TALKING

日本を代表する建築家として国際的に活躍する隈研吾氏が、企業や団体のブランド戦略におけるトータルプロデューサーとして優れた実績を挙げ続ける佐藤可士和氏を誘い、ふたりのシナジーによって始まった「団地の未来プロジェクト」。これからの新しい住まい方、開かれたまちづくりを実現していくプロセスを、ふたりを中心にした楽しい会話や裏話を通じて伝えていきます。

vol.1 ロゴマークが、プロジェクトを可視化する。

打ち合わせ風景

2015年3月26日の記者発表会を2週間後に控えた3月11日、東京・青山の隈研吾建築都市設計事務所にて、佐藤可士和さんと隈研吾さん、UR担当者によって、記者発表に関する内容確認の打ち合わせが行われました。

佐藤 いよいよプレス発表ということで、今日は内容と進行の確認ですが、まず、隈さんにこれを見ていただきたいと思いまして。プロジェクトのロゴマークです。洋光台団地の再整備を通じて団地の再生を図ってきましたが、より大きな社会の課題を解決するプロジェクトにしていくという想いから、「団地の未来プロジェクト」という名前をつけたんですよね。それで、ロゴをつくってみたんです。

 (封筒に入ったシンボリックなアイコンやクリアファイルに印刷されたロゴを見て)おお、すごくいいですね。カッコいい。団地の「団」をシンボルにして、いいことがプラスされていく、と。僕も本当に様々な建築のプロジェクトに携わってきましたが、建物そのものではなくプロジェクトにロゴマークができたのは初めてですね。

佐藤 実は、僕もプロジェクト自体にロゴをつくったのは初めてです。「ルネッサンス in 洋光台」の頃から皆さんといろんな議論を重ねてきて、良くも悪くも煩雑になって、もやっとしている部分もあったと思うんです。でも、こうしたロゴができると、突然プロジェクトとして可視化できるというか、みんなの気持ちがひとつになって、これからさらに前に進んでいくぞっていう感じができるんですよね。

 なるほど。それは分かりやすい。大切な考え方ですね。こういうマークって普段僕たちの仕事にはないから、新鮮です。このプロジェクトを初めて知る外の人から見ても、何かいいことが始まるぞっていう期待感を持つことができますね。

この瞬間、その場にいたスタッフ全員が、ロゴが持つ不思議な力に納得することができました。その後、ディレクターアーキテクト・隈研吾、プロジェクトディレクター・佐藤可士和、プロジェクトプロデュース・UR都市機構という『団地の未来プロジェクト』におけるそれぞれの役割を表現する呼び名も決定し、記者発表へ向けたイメージが固まっていったのです。

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