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子どもがのびのび遊べる工夫満載の遊び場が誕生!オープンを地域みんなで祝う「ひろばがあそVIVA!Part3!」
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子どもがのびのび遊べて、地域の人たちが集える「懐かしいけど新しい、魅力的な遊び場」をつくる。千葉県千葉市の高洲第二団地では、そんなプロジェクトが、地域のみなさんとともに進められてきました。そしてついに、待望の新しい遊び場が完成!
お披露目イベント「ひろばがあそVIVA!Part3!」には移動式遊び場も登場し、たくさんの笑顔があふれました。
地域のみなさんのアイデアが集まった遊び場
高洲第二団地の魅力的な遊び場づくりがスタートしたのは2021年。このプロジェクトでは、望ましい遊び場を地域の方たちと一緒に考え、つくり育てていくことを重視。イベントやアンケート調査などで意見を募るとともに、有識者を迎えて子どもの遊びについて学びながら、新しい遊び場についての意見交換をするワークショップ「みんなで考える遊び場プロジェクト」(以下、ワークショップ)も実施し、地域みんなで検討を進めてきました。
完成を祝うお披露目イベント「ひろばがあそVIVA!Part3!」には、開場前から来場者が集まり、みなさん新しい遊び場のオープンを心待ちにしていた様子。子どもたちは開場と同時に「わぁー!」と歓声を上げて駆け出し、気になる遊びのスポットへまっしぐら。夢中で遊び始めました。
好奇心やさまざまな動きを引き出す遊具や仕掛け
魅力的な遊び場づくりでは、子どもたちが健やかに成長できる場を目指し、子どもの発達に重要とされる「36の基本的な動き」(※)に着目。登る、走る、といったさまざまな動きを遊びの中で自然に経験できる工夫が、遊具やスペースに盛り込まれていました。
※幼少期に身に付けたい36の基本動作のこと。体のバランスを取る動き(立つ、起きる、回るなど)、体を移動する動き(歩く、走る、跳ねるなど)、用具を操作する動き・力試しの動き(持つ、支える、運ぶなど)がある
●しろやますべり台
幅広でてっぺんの高さに違いがある山型の造形なので、年齢などに応じたすべり方や登り方ができます。複数人で手をつないですべることで、友達とのコミュニケーションを深めることも期待できます。
イベントのオープニングでは、新設された「しろやますべり台」のすべり初めが行われました。子どもたちがすべり台のてっぺんに並び、「10、9、8…」と、子どもも大人も声を合わせてカウントダウン。満面の笑みですべり降りた子どもたちに、会場から温かい拍手が送られました。
このすべり台について、楽しく安全な遊び場づくりの専門家であり、ワークショップで講師を務めたNPO法人「プレイグラウンド・セイフティ・ネットワーク」代表の大坪龍太さんは、こう語っていました。
不思議な形のしろやま(すべり台)を目にした子どもたちは、興味をひかれ登ってみたくなり、どうやって遊ぼうかと想像力をかき立てられるでしょう。自分で自由に考えて、自分のやりたいことを見つけてチャレンジできる環境は、子どもの成長や発達にとって大切です。そんな自由な発想で楽しく遊べる場所になっていくのではないかとワクワクします!これからがとても楽しみです。
●芝生の小山
起伏のある地面を登ったり走ったりすることで平衡感覚などが養われます。小さな子どもは、ハイハイでよじ登るなどの動作が生まれることも狙ったスポット。腰を下ろすことも寝そべることもでき、居場所にもなります。
●ステップ舗装
子どもたちが大好きな「道遊び」をイメージ。通路にカラー縁石を設置することで1本橋渡りなど遊びの幅が広がります。さらに、ビビッドな色使いにより通路も遊び場でもあることを認識しやすくしています。
この日は、子どもたちがカラー縁石を道路に見立てて、街並みを作っていました。
●見守りベンチ/休憩ベンチ
子どもへの手助けや声掛けといった、親子のやり取りをしやすい距離、高さにベンチを設置。
曲線状の造形により、子どもと一緒に遊ぶことはもちろん、座っている人同士のコミュニケーションが取りやすく、大人がつながり合えることも意図しています。
子どもを見守っていたママは、「遊び場は親にとっても貴重な情報収集や気分転換の場なので、座れる場所はありがたい」と、喜んでいました。
広場や地形、植栽でどこでも遊び場に!
既存の広場や植栽を生かしながら、さまざまな動きを経験できる場や、誰もが過ごしやすい空間をつくることも、魅力的な遊び場づくりのテーマの一つとなっていました。
●ひろびろ原っぱ
芝生が一面に広がる、解放感あふれる広場空間。
イベントでは、移動式遊び場の楽器や積み木、跳躍器具、木材など、遊びの道具や素材がたくさん登場。音遊びでは、この場で知り合ったパパママ&子どもたちによる見事な即興合奏も!
エキサイティングな対戦を繰り広げた大縄綱引きに参加したママは、「何十年かぶりで楽しかった!」と、興奮冷めやらぬ様子でした。
URの若手職員有志からなる「ABCプロジェクト」は、居心地の良いこの原っぱでくつろいでもらおうと、いすやテーブルを配置した「まったりコーナー」を開設。昼時にはランチを広げて楽しむ人たちもいました。
この広場の印象を、ワークショップで自由な外遊びの大切さを解説してくれた遠山健太さんにうかがいました。
緩やかに起伏している地面を走ることで、うまくバランスを取る運動能力が培われますし、天然芝の冷たさや温かさ、チクチクするなどの感覚を足の裏で感じ取ることは子どもにも大人にも大事なので、ぜひ地面にガラスなどの危険物がないかチェックをした上で、思いっきりはだしで走り回ってほしいです。また、遊び場全体や敷地外の道路まで見通せることは、安心して子どもを遊ばせる上で大変重要な要素になっていると思います。
●こもれびの丘
遊び場の一角に位置する、小高い木立のエリア。木陰でのんびり休んだり、斜面に腰掛けて広場を眺めたり、高い場所を「だるまさんが転んだ」のスタート地点にするなど遊びの拠点にも使えます。
この日は、木々にロープをつないだ綱渡りコーナーに! 子どもたちは揺れるロープをしっかりつかみバランスを取りながら、ちょっとスリリングな遊びを楽しんでいました。
●かくれんぼの林
以前からある地面の起伏や樹木を残しつつ、新たに低木をランダムに植樹したエリア。低めの木が生い茂ると小さな子どもが隠れられるようになり、子どもの発達に重要とされる「向こう側にある・ない」、「見え隠れ」などを経験できます。
このエリアの起伏を利用して設置された大きなビー玉転がしに、子どもたちは熱中! たくさんまとめて転がしたり、転がした先に鉄琴を置いて音を奏でたりしていました。
順番待ちの列ができていたのは、移動式遊び場の遊び道具を積んだ車のすべり台。普段はできない体験に、みんな心をときめかせているようでした。
通路脇のスペースにはハンモックが並べられ、女の子が「気持ちいいー!」と、目を細めていました。
「こうした余白の空間も大事な遊び場」と、移動式遊び場を実施した遊びの達人・かーびー(星野諭)さんが教えてくれました。
広場や遊びのエリア、通路、余白と、おもむきの異なる場所があり、さらに起伏があるなど変化に富んだ遊び場は、子どもの多様な動きを引き出し、人々にさまざまな行動や使い方をもたらすでしょう。
木々があることで、四季折々の色や生き物との触れ合いが楽しめ、秋には落ち葉遊びのように、自然が提供してくれる素材で面白い遊びが生まれるかもしれませんね。
みんなの意見で「しろやま公園」に決定!
イベント中、新しい遊び場の名前を決める投票も行われました。子どもたちも候補の名前を見比べ、迷いながらも直感に従って投票。ボードに並んだ候補は、地域のみなさんが考え、ワークショップで集めて絞り込んだ名前です。
イベント終盤には、いよいよ投票結果の発表が。3割以上の票を獲得し、この遊び場の名前が「しろやま公園」に決まりました!
会場には、新しい遊び場ができるまでの足跡が展示されていました。
これまでの活動を振り返っての感想を、URの殿西さんにうかがいました。
地域のみなさんが求める遊び場を探るところからのスタートでしたが、過去に行ったイベントなどで意見や希望を直接うかがえたことで私たちの取り組みの方向性が間違っていないと確信を持てました。
ワークショップでは、地域のみなさんと新しい遊び場の使い方を考えてきました。一緒に検討したことで目指したい遊び場のイメージを共有でき、参加者みんなの思いをまとめた「みんなの想い」も作ることができました。遊ぶのはもちろん、話したり、のんびりくつろいだりすることもできる場所です。ぜひ気軽に使っていただきたいです。
そして、総合監修者としてプロジェクトに当初から携わってきた大妻女子大学・教授の木下勇さんに、このプロジェクトのこれまでと今後について語っていただきました。
プロジェクトの活動にいろいろな方が関わり、人の縁やつながりが徐々に広がっていったことをとても素晴らしく思います。まちづくり関連で、かつての「縁側」のように地域の誰もが気軽に立ち寄り、集い、つながり合える居場所「まちの縁側」という言葉がありますが、この遊び場が「まちの縁側」となり、さまざまなコトやモノが生まれる拠点に発展するのではないかと期待しています。
会場では、年齢の異なる子ども同士や大人が一緒に遊び、遊びや見守りの中で会話が自然に生まれている様子がところどころで見られました。それは、地域のみなさんとともにつくり、多くの方たちに待ち望まれた「しろやま公園」らしい光景のように思えました。
高洲第二団地の「懐かしいけど新しい、魅力的な遊び場」がついに完成!
- ・2021年から、新しい遊び場についての意見交換を行うプロジェクトを実施。地域みんなで検討を進めてきた
- ・子どもたちが健やかに成長できる場を目指し、子どもの発達に重要とされる「36の基本的な動き」に着目。さまざまな動きを遊びの中で自然に経験できる工夫が、遊具やスペースに盛り込まれている
- ・お披露目イベントでは、来場者からの投票で遊び場の名前が「しろやま公園」に決定
千葉県千葉市美浜区高洲4ほか
JR京葉線「稲毛海岸」駅から徒歩3~7分。「東京」駅まで乗り換えなしで約35分という、交通の便の良さも魅力です。
団地内や近隣に遊び場や公園が充実しており、保育園など子育て関連の施設もそろっています。近くの稲毛海浜公園には、プールや野球場、ミュージアムなども併設されていて、家族で楽しむのにもぴったり。駅前には各種商業施設も充実しています。
くらしのカレッジ編集部は、「くらし」に関するさまざまなヒントをお届けすることを目的に、インテリア、リノベーション、DIY、子育て、イベント情報など、生活を豊かにするアイデアや日常的に楽しめるコンテンツをご紹介しています。
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