URくらしのカレッジ

自分にぴったりな新しい暮らしを探す

住みたいへやの選び方

原状回復ガイドラインとは?賃貸住宅に安心して住むための基準

お使いのブラウザによってリンクが機能しない場合があります

賃貸物件の退去時に、入居中に生じた部屋の損傷や設備の故障について、費用負担を求められることがあります。これを原状回復費用といい、敷金から差し引かれて精算されることが多いのですが、お金のことだけにトラブルも少なくありません。未然に防ぐために参考にしたいのが、国交省の原状回復ガイドラインです。法律ではないので強制力はありませんが、基本的な考え方が記載されています。ここではその主なポイントを解説します。

原状回復ガイドラインとは

原状回復工事後の請求費用トラブルを解決するのは大変。賃貸借契約の時点で契約内容をよく理解することが重要です。その際に知っておきたいのが原状回復ガイドラインです。

●「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」のこと

一般的なそのほかの契約と同じように、借主と貸主が交わす賃貸借契約書は、契約自由の原則により双方の合意に基づいて成立するものです。契約を結んだ後で書かれている内容に納得できない点があることに気付いても、簡単に変えることができないのはいうまでもありません。しかし、原状回復費用については、借主と貸主の双方で契約書の解釈の違いなどからトラブルになることが少なくないようです。

この退去時のトラブルを未然に防ぐことを目的に、国土交通省が1998年に公表したのが「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。その後も、原状回復費用の借主負担と貸主負担、それぞれの負担割合についてのトラブルが続いたため、原状回復ガイドラインの具体化や、原状回復のルールを普及させるための手順などについての改定が行われ、現在に至っています。

国土交通省だけでなく、東京都でも賃貸住宅の退去時の原状回復や入居中の修繕をめぐるトラブルを防止するために「賃貸住宅紛争防止条例」を制定し、「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」を作成しています。退去時の原状回復・入居中の修繕の費用負担の原則について、賃貸借契約の際に重要事項として、仲介や代理を行う不動産会社が説明することを義務付けています。この点でさらに踏み込んだ内容となっています。

●原状回復とは

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(損耗等)を復旧すること」と定義しています。ちなみに善管注意義務とは「善良なる管理者の注意義務」の略で、部屋を使用し管理する者として、一般的・客観的に要求される注意義務のことです。

明らかに通常使用の結果とはいえないケース、わざと壊したり、不注意で傷を付けたり、清掃を怠り放置したことで拡大したカビや水あかなどは、使い方に問題があったと判断され、借主の原状回復の対象になるということです。それ以外の経過年数が増えることで建物や設備の品質が低下する「経年劣化」や、普通に生活していても傷や汚れが付いてしまう「通常損耗」は、原則として修繕費用は貸主の負担となることが記載されています。

そのため、退去時に借主が負担する原状回復費用については、「経年劣化」や「通常損耗」ときちんと区別した上で算出されなければなりません。耐用年数も踏まえて、退去時の残存価値を考慮する必要もあり、単純に新品に置き換える費用や、修繕費用の全額とはならないことに注意してください。これについては、後ほど具体的なケースで説明します。

●改正民法による原状回復義務の明確化

2020年4月1日施行の改正民法により、敷金の取り扱いや、退去時の原状回復の借主と貸主の負担割合など、トラブルになりがちだった部分が法律でも明確化されました。改正民法第621条(賃借人の原状回復義務)で、借主は入居後に生じた損傷(通常の使用や経年変化を除く)がある場合に、賃貸借の終了時に原状に戻す義務があるとされています。原状回復ガイドラインの考え方が、法律上のルールとして、以降の賃貸借契約書に反映されることになりました。

●原状回復の特約

賃貸借契約書に特約(特記事項)が記載されていることがあります。賃貸物件が持つ特徴や価値にはそれぞれ異なる部分があるため、必要に応じて設けられている契約のオプションのようなものといって良いかもしれません。この特約に原状回復ガイドラインと異なる内容があっても、契約時に借主と貸主が合意していれば、そちらが優先されるため注意が必要です。個別の契約では特約の条項が優先するとされているためです。

原状回復の費用負担が発生するケースとしないケース

退去時の修繕費用については、通常の使用により生じた損耗は貸主が負担し、通常の範囲を超えた使用により生じた損耗は借主が負担するのが、原状回復の基本的な考え方です。

お伝えしてきたように、借主の原状回復義務とは入居時とまったく同じ状態に部屋を戻すことではなく、入居中に発生したすべての汚れや損傷の修繕義務があることを意味するわけでもありません。原状回復ガイドラインに従って、通常の使用により生じた損耗=貸主負担、通常の範囲を超えた使用により生じた損耗=借主負担、それぞれのケースを具体的に見てみましょう。

●通常の使用により生じた損耗の場合

経年劣化や通常損耗による修繕費用は、原則として貸主負担とされています。例えば、ポスターやカレンダーを貼ったことで壁紙が変色した跡や、画びょうで小物をとめたときにできた目立たない穴、冷蔵庫やテレビを設置したことで壁に付いた黒ずみ、日光が当たることで生じた壁や床の色あせなど、時間の経過とともに劣化していくものや、普通に生活していてもできてしまう傷などが該当すると考えられます。

給湯器・コンロ・エアコンなどの設備機器の寿命による故障への対応、次の入居者のために行う鍵交換や浴槽などの設備交換、借主が破損していないのに行う畳の表替え、網戸や襖の張り替え、借主が通常の清掃を実施していたにもかかわらず行う専門業者のハウスクリーニングや消毒など、すべて貸主負担になるのが原則です。これらの費用はすでに賃料に含まれるという考え方が前提になっています。

●通常の範囲を超えた使用により生じた損耗の場合

借主の原状回復義務の対象になるかどうかは、部屋を使用し管理する者として、一般的・客観的に要求される注意義務(善管注意義務)を怠っていないかがポイントになります。借主の過失によりたばこの火で床やカーペットを焦がしてしまったり、不注意で重いものを落としてフローリングをへこませたり、洗濯機の水漏れで壁や床が腐食したりした場合は、借主が修繕費用を負担することになります。

窓の網戸を破いたり、障子や襖に穴を開けたり、壁紙にペットの汚れやにおいが付いたり、子供が落書きをした場合も同様です。自然に起きた雨漏りやガラスのひび割れなどであっても、分かった時点ですぐに管理会社や貸主へ修繕の必要性を伝えなければなりません。結露を放置したり、長期間清掃を怠ったりしたことでカビや染みなどが生じ、状態が悪化してしまった場合も借主が負担することになります。

画びょうではなく、くぎやねじを使って壁にものを固定するのも避ける必要があります。画びょうの影響の範囲は壁紙と石こうボードの表面に留まりますが、くぎやねじは石こうボードを貫通して、間柱と呼ばれる木材にも影響が及ぶことがあるからです。なお、部屋に備え付けのエアコンが経年劣化で故障した場合は貸主負担ですが、不注意でエアコンのリモコンを破損した場合などは借主負担となる可能性があります。

原状回復ガイドラインを活用してトラブルを回避する方法

原状回復費用のトラブルを避けるために、入居時と退去時にしておきたいことがあります。具体的な対処法や注意点などをお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

●原状回復ガイドラインに書かれている内容をよく読み込む

原状回復ガイドラインは法律ではありませんので、賃貸借契約書の内容が優先するのが原則です。しかし、原状回復ガイドラインを参考にして契約書の内容を確認することで、後々問題になりそうな点がないか、合理性を欠いていないかなど、契約前にチェックすることができます。原状回復のトラブルの要因は、賃貸借契約書の内容に含まれているといって良いため、きちんと判断した上で合意することが大切です。

「入居者は退去時に、クリーニング業者による室内全体の清掃代を負担する」など、原状回復義務に含まれないと考えられる内容でも、特約として賃貸借契約書に記載されている場合は負担しなければなりません。特約には原状回復以外にも、ペットの飼育や楽器の演奏などのルールや禁止事項、短期解約の場合に生じる違約金の支払いなど、さまざまな内容があります。明らかに不合理な場合以外は無効とすることが難しいので、特約は契約前に必ずチェックしておきたい注意点の一つといえます。

●入退去時にチェックする

・入居時のチェック
そもそも入居の時点であった傷や汚れ、故障や破損について原状回復義務はありません。入居時と退去時で室内の状態の違いを明確にできるようにすることが大切です。入居後すぐに室内の状態を確認して、細かく記録を残しておくことをおすすめします。というのも住んでいる期間が長くなればなるほど、記憶だけでは曖昧な部分が増え、事実関係をめぐってトラブルになりやすいためです。
入居時に、原状回復ガイドラインの中にある「入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト(例)」を利用してチェックを行い、さらにスマートフォンやデジカメで該当箇所を撮影して資料を作成しましょう。1部は自分用としてきちんと保管し、もう1部は管理会社や不動産会社に提出しておくと良いでしょう。後々の不要なトラブルを避けることができるかもしれません。
・退去時のチェック
普段の生活で室内や設備の掃除をしておくことが大切ですが、退去前に自分ができる範囲でキッチンの油汚れ、トイレや浴室のカビ、壁のクロスなどを清掃しておくことで、不要なクリーニング費用の請求を防げる場合があります。窓ガラスをしっかり水拭きするだけで、部屋の印象はかなり変わります。エアコンなどの設備も故障しないよう丁寧に使うことが退去時の不要な出費を抑えるコツといえます。

その上で退去時の物件チェックに必ず立ち会うようにしましょう。管理会社や不動産会社から原状回復の必要があると指摘があった部分については状態を確認し、スマートフォンやデジカメで該当箇所を撮影します。後日、修繕費用の明細が送られてきたときに、不一致やおかしい内容がないか確かめるためです。退去すると室内に入ることができなくなってしまうので、忘れずに行うようにします。

原状回復義務が生じた場合、不要な範囲まで修繕費用を負担していないか、見積もりの金額の内訳についてきちんと説明してもらいましょう。原状回復ガイドラインには、交換や修繕の施工を行う場合の、単位の目安も記載されているため、確認してみると良いかもしれません。費用負担について話し合いで解決できない場合は、裁判で解決する方法もあります。手続きなどは簡単ではないようですが、無効の判決が出たケースもあるようです。

原状回復の負担に不安がある人はUR賃貸住宅がおすすめ

独立行政法人都市再生機構が管理するUR賃貸住宅は全国に約70万戸。退去時の原状回復の負担区分が明確で、初期費用を節約できる「4ナシ制度」があるのが特長です。

●URは原状回復の負担区分が明確

URでは、居住のルールをまとめた「住まいのしおり」で、退去費用の負担区分について分かりやすくガイドラインを示しています。具体的なケースが明示されていますので、原状回復費用についてのトラブルが起こる可能性が低く、不安を感じることなく暮らすことができます。入居の際は、URが用意したチェックシート(点検確認書)を使って借主が現状を確認し、その内容を管理サービス事務所などに提出します。

退去時には、チェックシート(点検確認書)をもとに、借主とURで入居前からの汚れや傷を共有して、退去時の原状回復の判断に利用しています。原状回復費用として敷金から支払う必要のある場合もありますが、故意・過失などによる損傷以外の、通常の使用に伴う損耗などの復旧費用はURが負担します。原状回復について、借主負担の範囲が明確なのがURの特長といって良いでしょう。

●初期費用が抑えられる

一般的な賃貸住宅では、引っ越し費用のほかに、初期費用で多くのお金がかかります。URなら、礼金・仲介手数料・更新料・保証人が不要です(保証会社への加入も不要なので保証料も不要)。契約時に必要なお金は、敷金(月額家賃の2カ月分)と、入居月(入居日から当月末まで)の日割り家賃、日割り共益費のみ。この「4ナシ制度」で初期費用を大幅に抑えることができるのがうれしいポイントです。

URは、都心から郊外のエリアまでのさまざまな立地環境に、一人暮らし、DINKS、ファミリー向けなど、多彩な間取りのタイプがそろっています。収納が豊富で比較的ゆとりのある物件が多く、子育てしやすい住まいを希望している場合でも、数が多いためたくさんの選択肢から検討することができるでしょう。希望の条件に合った物件を探しやすいURを候補に入れて、住まい探しをすることをおすすめします。

入居時に原状回復の範囲を確認して、納得の住まい選びを!

入居時には退去時のことまで気が回りにくいものですが、後々の原状回復のトラブルを防ぐためには、賃貸借契約書の内容をきちんと確認して納得して契約することが大切です。不明点などがあれば原状回復ガイドラインを見て、問い合わせてみると良いかもしれません。原状回復に関する重要なことが、契約書に特約として記載されていることもあるので注意して確認するようにしましょう。

UR賃貸住宅なら、チェックシート(点検確認書)で入居時の状態を退去時に確認でき、負担区分も明瞭なので原状回復のトラブルの可能性が低く、安心して暮らすことができます。全国にあるさまざまな間取りタイプの豊富な物件から選ぶことができ、礼金・仲介手数料・更新料・保証人がすべて不要なのも見逃せないポイントです。URのHPで希望の条件を入れて簡単に検索できますので、気軽に試してみることをおすすめします。

監修/加藤 哲哉

記事のまとめ

入居時の初期費用も、退去時の原状回復費用も、UR賃貸住宅なら出費を賢く節約!

  • ・契約前に原状回復のルールについて必ず確認を。原状回復ガイドラインも利用して疑問を解決すれば、退去時の不要なトラブルを減らせる
  • ・入居時と退去時の状態を写真などに記録しておくのがおすすめ。入居中はマナーを守って部屋を汚したり傷を付けたりしないよう注意
  • ・UR賃貸住宅なら、原状回復のルールが明確なので退去時に無駄な出費がなく、初期費用を抑えられるので入居時の負担も軽い!

お使いのブラウザによってリンクが機能しない場合があります


あなたにおすすめの記事
新着記事
あなたにおすすめの記事はこちら

URくらしのカレッジとは

URくらしのカレッジはUR賃貸住宅がお届けする、くらしのヒントがつまった情報サイト。

説明を見る

URのことを知ろう