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名古屋のラジオDJ・加藤玲那さんも納得!UR防災専門家が教える、今日からできる備え&心掛け

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J-WAVEをはじめとするJFL5局で放送中のラジオ番組『UR LIFESTYLE COLLEGE』。
2025年12月28日の放送では、名古屋のラジオ局ZIP-FMのナビゲーターである加藤玲那さんが、愛知県豊明市の豊明団地
と唐竹芝生ひろばで行われたイベント「地域防災フェスタ」の様子をレポート! イベントで防災に関する講座を行った、葛西優香さんにお話をうかがいました。
学びと出会いが広がる防災イベント
敷地内に藤田医科大学地域包括ケア中核センターが運営する「ふじたまちかど保健室」があるなど、お住まいのみなさんの健康を支える活動が活発な豊明団地。この地域で暮らす子どもがいる家庭やシニア世代、外国人をはじめとする多様な住民の防災意識の向上と、つながりのきっかけづくりを目的に、2025年11月にイベント「地域防災フェスタ」が開催されました。

豚汁や、お湯や水を注いでしばらく置くだけで食べられるアルファ米を使ったアレンジ料理といった炊き出しの試食、消防団員になった気持ちで消防車を引っ張る「消防車綱引き大会」、名城大学都市情報学部による防災に関するクイズの答えを釣って解答する「防災つりぼりゲームEX」、新聞紙でスリッパ、藤田医科大学によるポリ袋でポンチョを作る「防災グッズづくり」など、楽しみながら防災を学べるイベントでした。
このイベントに、地元のラジオ局ZIP-FMのナビゲーターである加藤玲那さんも参加! イベント内で講座「災害は日常の延長線上で起こる~あなたの備えを一緒にチェックしよう~」を担当した、葛西優香さんにお話をうかがいました。


今回のイベントでは、消火器の使い方を学べる「消火器体験」や、外国出身の指導員からAEDの使い方を知ることができる「赤十字救急法講習」など、この機会だからこそ経験できる内容が盛りだくさんでした。
特に印象的だったのは、日本人に加えて、外国の方の参加者も非常に多かったことです。

この地域には、多くの外国の方が暮らしているとうかがっています。ベトナムの方やブラジルの方にお話を聞いてみると、「自分の国では地震を経験したことがなかった」という方がほとんどでした。初めて地震を経験したときには、何が起きているのか分からず、「隣の人が暴れているのかと思った」そうです。
地震を知らなければ、どう備えれば良いのかも分かりませんよね。だからこそ、こうしたイベントで防災について知ってもらえたらと思います。



今日は外国の方だけでなく、お子さんがいるご家庭やシニア世代など、さまざまな生活スタイルの方がいらっしゃいました。
いざというときにみんなで助け合うために、どんなことを心掛けると良いですか?

こうした場にただ参加するだけでは、なかなかコミュニケーションは生まれません。
ブースにいる方に声を掛けてみたり、外国の方が自国の料理を提供していたら「これはどんなときに食べる料理なんですか?」と聞いてみたり、そんな小さな会話の積み重ねが、顔見知りの関係へとつながっていきます。
後日、普段の生活の中で再び顔を合わせたときには、自然とあいさつが交わせると思いますよ。

なるほど! 私もご近所のよく見る方にあいさつしてみます!

普段から意識しておきたい「自助」と「共助」
講座などで、地域の防災意識の向上に尽力している葛西さん。このような活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか。

日本は災害が多い国ですが、防災を自分ごととしてとらえる機会はあまり多くないように感じます。だからこそ、このイベントは普段の行動を見直すきっかけになりますね。
葛西さんは、このような活動や取り組みに、いつごろから関わってきたのですか?

幼少期に阪神・淡路大震災を経験しましたが、その後は特に防災を意識することなく過ごしていました。社会人になってから発生した東日本大震災をきっかけに、「防災をもっと伝えていかなければならない」と強く感じるようになりました。当時は全く別の仕事をしていましたが、その思いから転職し、地域に防災を伝える活動に携わるようになりました。
現在は福島県浪江町に移住し、地域のみなさんと協力しながら、助け合いの関係性をはぐくむ活動に取り組んでいます。


そうだったのですね! 私は中学校の部活動中に東日本大震災を経験しました。帰り道で電車が止まり、家族ともすぐに連絡が取れず「みんながバラバラになってしまった」と強く感じた瞬間でした。この経験をきっかけに、防災を意識するようになりました。
葛西さんはUR防災専門家としても活躍されていますが、どのような形で団地での活動をしているのですか?

団地のみなさんと一緒に取り組んでいるのが、「地区防災計画」の策定です。防災計画というと行政がつくるものというイメージを持たれがちですが、「地区防災計画」は住民の方々が主体となって自分たちにできることを考え、身近な内容を書き込んでいくものです。
また、防災を楽しく学べるイベントもこれまでにみなさんとつくり上げてきました。


葛西さんが制作に関わったURの「地震・水害に向けたそなえのガイドブック(プレ版)」が完成したとうかがいました。
このガイドブックに込めた思いを教えてください。

URにお住まいのみなさんの中には、「災害時もURの職員さんが助けに来てくれる」と、どこか期待している方も多いと思います。しかし、実際に災害が起きたときには、URの職員さん自身ともに被災者になります。
だからこそ災害時に必ず助けがあるとは限らないという現実と、普段から自分たちで備えておくことの大切さを伝えるために、このガイドブックを制作しました。
>>「地震・水害に向けたそなえのガイドブック(プレ版)」のPDFはこちら

ガイドブックの中に、「自助」と「共助」というキーワードがありました。これらは、どのような意味なのでしょうか?

「自助」とは、自分の命を自分で守れるように、日ごろから備えておきましょうという考え方です。
大きく三つあり、家具の下敷きにならないための家具転倒防止対策、自宅避難が続くことを想定した備蓄品の準備、水が流れなくなったときのための携帯トイレの備えです。こうした準備は、自分でできる「自助」です。

一方で「共助」とは、どれだけ備えをしていても、どうしても誰かの助けが必要になる場面があるという考え方です。災害時には多くの人が一斉に消防や救急に連絡するため、すぐに対応してもらえないこともあります。そんなときに頼りになるのが、ご近所さんの存在です。
今は、集合住宅に住んでいても隣の人の顔が分からない、という状況が珍しくありません。だからこそ、日ごろからあいさつを交わすこと。そして地域のイベントがあれば顔を出して、知り合いを少しずつ増やしていくこと。さらに、少し踏み込んで災害時の話や、普段困っていることなどを話しておくことが、いざというときに助け合える関係づくりにつながります。
防災は「断捨離」から!?
いざというときに備えて、今日からやるべきことを葛西さんに教えてもらいます。

防災というと、たくさんの備えが必要というイメージがあります。
どんなことから始めるのが良いですか?

そうですよね。備蓄品の準備も必要なのですが、今ぜひやってほしいのが断捨離です。
お家の中に物が多いと、それだけ落ちてくる物、倒れてくる物も増えてしまいます。まずは整理整頓をして物を減らすことも重要なんです。
転倒時のけがを避けるため、私は自分の身長より高い棚は置かないようにしています。「背の高い収納がないと物が整理できない」となったときは、「そもそもこの物は本当に必要?」と、改めて考えてみることをおすすめします。


「自助」とは、ただ備蓄するのではなく、何があれば安心して過ごせるのかを意識することなんですね。
いざというときのために、知っておいた方が良い考え方を教えてください。

日本は大きな災害が起きる可能性が高いですし、この団地もそうであるように、外国の方もたくさん暮らしています。災害が起きたときは、日本人も外国人も関係なく、みんなが被災者になります。
だからこそ、「外国人だから」、「日本の文化が分からないから」と線を引いてしまうのではなく、共に生きる「共生」がとても大切だと感じています。同じ場所で共に暮らし、そして一緒に被災する存在だからこそ、日ごろから会話を重ね、理解し合っておくことが本当の助け合いにつながるのだと思っています。

「地域の人と交流できる貴重な機会!」


今回のイベントで心に残ったのが、「消火器体験」での消防団さんとの交流です。普段はなかなか直接お話する機会がありませんが、実際に言葉を交わすことで、消防士さんの人柄や、地域で働く人とのつながりを実感できたのがとても良い経験になりました。
私は家族と海抜ゼロメートル地帯に住んでいるため、防災は決して人ごとではありません。地震だけでなく、水害や台風など、身近に起こりうる災害についても、日ごろから意識していく必要があると改めて感じました。


地域の防災意識の向上&つながりづくりを目的に「地域防災フェスタ」を開催
- ・炊き出しの試食、「消防車綱引き大会」、「防災グッズづくり」などができる、楽しみながら防災を学べるイベント
- ・いざというときに、みんなで助け合える関係をつくるために、イベントや日常で顔見知りの関係をつくることが大切
- ・自分の命を自分で守るための「自助」、どうしても助け合いが必要になる場面がある「共助」の両方を意識しながら、日ごろから災害に備える

愛知県豊明市二村台5-1-1 他
名鉄名古屋本線「前後」駅からバスで4~8分、バス停から徒歩で1~6分。
名勝「二村山」に程近い自然豊かな環境。団地に隣接する「唐竹公園」では広いグラウンドで球技も楽しめます。
団地内には、郵便局やスイミングスクール、地域包括支援センター、地域住民の健康相談や専門家による各種講座を受けられる「ふじたまちかど保健室」、病後児保育室「えがお」など、くらしを支える施設が充実し、安心して暮らすことができます。管理サービス事務所には、シニアの方々からの相談対応を行う「くらしつながるサポーター」がいます。

葛西 優香さん
株式会社いのちとぶんか社 取締役、福島国際研究教育機構(F-REI)研究員、UR防災専門家、防災士。
「平常時の繋がり(=共助)が命を救う」ことを信念に、災害時に役立つ地域コミュニティづくりの推進、地区防災計画の策定、防災セミナーの講演などを多数実施。現在は東京大学大学院 情報学環・学際情報学府社会情報学専攻博士課程に進学し、最新の防災研究も行っている。

加藤 玲那さん
ラジオDJ、俳優、ナレーター。愛知県愛西市出身。
現在も愛西市で自然と共に暮らしている。趣味はまち散策やひとり旅、ドライブ。
ZIP-FM NAVIGATOR AUDITION 2024準グランプリ受賞。現在は、ZIP-FM「SCAMPER」(土・日 6:00~7:00)、「ROCKER ROOM」(水 24:00~25:00)のパーソナリティーを担当。

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