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「地域のみなさんに恩返しをしたい!」団地を見守る「おおたラーメンこども食堂」のフードパントリー
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東京都大田区の南六郷二丁目団地にある「おおたラーメンこども食堂」。オープン以来、子どもたちの食を支えるだけでなく、シニアの方や外国人の方など、多様な人たちの交流の場としてもにぎわっています。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年2月より休業中。代わりに、食料品で地域の人を支援する「フードパントリー」を開催することに。2020年、「おおたラーメンこども食堂」にはどんなことがあったのでしょうか? 代表の武井恵美子さんに、お話をうかがいました。
誰でも利用できるフードパントリー
「おおたラーメンこども食堂」は、新型コロナウイルスの影響で、2020年の2月から臨時休業をしています。そこで月1度ほど、店頭にて「フードパントリー」を実施。一般的にフードパントリーとは、生活困窮者などに、食品を無料で提供する支援活動のことです。
一方「おおたラーメンこども食堂」の「フードパントリー」では、さまざまな食品を詰め合わせたセットを一つ200円で提供。希望すれば誰でも購入することができます。
セットの内容はその都度変わりますが、レトルトご飯や焼きのり、シリアル、お菓子など、企業や支援者から寄付された物資が中心。「おおたラーメンこども食堂」のメニューであるラーメンを家庭で楽しめる、麺、スープ、カット野菜、冷凍肉のセットも入っていて、お店の再開を望む常連客たちを喜ばせています。
「フードパントリー」には、親子や常連客などが来店していて、ソーシャルディスタンスを守りながら、立ち話に花を咲かせる場面も見受けられました。
休業中にさらに強くなった人とのつながり
緊急事態宣言中など、「おおたラーメンこども食堂」の代表・武井さんをはじめとするスタッフたちは、子どもたちはどうしているだろうか、給食がなくて食事は行き届いているだろうかと心配を募らせていたと言います。
- 武井
- 学校が休校になったとき、お店で親しくなった子どもやその親御さんから、「あのお家は日中は親御さんが仕事で不在みたい」、「自粛でどのご家庭もストレスを抱えているようだ」といった話が耳に入ってきていました。そして、緊急事態宣言解除後あたりから、お店を応援したいという企業や困っている子どもとその家庭へ支援を届けて欲しいという支援者から、物資や寄付が届くように。だったら届いた物資を、各ご家庭に配ったらどうか、ということになったんです。
その後、スタッフ同士でアイデアを出し合い、7月に初回のフードパントリーを実施。これを機にさらに支援の輪が広がり、フードパントリーは、定期的に行われるようになりました。
- 武井
- お店を休業しても、これまでの営業の中でできたつながりが、良い形でお店に返ってきているように感じます。物資を支援してくださる方々もそうですし、集まっているスタッフもみんな、自らできることを真摯に考えて動いてくれているんです。「世の中がどうなっていくんだろう」と不安な時期だからこそ、お店があることと、みんながつながっていると思えることが、何よりの心の支えになっています。
大人も前向きになれる場所
武井さんをはじめ、数名のスタッフも運営に携わっている「フードパントリー」。それぞれこの場所がなくてはならない存在になっているようです。
「フードパントリー」に携わっているみなさんから、お話をうかがいました。
- 長岡
- 顔見知りの子どもたちや、シニア世代のみなさんの元気な姿や笑顔を見ることが自分の喜びにもなっています。
- 折坂
- 家にいると、ついついいろんな事を考え込んでしまうんです。でも、ここに来ると何でも話せる友達がいるし、頼ってきてくれる子どもたちもいる。悩みを相談できる場所があって良かったです。
- 上簗
- 子どもを連れて参加できるので助かっています。育児中の私でも、こうした活動ができるんだという肯定感を得ることができました。
みなさんは、「『フードパントリー』の運営を大変だと感じることはない」と言います。それは自分が大変なとき、周囲の人が救いの手を差し伸べてくれた経験があるから。
「今は、自分が地域の人の役に立つことをする番だと思っているんです」と話す、武井さんの言葉が印象的でした。
URで叶えられるあたらしいくらし方
「おおたラーメンこども食堂」で、支援を受けた物資を提供する「フードパントリー」を実施
- ・「おおたラーメンこども食堂」は新型コロナウイルスの影響で、2020年の2月から臨時休業中
- ・「フードパントリー」で提供する食材は、お店を応援したいという企業や支援者からの物資や寄付によるもの
- ・「おおたラーメンこども食堂」から、地域のつながりの輪が広がっている
東京都大田区南六郷2-35
京浜急行線「雑色」駅から、下町色あふれる「水門通り商店街」を通って徒歩で到着します。芝生の広がる多摩川土手や「六郷水門」が近く、自然を身近に感じられます。
3棟の建物がゆったり配置された団地の中央にある大きな公園は、遊具なども充実していて、子どもたちに人気の場所。公園を臨む団地の1階には、郵便局や歯科、「おおたラーメンこども食堂」などが並ぶ商店街があり、人の温かみが感じられる環境が魅力です。
おおたラーメンこども食堂
東京都大田区南六郷2-35-1-121(南六郷二丁目団地内)
2019年5月オープン。子どもだけでなく、誰でも食事ができます。しょうゆや塩、豆乳ラーメンなど、自家炊きスープの本格派。
Facebook:https://ja-jp.facebook.com/ramenkodomoshokudou/
くらしのカレッジ編集部は、「くらし」に関するさまざまなヒントをお届けすることを目的に、インテリア、リノベーション、DIY、子育て、イベント情報など、生活を豊かにするアイデアや日常的に楽しめるコンテンツをご紹介しています。
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