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これからのくらしを考える まち×アート

団地がホテルに?「サンセルフホテル」を支える人々

茨城県取手市にある井野団地では年に数日だけ出現するホテルがあります。それが「サンセルフホテル」。
桜並木や芝生など自然豊かな好環境の中にある井野団地が年2回、春と秋に最大2組限定のホテルに生まれ変わります。お客様をお迎えする個性豊かなホテルマンは、実はこの団地に暮らす住民のみなさんなのです。

支える人[1]”女将”ホテルマンの知恵袋

“ホテルの顔”ともいえる女将を務める片山春枝さんは、ご主人を亡くし寂しい日々を送っていたところ、友人に誘われて井野団地に引っ越してこられたのだそう。
「憧れの女将を任せていただいたとき、お部屋の花の飾り方とか、おもてなしの方法を皆さんから相談されました。そういうときに一緒にやろうと力を合わせて、一つになれるのがこの団地の良いところですね。」
と語る片山さん。テキパキと若いホテルマンに声をかける、片山さんの和服姿。いやあ、何年も旅館を切り盛りしてきた女将にしか見えませんね。

支える人[2]アーティスト コンセプトは“もうひとつの日常”

このプロジェクトのコンセプトを生み出したのは現代美術家の北澤潤さん。
「僕はここに“もうひとつの日常”を作りたいと思いました。人は、学生や会社員、母親など、日頃さまざまな役割を担って暮らしていますが、この日だけは女将になったり、ミュージシャンにもなれる。それをきっかけに普段の暮らしや自分を見つめ直し、次の行動を起こそうという気持ちになってほしいんです。」
北澤さんはその変身や変化が重要だと語ります。なるほど、ここではもてなす側の人も何かを得ているんですね。

支える人[3]プロジェクト事務局 今までにないコミュニティを

「サンセルフホテル」は、「取手アートプロジェクト(TAP)」のプロジェクトの1つである「アートのある団地」のプログラム。TAPの事務局を務める羽原康恵さんは、この活動は確実に育ってきていると実感されているそうだ。
「生活の場でアートが日常に入りこんでいくことが面白い。特に団地には、幅広い世代が生活していて、ずっと暮らしている人や、新しく住み始める人それぞれがいます。だからこそ人と人がつながることができる新しい仕組みをつくって、今までにないコミュニティのかたちを提示できる可能性があると思います。」

このプロジェクトのクライマックスは、お客様と住民が一緒になって、“手づくり太陽”を夜空に浮かべること。この電力は、日中にみんなで団地内を歩き、ソーラーワゴンで太陽光を集めることで供給されます。羽原さんの語る、新しいコミュニティを象徴するようなシーンです。

取手井野(UR賃貸住宅)

茨城県取手市井野団地
常磐線快速始発駅にあるアートな団地。
中央の水路沿いにある桜並木が住民のお気に入り。

取手アートプロジェクト(TAP = Toride Arts Project)

1999年より市民と取手市、東京芸術大学の三者が共同でおこなっているアートプロジェクトです。若いアーティストたちの創作発表活動を支援し、市民のみなさんに広く芸術とふれあう機会を提供することで、取手が文化都市として発展していくことをめざします。
HP:http://www.toride-ap.gr.jp/