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社宅を個人契約に切り替えるには?必要な手続きの流れと注意点

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あるとうれしい家賃補助(住宅手当)や社宅などの福利厚生制度。特に、社宅は何かと経済的な負担が軽減されるメリットが多く、物件探しや契約時の手続きを、自分でせずに済む点も魅力です。しかし、何らかの事情で勤務先を退職することになり、その後も住み慣れた社宅での生活を希望する場合は、どうすれば良いのでしょうか。個人契約に切り替えて、同じ部屋に住み続けることができるのか。ここではその方法をお伝えします。

個人契約と社宅契約の基礎知識

借り上げ社宅は、どんな仕組みになっているのか。個人で賃貸契約を結んで借りるのと、何が異なるのか。まずは、基本的な違いやポイントを整理してみましょう。

●社宅の個人契約とは?

個人契約とは、勤務先とは関係なく、自分で賃貸マンションなどの住まいを探し、不動産会社などを介して、貸主と個人で賃貸契約を結ぶことをいいます。希望する賃貸物件が見つかったら、年収など入居者の情報を記載した申込書類を提出して入居審査を受け、家賃の支払い能力などに問題がなければ契約となります。
借り上げ社宅の場合は、個人ではなく勤務先の企業が、貸主と法人契約を結んでいるのが大きな違い。
個人契約と法人契約では、審査内容や必要書類などの手続きに異なる点があります。

●社宅契約の基本的な特徴

お伝えした通り、借り上げ社宅は、勤務先の企業が、大家さんや管理会社などの貸主と法人契約を結んでいる物件です。ですので、初期費用の敷金と礼金、月々の賃料などの支払いも、基本的には、勤務先の企業が貸主に対して行います。
社宅へ入居する社員に、初期費用の負担はなく、月々の賃料の一部を、給料から引かれる形で負担するのが一般的です。
貸主と入居する社員の間には、個別の契約は交わされませんので、貸主は勤務先の信用情報をもとに、居住審査を行うことになります。

●社宅契約と家賃補助の違い

家賃補助(住宅手当)は、社員が個人契約で借りている住居費用の一部を、勤務先が支給する制度。ですので、社員が家賃を支払う相手は、貸主となります。社宅と家賃補助(住宅手当)では、そのほかにもいくつか違いがあります。
特に注目したいのが、社宅では社員の個人負担となる月々の賃料が、相場よりも抑えられる傾向がある点。これは勤務先の企業が、賃料の一定割合を負担し経費とすることで、節税のメリットを得られるようになっているためです。給与所得に合算される家賃補助(住宅手当)と違い、社会保険の保険料や税金の負担が増えないことも、社宅のうれしいポイント。
先にお伝えした通り、敷金や礼金などの初期費用も、勤務先の負担となることが多いため、社宅はぜひ利用したい制度といえます。

社宅の法人契約を個人契約に切り替えられるケースと手続きの流れ

勤務先を退職することになり、社宅の退室を求められそうですが、住み慣れた社宅に暮らし続けたい。そんなときにどうすれば良いか、具体的な手続きを紹介します。

●社宅の法人契約を個人契約に切り替えられるケース

法人契約である借り上げ社宅を、入居者の社員が個人契約に切り替えられるのは、基本的に退職時に限られます。
一番多く考えられるケースは、勤務先を退職するため社宅の退室を求められたが、子育てや配偶者の通勤などの事情から、同じ社宅に住み続けることを希望する場合でしょう。
“次に社宅に入居する社員が決まっている”、“社宅の個人契約への切り替えを認めない規定がある”という場合は、諦めざるを得ないかもしれませんが、まずは勤務先との交渉を進めましょう。

●社宅の契約を個人契約に切り替える手続きについて
【STEP1】勤務先に確認する
まず総務部などの担当窓口に、現在の法人契約を個人契約に切り替えできないか、問い合わせましょう。社宅に次の入居者が決まっていたり、ルール上難しいということがなければ、どのような手続きをすれば良いか、必要な書類などを確認して準備を進めます。
法人契約の切り替えに当たっては、勤務先の協力が不可欠のため、こちらの事情を丁寧に説明の上、住み続けたい理由を分かってもらうようにします。
社宅の個人契約への切り替えをあらかじめ想定している企業では、スムーズに対応できるよう一部作業を代行してくれる場合もあるようです。
【STEP2】大家さんや管理会社に確認する
勤務先からの回答が得られたら、大家さんや管理会社など貸主に、個人契約への切り替えが可能か問い合わせましょう。継続的に法人契約を希望している場合などは、貸主から断られてしまう場合もあります。
賃貸契約を結べないとなると、住み続けることは難しくなりますので、こちらも早めの確認が必要です。
【STEP3】個人契約への切り替え手続きを行う
勤務先と貸主への確認が取れたら、法人契約から個人契約への切り替えを進めます。
借主が変更になるため新規契約となり、入居審査や必要書類の準備が必要です。この点で、結婚で名前が変わる名義変更などの届け出の手続きとは異なります。年収などの情報が記載された証明書と、申込書類で家賃の支払い能力の審査を受け、住民票などの必要書類を提出して個人契約を新たに結びます。審査の結果、入居が認められないこともあるので、注意が必要です。
勤務先を退職後に個人事業主となる方は、必要書類などが変わる場合がありますので必ず事前に確認してください。

社宅を個人契約に切り替えるときに確認すべきこと

新規に賃貸契約を結ぶには、敷金・礼金などの初期費用のほか、保証人が必要になることも。早めの準備が必要なときの、気を付けたいポイントをまとめました。

●敷金・礼金

法人契約で勤務先の企業が支払っていた敷金は、いったん返却され、個人契約で新たに納め直すことになる可能性が高いと考えられます。返却先は勤務先となりますので、間違って敷金の返却を受けた場合は、速やかに勤務先に渡すようにします。この後で説明する原状回復に関連して、敷金の精算が必要となる場合もありますので、貸主や勤務先と連絡をきちんと取り合って手続きを進めます。
法人契約の解約が完了した後で、新たに結ぶ個人契約で設定された敷金のほか、礼金が発生する場合は、そちらも合わせた金額を貸主に支払います。早めに必要な費用を用意しておきます。

●原状回復費用

法人契約の解約に伴い、建物の損耗状況を確認し、原状回復費用を敷金から精算するのが通常の流れです。
しかし、住まい手が同じで、家具なども置かれたままになるため、室内の状況確認が難しいケースもあります。将来的に個人契約を解約する段階になって、退去時に法人契約と個人契約の期間を通算して、個人で原状回復費用を支払うことにならないよう、あらかじめ貸主と確認しておきましょう。

●仲介手数料

貸主により対応が異なるため、確認が必要です。もともと勤務先の企業が、大家さんと直接法人契約を結んでいる場合は発生しませんが、管理会社を介している場合は、個人契約への切り替えに際して、仲介手数料の支払いを求められることがあります。法人契約である現状の賃貸借契約書に、仲介手数料が発生する場合の条件について記載があるかもしれないので、勤務先に問い合わせてみましょう。

●保証人

法人契約を切り替えて、新規に個人契約を結ぶに当たって、賃料の支払いなどを連帯保証してくれる保証人も、新たに必要となるのが一般的です。昨今は、保証会社の利用が可能なケースも多くあり、逆に保証会社の利用が条件となる場合もあります。保証人になってくれる人を探すのは、意外と大変なので早めに準備したいところです。

社宅から個人契約の負担が少ないUR賃貸住宅

●URの社宅は、お得な家賃割引制度により、入居者の負担が減る

お伝えしてきたように、社宅の法人契約から個人契約への切り替えには、さまざまなハードルがあり、簡単ではありません。そんな中、企業と個人、両方にとって使い勝手が良く、メリットの多い社宅を可能にするのがUR賃貸住宅です。

まず注目したいのが、礼金・仲介手数料・更新料・保証人が不要だという点。一般的な賃貸住宅と比べて、入居時の費用負担が少なくなっています。
さらに法人契約は、契約戸数に応じた家賃割引制度があり、2戸以上の同時契約を対象とした「複数戸割引制度」と、10戸以上を契約中の法人を対象とした「大口割引制度」で、5年間の家賃・敷金が5~10%割引きされます(対象物件についてはURの担当窓口に確認が必要)。

借り上げ社宅として、勤務先の企業が支払う賃料が減るため、社員の負担分も軽減される可能性があります。上場企業の場合は、敷金免除や提出書類が簡略化されるほか、社宅制度がない企業でも、URと協定を締結することにより、社員による個人契約が、通常2カ月分の敷金が1カ月分に、さらに1カ月分の家賃が無料となるといったお得な制度もあります。

●URなら社宅から個人契約の切り替えも負担が少ない

社宅としてUR賃貸住宅に暮らしていて、勤務先を退職することになった場合、個人での申込資格があれば、入居中に法人契約から個人契約へ切り替えることができます(一部、対象とならない契約があるためURの担当窓口へ問い合わせが必要)。
その際も、礼金・仲介手数料・更新料・保証人は不要で費用負担が少なくて済みます。一般の相場と比べて初期費用で家賃2~3カ月分の節約が可能で、原状回復義務も明確なルールがあるため、出費を抑えやすいのが特長といえます。

気に入った社宅なら、そのまま暮らせる方法を見つけよう

小さい子どもがいる子育て世代では、保育園や学校を変えずに、同じ所に住み続けたいと考える家族も多いのではないでしょうか。
退職したら勤務先の社宅は、引っ越さなければいけないものと結論を急がず、まずは勤務先や貸主と交渉することをおすすめします。
法人契約から個人契約への切り替えの過程で、予想しなかった特典やサービスが得られる可能性もゼロではありません。お伝えしてきた手続きの流れや、注意事項を参考にしてみてください。
もし、現在UR賃貸住宅の社宅に暮らしているという方は、個人での申込資格さえあれば、入居中に、社宅の法人契約から個人契約への切り替えが可能な場合がありますので、ぜひURの担当窓口に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

監修/豊田 健一

記事のまとめ

社宅は退職後は退室が原則だが、借り上げ社宅を個人契約に変更できれば住み続けられる

  • ・勤務先、貸主の順に、個人契約へ切り替えができるか問い合わせ、可能な場合は新規に敷金、礼金、仲介手数料などを準備
  • ・同じ部屋に住み続けることになるため、社宅(法人契約)解約の際の、原状回復費用と敷金の取り扱いには注意する
  • ・UR賃貸住宅の借り上げ社宅に暮らしていた場合、個人契約への変更がスムーズにでき、費用負担が少なくて済む場合がある

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