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個性的な団地やレトロな喫茶店がある「千里ニュータウン」。その魅力を探し歩く

1950年代から1970年代の戦後建築に魅了され、ビルをテーマにイベントなどを繰り広げる、ビル好き集団「BMC(ビルマニアカフェ)」。そのメンバーである高岡伸一さんは、「千里ニュータウン」のある大阪府吹田市のご出身。そんな高岡さんに、「千里ニュータウン」にある団地の魅力や、ご自身の話をうかがいます。

地域の特色に合わせた個性豊かな団地

さまざまな団地がある「千里ニュータウン」。今回は、高岡さんと一緒に、「千里ニュータウン」のいくつかの団地を巡ります。まずは、千里津雲台団地へやってきました。

「千里津雲台団地には、標準的な形の団地が並んでいて、建て増しもされていますね。建て増しができるというのは、それだけ敷地に余裕があったということなんです。団地は、空間が広くゆったりとつくられているから、建て増しした後でさえ、前に駐車場スペースを設けることができている。豊かな環境ですよね。」

緑も多いですね。

「緑が多いのは、『千里ニュータウン』の大きな財産です。50年かけて木々が立派に育っているわけで。
この団地が建てられたころは、濃い緑色で固い葉っぱの常緑樹がよく使われましたが、今はもっと柔らかな感じの、明るい緑の落葉樹が好まれています。植栽を見ても、何となく時代背景がうかがえますね。」

次に少し移動して、近くの千里竹見台団地へ。スターハウス(※)は、迫力がありますね。

「ランドマークとして、シンボリックな形を選んだのではないでしょうか。このエリアの顔となる部分でもありますから、ほかの住棟とは違うデザインを意識しているんでしょうね。」

※上から見た住棟が『Y』字型で、その形状が星のように見える住宅のこと

ここで、高岡さんが一つ、千里竹見台団地の特徴を教えてくれました。

「エントランスの壁画に注目してみましょう。この時代は団地だけでなく普通のビルも、1階にこういう壁画や、レリーフ(※)を設けるということが多かったんです。レリーフは芸術家と一緒に作ることも多かったので、エントランスのような目に入る場所に、こういった文化的な一面を持たせたかったのでしょう。戦後の建築は合理性ばかりが強調されますけど、よく見てみると、こういった装飾的な要素も盛り込まれているんですよね。」

※平面を浮き彫りにする美術技法

次に訪れたのは、千里桃山台団地。ここでは、中心市街地ではなかなか見られない、立体交差があります。

「『千里ニュータウン』の面白さは、こういうところですよね。高低差を活かした立体交差は、傾斜地に計画された千里ニュータウンならではの景色ですよね。 」

千里桃山台団地のメイン住棟も、迫力がありますね。

「駅を出てすぐのところに、大きくて高層のシンボリックな団地を建てていますね。千里桃山台団地は、少し斜めに角度をつけて建てられていますが、これはおそらく、駅から降りた人が見たときに格好よく見える角度を意識しているんじゃないでしょうか。」

50年の年月を経て成長し続ける「千里ニュータウン」

大学まで吹田市で育ったという高岡さん。大学の学部は、建築工学科だったとのことですが、高校生のころから建物などへ興味があったのですか?

「実は高校生のころは、そんなに興味があったわけではなかったんです。大学受験を考えるとき、どちらかといえば理系が得意だったので、理系を選択しました。また、絵を描くことも好きだったので、『理系でデザインっぽいことができる分野って何だろう?』と考えたときに見付けたのが、建築工学科だったんです。」

1950年代から1970年代の戦後建築やビルには、いつごろから興味を持つようになったんですか?

「はっきりとは覚えていないんですが、大学3、4回生のころですね。学生時代は、安藤忠雄さんや磯崎新さんの建築も好きだったのですが、あるとき、『もっと身近にある建築に目を向けたほうがいいんじゃないか?』と思い始めて。そういう目で街を見ると、誰が設計したか分からないけど、なかなか格好いい建物もあるんだと気付くようになったんです。」

「千里ニュータウン」で気に入っている店はありますか?

「北大阪急行・大阪モノレール『千里中央』駅すぐの喫茶店『ニューアストリア』です。 『カツサンド 野菜入り』は、カリッと焼かれたパンにこしょうが利いたシンプルな味付けで、あっさりしていておいしいんですよね。駅のホームが近く、電車の発着音やアナウンスを聞きながら食べられ、ホームと飲食店が共存しているのも面白いです。
『千里ニュータウン』が成長してきた、これまでの時間の積み重ねのようなものが、この喫茶店にも表れてると思うんです。
この使い込まれた木のいすの感じも、時の流れを感じますよね。家具にしろ建物にしろ、くぐり抜けて来た時間が、味わいや魅力を生むと思うんです。 」

「千里中央」駅から外へは、車道を渡らずに行けますね。

「便利ですよね。当時、新しい街を作るときに重視していたことが、歩車分離という考え方なんです。そのころはマイカーブームだったので、車の数が多く、交通渋滞や事故も増えていました。それを解決するために、車は地上、人は一つ上の階を歩くように設計していたんですね。『千里中央』駅周辺は、地形の傾斜を活かした歩車分離が徹底されています。」

久しぶりに「千里ニュータウン」を歩いてみて、どうでしたか?

「『千里ニュータウン』ができてから、50年以上の年月が経っていますが、ここからが本当の街づくりなんだと思います。ここまで育った街をどう維持していくか、半世紀かけて生まれた魅力を活かした街づくりを発信できたらいいですよね。」

記事のまとめ

50年成長を続ける「千里ニュータウン」。街の特徴に合わせた魅力的な団地が多い!

  • ・千里津雲台団地は、空間が広くゆったりとつくられている。緑も多い
  • ・千里竹見台団地のスターハウスは、ランドマークとしてエリアの顔となっている
  • ・千里桃山台団地は、駅から降りてきた人に格好よく見える角度を意識している
  • ・「千里中央」駅すぐの喫茶店『ニューアストリア』では、電車の発着音やアナウンスを聞きながら食事を楽しめる

今回の先生:高岡伸一さん

1970年、大阪生まれ。近畿大学建築学部建築学科准教授。建築家。
2008年に、1950年代から1970年代の戦後ビルの魅力を発信する集団「BMC(ビルマニアカフェ)」を結成。
主な書籍に『新・大阪モダン建築』(2019年/青幻舎)など。

Twitter:https://twitter.com/shinichitakaoka

高岡伸一さん 写真
  • ニューアストリア

    大阪府豊中市新千里東町1-3-8 せんちゅうパル B1F

    北大阪急行・大阪モノレール「千里中央」駅すぐのビル地下にある喫茶店。アツアツのカツサンドが人気。

    ニューアストリア
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