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オリジナルな取り組みで、住民同士の交流&街の環境を引き継いでいく「千里ニュータウン」

大阪府豊中市~吹田市にまたがる日本初の本格的なニュータウン「千里ニュータウン」。豊中市の新千里東町では、父親のグループと子どもが一緒に遊ぶ「東丘ダディーズクラブ」の活動や、住民による公園や道路の清掃・整備活動などが行われています。「千里ニュータウン」紹介冊子『ぶらり千里』の編集に携わった太田博一さんに、 「千里ニュータウン」で行われている活動や団地での暮らしについてうかがいました。

「千里ニュータウン」の暮らしの変化を記録

「千里ニュータウン」は、今から50年以上前に大阪府の開発事業として建設されました。かつてこの事業に参加した都市計画と建築のコンサルティング会社に勤めていた太田さんは、現在、住民として地域活動に関わっています。

「会社の事務所が『千里ニュータウン』内の北千里にあったので、通勤しながらいつもニュータウンの様子を眺めていました。その後、 『千里ニュータウン』がどのように変化しているのか、計画的につくられた街で、どのように暮らしが育まれてきたのか、ということに興味を持つようになったのです。しかし、都市計画や建築に関しての資料や論文はたくさんあるのに、住民の暮らしの歴史はあまり注目されていませんでした。」

住民の暮らしの歴史を調査・研究するために、太田さんは住民や研究者の方たちとともに、ある活動を始めます。

「住民や大阪大学の先生、学生の方たちと一緒に『千里グッズの会(現:千里ニュータウン研究・情報センター)』を立ち上げました。千里グッズの会ではまず、魅力的な街には魅力的なお土産があると考え、千里の風景写真の絵はがきを作ることに。けれど、10年くらい経つと、写真に写っている建物が、どんどん建て替わっていきました。そこで変化していく街の様子を記録することが大事だということに気付き、風景だけでなく、地域の暮らしに関わる思い出話を聞き取り、まとめる活動を始めました。」

この場所の住民&環境に愛着を持てる住民参加イベント

「千里ニュータウン」の住宅へ入居が始まった1960年代は、子どもがいる家庭が多く、近隣家族同士の交流が多かった時代。

「団地には、しょうゆの貸し借りができるようなご近所付き合いがありました。ところが2000年頃になると、子どもの数が減り、コミュニティのつながりも薄らいでいきます。
そこで新千里東町では、地域住民の交流を増やそうと、地域の運動会やお祭りなどを開催するほか、父親が子どもたちと一緒に遊ぶための父親の会『東丘ダディーズクラブ』が生まれます。小学校の校庭にテントを張って宿泊したり、遠足をしたりしています。」(なお、現在は集合住宅の建て替えによって子育て世代が増え、子どもの数も増加)

また、新千里東町では自分たちの住んでいる街の環境を大事にしようと住民が参加し、公園の池や竹林の清掃・整備を行っています。

「公園の池や竹林は、『千里ニュータウン』開発時に計画的に残されました。住民が清掃・整備することによって、街の歴史や環境などを実際に見て知ることができます。環境を手入れすることで、その土地の歴史や環境を学ぶのは良いことだと思います。」

千里の魅力を育み、つないでいく

今後はどのようなことを考えているのでしょうか?

「団地内や公共空間に、豊かなオープンスペースがあります。ここに共同花壇などを設けて身の回りの環境の手入れに、住民がもっと関わるようになればと思っていますね。住民自らの手で環境を守り育てて、子どもたちに伝えていくことが大事ですし、それが街の良さや魅力を育むことにつながると思います。
このようなコミュニティ活動に若い方が参加してもらうためにはどうしたら良いか、ということが課題だと感じています。 」

新千里東町のボランティアによって運営されているコミュニティカフェ「ひがしまち街角広場」は、まさにその課題の解決策を探っているようです。

「スタッフは、カフェを始めたころから15年以上活動してくださっている方が中心。若い方にもこの活動をつないでいきたいので、この場所を単なるカフェではなく、パソコンで仕事をしながら子どもの面倒をみつつ交流できるような、ワーキングスペースにするといったこともあるのではないかと考えています。」

まだまだ話がつきない太田さん。着々と広がっていく団地コミュニティの輪に期待が膨らみます。

記事のまとめ

「千里ニュータウン」では、住民の交流を増やすためのイベントや活動を定期的に開催

  • ・太田さんが共同代表を務めている「千里ニュータウン研究・情報センター」(通称ディスカバー千里)は、千里の風景写真の絵はがきを製作しているほか、地域の暮らしの歴史をまとめて発表している
  • ・「千里ニュータウン」内にある新千里東町では、運動会や、父親と子どもが一緒に遊ぶ『東丘ダディーズクラブ』の活動があり、池や竹林の清掃・整備活動なども行われ、住民自らが身近な環境の手入れを行うことで、街のなり立ちや歴史を学ぶ機会にもなっている
  • ・URには、地域のイベントやお祭りが行われるなど、コミュニティ活動が盛んな団地が多い

今回の先生:太田博一さん

千里ニュータウン研究・情報センター「ディスカバー千里」の共同代表。「千里まちあるきガイドボランティア養成講座」の講師も担当。ニュータウンの研究に携わるとともに、コミュニティカフェ「ひがしまち街角広場」を始めとする地域活動を実践。

遠山 健太さん 写真
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