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これからのくらしを考える ひと×防災

災害時にみんなが安心して過ごすために、団地の住民が自らつくった「防災計画」とは?

「団地は災害時でも倒れにくい。だから、自宅で生活を送る『在宅避難』を前提とした、団地の防災計画を立てる。」そう考え、住民自らの力で防災計画をつくり上げたのが、埼玉県上尾市にある尾山台団地のみなさんです。その中心となっている自治会のメンバーにお話をうかがいました。

40年以上続く、自治会主導の「団地防災」

尾山台団地自治会 会長の尾上道雄さん

尾山台団地が誕生したのは1967年。そして、その10年後に自治会による防災の取り組みが始まりました。以来、消火訓練から防災訓練へと形を変えながら、現在まで40年以上続いています。その活動の中心となっているのが、自治会会長の尾上道雄さんです。

「団地の防災訓練は、毎年11月23日に行っており、250人近くの方が参加しています。看護専門学校の生徒さんが心肺蘇生の方法や、包帯や簡易トイレの作り方を教えてくれたり、東京ガスがガスが止まったときの解除の仕方や、NTTが災害ダイヤルの使い方などを説明してくれたりと、災害時を想定したさまざまな催しを行っています。時間があれば、水かけ訓練として、みんなでバケツリレーなどもやりますよ。炊き出しも行い、それを食べて防災訓練を終わります。」(尾上さん)

毎年1回の防災訓練を通して、住民の防災意識を高め、知識を得るとともに、避難誘導、防犯など、災害時の役割分担が機能するかもシミュレーションをしているのだそうです。

無事なら窓から黄色いハンカチを!

団地の窓から黄色いハンカチがはためく。そんな光景も、尾山台団地の防災訓練の風物詩です。

災害時、何も問題がない人は、北側の窓から黄色いハンカチを出して、無事を知らせるという取り組みも行っています。そうすれば安否確認のために個別に訪問をしなくても済みますから。」(尾上さん)
もともとは、ほかの団地で行っていたもののまねから始まったとのことですが、今や、本家より尾山台団地のほうが長く続いているそうです。

尾山台団地自治会では、定期的に映画会・体操会などのイベントを開催しています。また、自治会が中心となって設立した「NPO法人ふれあいねっと」が団地内で通院・買物などの支援や食堂の運営、月1回食事会の開催などの福祉活動しています。
「うちの団地は、シニアで一人暮らしの方も多く住んでおり、そういった方々が孤立しがち。なので、日ごろから、いろいろな切り口でイベントを行い、何かに参加してもらえるように工夫しています。防災が大切だからといって、防災訓練だけやっていても駄目なんです」と尾上さん。
普段からつながりをつくることが、いざというときの防災力を高めるのに、何より大切と考えているのだそうです。

国の支援制度を活用してつくる「防災計画」

尾山台団地自治会 青田敏彦さん

長年、住民自ら防災力を高めてきた尾山台団地ですが、2018年、URから「内閣府のアドバイザー派遣制度や、『防災教育チャレンジプラン』※を活用してみないか」との提案を受け、URのサポートのもと、自治会の主導による「地区防災計画」を策定することになりました。中心となったのは、自治会の役員であり、防災士の資格を持つ青田敏彦さんです。

※内閣府主宰。各地域で取り組まれている防災教育の場の拡大や、質の向上に役立つ共通の資産をつくることを目的に、活動支援金が補助される。

「耐震で安全性が確保されているという団地の強みがある一方で、災害発生時に、災害対策本部へ協力できる住民が限られていることや、避難所の準備が十分ではないことが課題でした。そこで、災害時に自宅で過ごす『在宅避難』を基本にした『地区防災計画』を考えることになりました。」(青田さん)

大事なのは階段でのコミュニケーション!?

左から、伊藤昌人さん、竹内賢一さん、海口久江さん、加藤喜久代さん

「地区防災計画」をつくるにあたり、防災に関するワークショップが定期的に行われました。参加した四人の方にお話をうかがいました。

「地震に備えて、部屋をきれいにしようというワークショップに参加し、もう少し片付けなくちゃという気持ちになりました」と伊藤さん。
竹内さんも「『在宅避難』を想定すると、もう少し部屋の整理が必要」と実感。日ごろから家族で防災について話し合うようになったそうです。

海口さんと加藤さんは、女性限定のワークショップも有意義だったと言います。
困りごとや要望が聞けて良かったです。女性だけだったので、意見も出しやすかったと思います」とお二人。

そして、みなさんが共通して感じたのが、普段のコミュニケーションの大切さ
「団地では、階段がいちばん身近なコミュニティ。日ごろから階段でコミュニケーションをとることが、災害時の対応に生かせるのではないかと思いました。顔見知りになっていれば、あの人の顔が見えないけれど、大丈夫かしら? と声を掛けてあげられますから」と海口さん。

全国へ展開できる防災計画「尾山台モデル」完成!

ワークショップで出た意見や、これまでの防災活動で培ってきた内容をもとに、「地区防災計画」を策定。
「この団地だけでなく、今後、ほかの団地やマンションなどでも活用できることを念頭につくりました。」(青田さん)
この1年間の活動と完成した「地区防災計画」は、「防災教育チャレンジプラン」の2019年度「防災教育特別賞」を受賞しました。

「ワークショップで出た住民の意見の中から、良いと思うことを実現していくことで、防災力の向上と、より住みやすい団地を目指していきたい」と自治会のみなさん。尾山台団地の防災力は、ますます進化していきそうです。

尾山台団地自治会ブログ
http://oyamadaidanchi.blog.fc2.com/

尾山台団地自治会Facebook
https://www.facebook.com/oyamadaidanchi

記事のまとめ

40年以上防災に力を入れてきた尾山台団地で、住民自らが「地区防災計画」を策定!

  • ・尾山台団地では、年1回防災訓練を実施
  • ・いざというときのために、普段から住民同士のつながりをつくることが大切。そのきっかけづくりのため、定期的に食事会、映画会、体操会などを開催
  • ・国の制度を利用し「在宅避難」を基本にした「地区防災計画」を策定。住民の意見を取り入れるため、ワークショップも開催
  • ・「地区防災計画」は、ほかの団地やマンションなどでも活用できるように考えられた
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