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賃貸の初期費用。内訳と相場、安く抑える方法、払えない場合の対処法

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賃貸住宅を借りるとき、家賃ばかりに注目してしまいますが、意外と忘れられているのが初期費用。「物件を借りるには家賃の5~7カ月分が必要」といわれますが、敷金、礼金以外にも、引っ越し費用や家具、家電の購入費用なども必要です。これらを合わせると想定外の出費になることもあるため、事前に知識を付けておくことが大切です。今回は、初期費用の基礎知識から相場、初期費用を抑える方法、支払えない場合の対処法を紹介します。

賃貸契約の初期費用に関する基礎知識

賃貸を借りる際にかかる初期費用には、どのようなものがあるでしょうか? まずは、初期費用の基礎知識を学びましょう。

●初期費用とは?

賃貸住宅の入居時に、家賃以外に支払いが必要となる費用です。これらをまとめて、初期費用と呼びます。初期費用とは別に、引っ越し費用なども発生するため、入居時は出費が多くなりがちです。初期費用を支払うタイミングは、賃貸契約の締結後になります。賃貸契約は、借主が気に入った物件に入居申し込みを行って、大家さんや不動産会社による入居審査の後の締結となり、この際に初期費用を支払います。不動産会社によっては、締結前の重要事項説明の後に手付金(初期費用の一部)の支払いが必要になることがあります。なお、重要事項説明とは、不動産会社などの宅地建物取引業者が、当事者に対して契約上重要な事項を説明する制度です。

●初期費用の内訳
・敷金
敷金は、退去時の原状回復費用や家賃滞納をした際に備え、大家さんに預けておくお金です。
契約終了後、退去時にそれらが引かれて戻ってきます。一般的には家賃の1~2カ月分程度ですが、敷金ゼロ物件も最近は増えてきました。関西では、関東とは商習慣が違い保証金と呼ぶケースがあります。
・礼金
礼金は、賃貸住宅を貸してくれる大家さんに、お礼として支払う費用です。敷金は保証金的な意味合いがあり、退去後に戻ってくるケースがありますが、礼金は退去時に戻ってきません。家賃の0~2カ月分程度が多く、近年は礼金ゼロ物件の割合が増えています。
・前家賃
一般的に、家賃は当月分を当月末でなく、前月末に支払います。そのため、契約時に翌月の家賃を支払う必要があります。月の途中から入居する場合には、契約時に当月分の日割り家賃が発生します。
・日割り家賃
入居日から月末までの月の家賃を、日割り計算した費用です。
・仲介手数料
物件の案内や、契約手続きを行った不動産会社に支払う費用。家賃の0.5~1カ月分+消費税が目安です。法律で上限は「家賃の1カ月分」と定められています。
・火災保険料
火災や水漏れトラブルなどに備えて加入する保険。損害保険会社に支払う費用となります。賃貸契約では、加入する義務があります。一人暮らしで1.5万円、家族で暮らす場合は2万円前後です。
・保証料
家賃保証会社を利用する場合に支払う費用。家賃の0.5~1カ月分が目安です。戻ってきませんが、万が一、家賃を支払えなくなった場合の備えになります。連帯保証人がいれば、不要なケースもあります。
・管理費・共益費
賃貸マンションなどの集合住宅の共用部分を管理・維持するためにかかる費用です。家賃の5~10%が相場になり、清掃費用、設備にかかる光熱費、保守点検費用、管理人の人件費などに使われています。ただし、不動産会社によって、家賃に含まれていたり、別途徴収されたりと、支払い方法が異なるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
・そのほか(鍵交換費用・消毒料など)
上記のお金のほかに、鍵交換費用や消毒料といった名目で設定された費用を、契約時に請求されることがあります。初期費用の項目は、契約する物件や不動産会社で異なりますので、契約する前にしっかり確認してください。
●初期費用に関するよくある疑問
・敷引き(しきびき)とは?
主に西日本に見られる賃貸契約での商慣習で、「保証金」とセットで使われる場合が多い傾向にあります。名目としては物件の修繕費用で、退去時に大家さんに預けた保証金から一定額の金額が差し引かれて、返金される制度になります。なお差し引かれる金額は事前に決まっています。
例えば「保証金2カ月、敷引き1カ月」の場合、退去時に家賃1カ月分が引かれた、1カ月分の保証金が返金されます。保証金と敷引きが同額の場合は、退去時の返金はありません。
・敷金はどれくらい返還される?
預けた敷金のうち、借主負担となる原状回復費用を引かれた金額が返金されます。借主による故意や過失などが原因のものは、借主の負担となってしまうので注意しましょう。
国土交通省住宅局の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、借主の原状回復義務の基本的な考え方は、「賃借人の居住・使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、そのほか通常の使用を超えるような使用による損耗などを復旧すること」と定義されています。そのため、壁の下地ボード張り替えが必要になるようなねじ穴、たばこのやにによるひどい汚れ、結露の放置によるカビなどは、借主負担となります。
また、原状回復費用に加え、退去時のクリーニング費用を引かれる場合もあります。この場合、特約として賃貸契約に盛り込まれていることが一般的です。賃貸契約時には、特約までしっかり目を通しましょう。

賃貸契約に伴う初期費用の相場

初期費用について、実際にはどのくらいの費用を目安に考えておけば良いのでしょうか? 一人暮らしの場合、家族で暮らす場合の相場を解説していきます。

●一人暮らしの場合(家賃7万円の想定)

敷金、礼金がそれぞれ家賃の1カ月分の物件に入居する場合、初期費用の相場は37.2万円になります。

  • 敷金7万円(家賃1カ月分)
  • 礼金7万円(家賃1カ月分)
  • 前家賃7万円
  • 日割り家賃3.5万円(半月分で計算)
  • 仲介手数料7.7万円
  • 火災保険料1.5万円
  • 保証料3.5万円

初期費用の37.2万円は、家賃のおよそ5倍。敷金、礼金2カ月分の物件の場合には、51.2万円となり、7倍の費用となります。まずは家賃の5~7倍を目安に、物件によって変動することを考慮に入れておいた方が良いでしょう。また、この初期費用のほかにも、引っ越し費用や、新生活の場合には、家具や家電の購入費用なども発生するため、事前にしっかり計算しておきましょう。

●家族で暮らす場合(家賃12万円の想定)

初期費用の相場は63.2万円になります。

  • 敷金12万円(家賃1カ月分)
  • 礼金12万円(家賃1カ月分)
  • 前家賃12万円
  • 日割り家賃6万円(半月分で計算)
  • 仲介手数料13.2万円
  • 火災保険料2万円
  • 保証料6万円

敷金、礼金2カ月分の物件の場合には、87.2万円。一人暮らしの場合と同じく、家賃の5~7倍程度になります。一人暮らしの場合以上に、家族で暮らす場合には、引っ越し費用や家具、家電の購入費用がかかるため、引っ越し資金は余裕を持って準備をしましょう。

賃貸契約の初期費用を抑えるポイント

思っているよりも高くなりがちな初期費用ですが、ポイントを押さえれば、低く抑えることもできます。それではどのような方法があるか、ここで紹介します。

●不動産会社の仲介手数料を抑える

不動産会社に相談する前に、仲介手数料の金額を確認するほか、自社所有物件の有無を確認しましょう。自社所有物件がある場合には、仲介手数料がゼロになる場合があります。
入居者が貸主と直接契約をすれば、仲介ではなくなりますので、そもそも仲介手数料が発生しません。また、最近では、仲介手数料を0.5カ月分などに引き下げている会社もありますので、こうした仲介手数料が少ない、もしくはかからない物件を探してみてはいかがでしょうか。

●不動産会社に希望を伝える

不動産会社に、あらかじめ初期費用に関する希望を伝えることで、希望に合う物件を紹介してもらえる場合があります。特に敷金、礼金は、条件として伝えやすく、低価格またはゼロの物件などを紹介してもらえることも。あらかじめ予算を伝えることで、ミスマッチがなくなり、お互いにメリットがあります。

●フリーレント物件、ゼロゼロ物件を探す

フリーレントとは、入居後の家賃が一定期間無料になるシステムです。1カ月分の家賃が無料となるケースが多いですが、一定期間入居しないと、ペナルティーがあるのが一般的です。フリーレントは家賃が一定期間無料ということで、礼金や敷金がゼロというわけではありませんので、しっかり契約内容を確認しましょう。また敷金、礼金が不要な物件、いわゆるゼロゼロ物件も最近増えています。フリーレント物件やゼロゼロ物件は、入居時にかかる費用を抑えることができるため、探してみることをおすすめします。

●不動産会社の繁忙期を避け、閑散期を狙う

不動産会社の繁忙期は需要が増えるため、敷金や礼金などの初期費用が割引されにくい傾向にあります。繁忙期は1~3月と、9~10月。それぞれ入学や入社、転勤などが増えやすい時期です。選べる物件は増えますが、割引は期待できません。

また閑散期は、敷金や礼金などの初期費用が割引されやすい傾向にあります。閑散期は6~8月。大家さんはなるべく空室を減らしたいため、繁忙期に比べ、割安で借りられることが多いです。さらに、引っ越し業者も繁忙期ではないため、引っ越し料金の見積もりもリーズナブルになりやすく、家賃、引っ越しともにトータルで費用を抑えることができます。

●荷物を減らす

すぐに始められることとして、荷物を減らすことも有効です。より専有面積の小さい家に引っ越しして、家賃などの初期費用を減らすことができるだけでなく、運ぶ荷物量が少なくなると、引っ越し料金も安く抑えることができます。引っ越しを検討しているのであれば、まずは服、家具、本など不要なものを捨てて、生活をコンパクトにするところから始めてみると良いでしょう。

●大家さんに交渉する

初期費用を抑えたい旨を伝え、大家さんと交渉することも手段の一つです。引っ越しの需要が少ない時期、長期で空室になっている物件は、応じてもらえる可能性があります。不動産会社を通じて大家さんに、礼金や敷金など初期費用を引いてもらえないか交渉してもらいましょう。

次に紹介するUR賃貸住宅では家賃や初期費用の交渉は行えませんが、初期費用を抑えられる上、お得な家賃プランも各種用意されています。

●UR賃貸住宅を検討する

UR賃貸住宅なら、礼金、仲介手数料、また保証人が必要ないため保証料もかかりません。そのため初期費用だけで、一般的な相場と比較して、家賃2~3カ月分を節約することができます。

<UR賃貸住宅で家族と暮らす場合(家賃12万円、共益費4000円の想定)のシミュレーション>
  • 敷金24万円(家賃2カ月分)
  • 礼金0円
  • 前家賃0円
  • 日割り家賃6万円(半月分で計算)
  • 日割り共益費2000円(半月分で計算)
  • 仲介手数料0円
  • 火災保険料任意
  • 保証料0円

初期費用は30.2万円、家賃1カ月分の3倍以下。一般的な賃貸住宅の場合には、63.2万円のため、30万円以上の初期費用が抑えられます。さらに、初期費用だけでなく、2年ごとの更新料もURの場合は必要ありません。これにより、契約後、仮に2年住めば更新料分のお金が浮くと考えられるため、ぜひ検討してみると良いでしょう。

賃貸の初期費用が払えない場合の対処法

初期費用はまとまった現金が必要になります。全額支払うのが難しい場合は、一括で支払う以外にもいくつか方法があるので、検討してみると良いでしょう。

●分割払いできる不動産会社を利用する

不動産会社によっては、分割払いに応じてもらえる場合があります。支払い方法は、クレジットカード払いと現金払いの2種類があり、クレジットカード払いの方が多い傾向にあります。またクレジットカードの一括払いしかできない場合でも、支払い後にカード会社に連絡して分割払いにする方法もあります。

ただし、クレジットカードの場合、支払い回数が増えるにつれて、金利・手数料がかかり、総額で支払う費用が増えるため注意して利用する必要があります。収入とのバランスを考えて、計画的に行うようにしましょう。

●ローンを利用する

融資目的が限定されていない銀行のフリーローン(多目的ローン)を、賃貸の初期費用の支払いに利用することが可能です。クレジットカードのカードローンよりも低金利で借りることができますが、申請から融資までに時間がかかることが多く、金利がかかり総額も増えるので、注意して利用するようにしましょう。

●自治体の助成金を調べる

引っ越し時の初期費用の一部に助成金が出る自治体があります。助成金を受けられる条件がそれぞれ定められているので、引っ越し先の自治体の助成金を確認しておくと良いでしょう。

助成金対象となりやすい条件は、たとえば、子育て世帯、新婚世帯、ひとり親世帯、高齢者世帯、障害者世帯があります。自治体によって対応が異なりますが、家賃補助だけでなく、引っ越し費用まで助成してもらえるので、該当する場合はまず自分で調べてみることをおすすめします。

賃貸契約で必ず発生する初期費用。忘れずに予算に入れよう!

「いざ賃貸契約を結ぶときになって、初めて初期費用の額を知る」ということは、避けたいところ。物件を探す段階で、初期費用も考慮に入れて進めるようにしましょう。家賃の5~7倍を目安として、費用をあらかじめ把握しておくようにしましょう。事前に初期費用のことを知っていれば、不動産会社とのやり取りもスムーズに進めることができて、こちらの要望に合った物件に出会える確率も高くなります。もし、初期費用が高額で困った場合でも大丈夫。分割などで賢くやりくりする方法もあります。引っ越す必要性が高い場合は対処法を検討すると良いでしょう。今回紹介したUR賃貸住宅のように、初期費用などを抑えることができる賃貸住宅もあります。事前にしっかりと計画を立て、納得のいく住まい選びをしてくださいね。

監修/加藤 哲哉

記事のまとめ

初期費用は抑えられる!物件探しのときから計画性を持って進めよう

  • ・初期費用の相場は家賃の5~7倍が目安。物件によって異なるので注意が必要
  • ・初期費用を抑えるためには、初期費用がお得な物件を探したり、不動産会社や大家さんと相談したりすることが大切
  • ・UR賃貸住宅なら一般的な相場と比較して、家賃2~3カ月分の初期費用を抑えることができる
  • ・さらにURは更新料も不要。2年以上住む可能性が高い場合は特におすすめ

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