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vol.2「団地の未来プロジェクト」始動。いよいよ記者発表へ。

2015年3月26日(木)、ITOKI Tokyo Innovation Center SYNQAにてメディア・関係者約100人が見守る中、プロジェクト始動の記者発表が行われました。まずUR都市機構の上西郁夫理事長よりプロジェクトの背景である「団地の再生」という大きな課題の説明があり、「このプロジェクトが、かつて高度成長期に憧れのブランドだった団地に新たな魅力を育み、地域の活性化を図り、人々の新しい住まい方を示すことで、社会にインパクトを与えてほしい」という挨拶の後、プロジェクトディレクターの佐藤可士和さんとディレクターアーキテクトの隈研吾さんが登壇。お二人それぞれが持つ団地への想いやプロジェクトの今後の展望などを語りました。

「昔、憧れだった。団地は、今もかっこよくておもしろい」

佐藤 3年前に隈さんから「可士和さん、団地やらない?」と(ルネッサンスin洋光台のアドバイザー会議に)声をかけられました。「えっ、団地ですか?」と答えたんですが、“団地”という言葉がすごくインパクトありましたね。僕は1965年生まれなので、団地と同い年くらいです。幼い頃、実家の近くに団地が建設されてるのをワクワクしながら見ていたんです。友達がたくさん住んでいたので、小学生の頃は、友達とよく団地の広い庭を走り回ったものです。僕の家は平屋でしたけど、そこは5階建てで、眺めも家の中も自分の知ってる家とは全然違った。すごいなぁと思いました。今思えば、あれが理事長がおっしゃっていた“憧れの団地スタイル”だったんだなぁと思いますね。

 可士和さんと2人で現在の洋光台団地を歩いたのですが、それまで、団地はコンクリートの箱がドンドンと並んでいるだけと思っていたけど、いろいろ見てみると、これがかっこいい。おもしろいものをいっぱい発見したんです。気持ちがいい広場があって、植栽もいろんな種類が植わっている。建物の配置も微妙に角度をつけて配置していたり。高低のレベル差もあって、建物の下をくぐるところがあったりね。それから、古い住宅の中がメチャメチャかっこいい。可士和さんも「かっこいい」を連発していた。佐藤可士和がかっこいいというんだから、これはすごいかっこいいんだろうと思いました(笑)。

「団地の未来を示す。それは、日本の未来を示すこと。」

佐藤 「団地の未来プロジェクト」は、横浜の洋光台団地をモデルケースとしてやっていきますが、ここからさまざまなアイデアや取り組みが発展していくことで、日本にたくさんある団地の再生だけでなく、日本の住まい方自体に一石を投じるものになっていくプロジェクトだと思っています。だから、僕は今回初めてプロジェクトにロゴマークをつくりました。このプロジェクト自体をブランドとして育てていきたいと思ったからです。また、このプロジェクトは、オープンイノベーション型のプロジェクトにしていきたい。こんないいアイデアがある、こんな面白い人がいると、どんどん紹介してほしいんです。みなさんに参加してほしい。このプロジェクトに、みなさんの参加で「いいこと」をどんどんプラスしていきたいのです。

 日本にはすごい数の団地があるけれど、これらは、高度成長期を支えたシステムのひとつだった。日本のその頃のパワーを支えたんですね。でも、洋光台団地にしてもそれから45年経って、だいぶ古びてきた。日本も変わり、成長社会から成熟社会になったし、建物もだいぶくたびれてきた。だから、「団地の未来プロジェクト」は、洋光台団地と周辺地域の再生だけでなく、日本にたくさんある団地の再生だけでもなく、日本の再生そのものを考えるプロジェクトだと思っています。

その後皆さんからの質疑応答、場所を移しての個別質問があり、今後のビジョンなどについてさまざまな意見交換が行われ、皆さんの関心の高さを感じることができました。団地の再生を通じた、新しい住まい方、そして日本の未来像づくりへ。いよいよ、具体的な取り組みがはじまっていきます。

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