住まいの事例

Kani's Home アイディア重ねて思いっきりDIY 賃貸だって、ここまでできる!

case study 014

kani邸

神奈川県相模原市 民間賃貸

間取:2LDK

今回は、UR×LIMIA 賃貸でも楽しめる!DIY アイデアフォトコンテストで「あなたらしくYOUR賃貸賞」を受賞されたkaniさんのお宅にお邪魔しました。場所は、神奈川県相模原市の閑静な住宅街に建つ築25年のマンション。扉を開ければ、シンプルな外観からは想像もつかないような別世界が広がります。聞けば、そこは原状復帰が必須の賃貸住宅ということ。制約の多さをものともせず思いっきりDIYするkaniさんに、その楽しみ方をうかがいました。数々の具体的なアイディアとともにお送りします。
賃貸だからこそ原状復帰できるDIYを
ーーーLIMIAフォトコンテスト受賞おめでとうございます!kaniさんはいつからDIYを始められたのですか?
kaniさん
2年半前くらいですね。ここには1年前から住んでいますが、前の家からはじめました。きっかけは高校時代の友人なんですよ。
以前、何かの用事で連絡を取って近況を聞いたら、「DIYで家具をつくっている」って言っていて。それでDIYについて気になりだして調べてみたら、久米マリさんの存在を知ったりしてどんどん興味が湧いてきて。
ーーーそうなんですね。一番最初に手掛けたのはどちらだったのですか?
kaniさん
キッチンですね。そのときはキッチンカウンターにすごく憧れがあって…古い賃貸住宅だとたいてい付いていないので、カラーボックスに板を張って作ったのが最初です。両脇にカラーボックスを置いて、側面を板で囲っていって。その上にアジャスターボルトで柱を立てました。
ーーーその後こちらに引っ越されたということは、念願の「ゼロからのDIY」を実現できたわけですね。
kaniさん
そうですね。まず最初は自分がよく立つキッチンからイメージしていきました。私がイメージを考えるときはいつもPinterest(ピンタレスト)で探すんですよ。そこで海外のインテリアを参考にして。例えば「レンジフード下」の仕様を探すときには、「キッチン」「レンジ回り」とかキーワードを入れて検索する。そこで気に入った写真を見つけたら、どんどん写真を見ながらインスピレーションを得てイメージを固めていきます。
ーーーなるほど。
kaniさん
あとは、よくIKEAに行きますね。IKEAには部屋を模したディスプレイがありますよね。それを見て、家に欲しい物を探したりして。ただ、そこでそれを買うというよりも、例えばIKEAで「キッチンボード、いいな~」って惹かれたら、「キッチンボートをDIYしたい」、という目標を立てて、そこからいろんなインテリアショップに行ってイメージを固めていって…この、我が家のキッチンボードはunicoで見つけたキッチンボードからインスピレーションを得て作ったものです。壁側に板を張ってしまうと圧迫感が出てしまうんで、棚だけにしていて。
ーーーこちらの物件はDIYがOKな物件なのですか?
kaniさん
いえ、NG物件です。
ーーーでは、「原状復帰は絶対」という!
kaniさん
そうです。だから「貼って剥がせる」材料を駆使しています。例えば壁紙ののりは全部、貼って剥がせる粉のり「スーパーフレスコイージー」という商品を使っています。これは一般的なホームセンターにはまだ売っていなくて、壁紙屋本舗さんで買っています。壁紙関連は、基本的に壁紙屋本舗で調達しています。
ーーーすごい。これはうれしい情報です。
kaniさん
ちなみに先ほどのキッチンボードの柱もアジャスターボルトですが、普通は天井との間に端材を挟まなくてもいいんですけど、うちの天井は少し柔らかい素材なので、傷つけないように端材を挟んでかかる力を少し分散させています。
ーーーなるほど。それもやっぱり原状復帰のことを考えて。
kaniさん
そうですね。できるだけ傷つけないようにしています。
テーマカラーはモノトーンと木目に
kaniさん
私はあんまり設計図とかイメージ図とかを書かないで、急に始めてしまうんですね。とにかくまず最初は「便利になるように」。例えばキッチンだったら「手の届くところに調味料や道具があったらいいな」って考えて、頭の中で絵をイメージして。
実はキッチンにはもともとシンクの上に備え付けの吊り棚があったのですが、それだと収納が限定されちゃうので取っ払いました。最初はそこに板を載せて使っていましたが、手元が暗くなってしまって。あとその棚は奥行きがあったので奥の物などは背伸びをして取らないといけなかったのも不便で。なので、もう外してしまってすっきりさせつつ、収納も増やしたかったのでアジャスターボルトで柱を立ててから棚を2段作りました。
ーーー棚に置かれた調味料もすべて同じラベルで揃えていますね!
kaniさん
これ、自分で作ったんですよ。もともとパソコンを使った仕事をしていたので。エーワンというメーカーの耐水性のラベルシートに印刷しているのでそのまま洗うこともできます。
ーーー木材を使われているところは、基本的に無垢のままではなく何かしら塗っておられますよね。
kaniさん
そうですね。この棚とか薄めの茶色のものは全てオイルステインです。私、オイルステインに関しては和信というメーカーの水性のオイルステインと絶対に決めていて。臭いもなくて、家の中で簡単に塗れるんですよ。ちょっとこぼしても、拭けばすぐに取れるので。あと好きなのは自然塗料の「バターミルクペイント」。ムラなく塗れて、2~3分で乾きます。
ーーーテーマカラーは決めておられるんですか?
kaniさん
だいたい、白、黒、グレー、あと木目と決めていて、小物を買うときもその中から選びますね。
ーーー小物は主にどちらで買われるのですか?
kaniさん
IKEAと、あとよく使うのは100円ショップのセリアですね。DIYコーナーが充実しています。
ーーーお店にしても素材にしても、kaniさんはDIYに関する知識や情報をたくさんお持ちですよね。
kaniさん
やり方を勉強した、とかは全くなくて…例えばお店でレンジフードのフックを見て、でもデザインがイメージと違うなと思ったら、その仕様を研究してホームセンターで同じような部品を探したり。あとはもう、基本的に全部インターネットで調べて試行錯誤ですね。例えば原状回復できる壁紙の貼り方として、最初はマスキングテープと両面テープを使って貼っていました。でも、それだと実際に私が1年前に退去した家ではマスキングテープと一緒に元の壁紙までバリっと剥がれてしまいまして。
ーーーこれは無理だと。
kaniさん
そうなんです。それで別の方法がないか探していたときに、よく雑誌などに載っている「ゆぴのこさん」という方がブログか何かで「スーパーフレスコイージー」を使っているって言っていて、試してみたら、ぴたっと貼れるし、本当にすごくきれいにはがせて……。はがした方の壁紙もきれいなままなので、また別の場所で再利用できるんですよ。
子ども部屋は秘密基地のように
ーーー子ども部屋はまずピンクの壁紙がすごく印象的です。
kaniさん
ここの壁紙は娘に選んでもらって、そしたらピンクの壁紙になりました。緑のペンキも娘のチョイスです。
ーーー木の窓枠も素敵ですね。
kaniさん
ここはカーテンだと違うなって思って、ただ、もとの窓枠は隠したかったので海外の二重窓をイメージして作ってみました。ただ、子どもが触ると危ないのでガラスなどは入れずに枠だけです。子ども部屋はもう、テーブルも椅子も全部手づくりですね。
ーーーロフトも手作りなのですか?
kaniさん
そうです。私の友達でDIY好きの男の子がいて、建築学科に行っていた子なのでちょっと手伝ってもらいながら。やっぱり1人じゃちょっと大き過ぎて無理なので。ただ、設計とか、デザインとかはだいたい私がしました。
実際に作るときには、だいたいのパーツだけを外で作って運び込んで、部屋の中で組み立てて。あと、最初は屋根がなかったんですけど、あとから付けたくなって。さすがにこの形は自分では難しくて、そこは友達に相談して作りました。
ーーー本格的です。ちゃんと足にトラスも入っていますから。
kaniさん
トラスを入れることによって大人も乗れるんですよ。娘がいずれ1人で寝るようになったら、下にキッズベッドを入れられるサイズで作ってあります。子ども部屋は、私自身こういう秘密基地っぽい空間が欲しかったのもあって。
いいなと思ったら、とりあえず「作ってみる」
ーーーkaniさんのDIYには「テーマ」みたいなのがあるのですか?
kaniさん
そこはこだわってなくて、だいたい色だけは気をつけながら自分の好きな物を置いていったら合わないことはないだろうと思って。
ーーー一番気に入っている部分はどちらですか?
kaniさん
テレビを付けているこの壁ですね。この壁も自分で立てたんですよ。
kaniさん
もとは一面、木の引き戸でしたが、全部取っ払って、アジャスターボルトで柱を立てて、ベニヤ板を張って、端に新たな扉を作りました。この扉もバターミルクペイントで塗っていて。ドアそのものは買うと高いので、普通の板に半円棒を貼り付けてドアの飾りをつけています。まだ、どんな取手にするか迷っているんですけど。
kaniさん
あと、ベニヤ板だけだとテレビを付けているネジが抜けちゃうので、壁の裏、寝室側に付けた棚板にかかるようにネジを留めているんですよ。寝室側は、ゆくゆくはブックシェルフにしたり雑貨を置いたりしようと思っています。
ーーーキッチン横の棚もご自分で作られたんですか?
kaniさん
そうですね。下のチェストだけIKEAで買ったんですけど。ちょっとお茶を入れたりとかするスペースが欲しくて。IKEAのディスプレイなどを参考にしてみました。
ーーーでも、それを自分で作って実現しているわけですよね。
kaniさん
はい。作ってみました。
ーーーその、「気さくさ」がいいですよね。
kaniさん
気に入らなくなったら、また、これを崩してほかの物に組み直してもいいわけです。それがDIYのいいところですね。
ーーーkaniさんのDIYの続きを、これからも楽しみにしています。本日は、素敵なお部屋をご紹介いただき、ありがとうございました。
2017年2月 取材・文:高木沙織 写真:鍵岡龍門
 
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