては原状回復義務が発生します

入居前に原状回復義務の範囲や精算方法の確認を!

入居前、賃貸借契約のときには退去時のことまで、なかなか気が回らないものです。しかし、特約として記載されている内容が、退去時の原状回復費用と関係する場合もありますので、きちんと確認することをおすすめします。実際の契約内容は、契約時にならないと分からないため、不明点や疑問点はその時点で確認するしか方法がありません。

その点、UR賃貸住宅ならチェックシート(点検確認書)で入居時の状態を退去時に確認でき、修繕負担区分も明瞭なので、不可解な請求や敷金返還トラブルなどが起こる可能性が低く安心できます。

URには、一人暮らしにぴったりなワンルームから、ファミリー層向けの2LDKや3LDKなど、さまざまな間取りタイプがそろっています。都心へのアクセス、駅から徒歩での所要時間、築年数、間取りなど、ライフスタイルに合わせて、豊富な物件から選択可能です。ぜひURのHPから希望の条件で検索してみてください。

監修/加藤 哲哉

記事のまとめ

住まい探しは、家賃や初期費用だけでなく、退去費用も考慮しよう!

  • ・原状回復の負担区分で不明点があれば、国土交通省のHPでガイドラインを参照しよう
  • ・実際には賃貸借契約書の特約が優先して効力を持つので、契約時にきちんと内容の確認を
  • ・退去時の原状回復費用を抑えるためにも、普段から掃除をして快適に暮らすのがおすすめ
  • ・UR賃貸住宅なら入居時の初期費用を抑えられ、退去時の修繕費用も明確なので安心!

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