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【団地最前線 SPECIAL】URふるさと応援プロジェクト

URPRESS 2023 vol.73 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

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団地最前線SPECIAL

URふるさと応援プロジェクト

各地の団地で開かれるイベント。そこに意外な地方のブースが出展していることがある。
じつはこれ、URが進める「URふるさと応援プロジェクト」の一環だ。
地方都市と団地を繋ぎ、URが双方を応援するこのプロジェクトをご紹介しよう。

防災イベントに岩手県から初出展

東日本大震災から12年となる今年の3月11日。町田市にある町田山崎団地では、防災をテーマにしたイベント「DANCHI Caravan in 町田山崎」が4年ぶりに開かれた。穏やかな日差しのもと、久しぶりのイベントに団地内外から大勢の人たちが来場し、ブースをのぞいたり、防災に関するワークショップに参加したりして楽しんでいた。

この中でひときわお客さんが集まっていたのが岩手県の特産品マルシェだ。町田市の団地になぜ岩手県が? お客さんに商品を紹介していた岩手県東京事務所の安藤尚毅さんは「URさんから声をかけていただき参加しました」と説明する。

「URさんには東日本大震災津波後の復興まちづくり支援などで大変お世話になっています。そのURさんから、防災をテーマにしたこのイベントに参加しませんかとお誘いいただき、喜んで出展を決めました。皆さんから受けた支援へのお礼と、ここまで復興したことをお伝えしたいという思いがあったからです」

岩手県出身の佐々木朗希投手が地元で愛用していたという「酢の素」をはじめ、いちご煮、冷麺、南部せんべいなど岩手のおいしいものが並んだブースには、次々とお客さんの手が伸びる。安藤さんや岩手県のアンテナショップ「いわて銀河プラザ」のスタッフの皆さんは、お客さんの質問に答えながら、楽しそうに対応していた。

岩手県の特産品が並ぶブース。この隣には震災復興の展示や、移住定住のパンフレットのブースも用意した。
町田山崎団地で行われた「DANCHI Caravan in 町田山崎」では、防災に関するワークショップが多数開催されてにぎわった。
岩手愛にあふれた法被姿で町田山崎団地の防災イベントに出展した、岩手県東京事務所の安藤さん。
このプロジェクトを推進するURの内平(左)と小林(右)。

地方都市との関係を継続応援していく

このように各地の団地で行われるイベントに地方都市の参加を促し、団地や団地のあるまちとの繋がりをつくるのが、「URふるさと応援プロジェクト」だ。取りまとめ役の小林弘幸はプロジェクトをこう説明する。

「URは地方都市再生や復興支援などで、さまざまな自治体と事業を進めています。そこで育まれた自治体との関係を事業終了後も継続させ、地方経済の活性化をはかり、地方都市を応援していきたいという思いでこのプロジェクトを進めています」

団地ではさまざまなイベントが開かれており、「そのイベントの特色に合わせて、最適な自治体に声をかけてお誘いしています。来場者の反応を見ると、特産品を買い求めるだけでなく、その地方への興味を持つ方が多く、格好のPRになっているようです」とURの内平祐也が言う。

地方都市の関係人口、交流人口を増やすお手伝いにもなり、イベントを開く団地にとっても集客増というメリットがある。「今後は地方への移住定住相談ブースもつくっていきたい」と内平は話している。

昨年度は全国14の団地のイベントに地方都市をお呼びして、プチマルシェを開催した。写真は千葉市の稲毛海岸駅前プラザで開かれた団地一周年記念イベント。復興庁岩手県復興局と連携して岩手県の特産品を販売した。
埼玉県の東板戸団地でも、復興庁岩手復興局と連携した。
兵庫県の武庫川団地で行われた「赤胴車1周年イベント」には、津山市、黒潮町、福山市が物産展を開催した。

大火から復興した糸魚川を紹介

昨年10月に神奈川県の洋光台中央・洋光台北団地で行われたハロウィンイベントには、新潟県糸魚川市が参加した。2016(平成28)年12月に起こった糸魚川市大規模火災の復興事業にURが協力してきた経緯から、2年前にこのイベントに誘われ、今回で2回目だという。

「当日は来場者も多く、皆さんによく買っていただいて、好評でした。また、市街地の復興の様子をパネルで展示して、支援への感謝も伝えることができました」と当日を振り返る糸魚川市商工観光課の富岡隆一さん。

「URさんが場所を提供し、ブースまで用意してくださるので、私たちは売りたい物を運ぶだけで、すぐに出展できる点もありがたいです。しかも販売やチラシ配りまでURの方が手伝ってくださいます。地元から大勢のスタッフを送り込めない自治体が、よそのまちの団地と繋がるいい機会になっています」と商工観光課課長の大西学さんも言う。

イベント当日、割烹着姿で糸魚川のお米の升売りを担当した商工観光課課長補佐の井上洋子さんは、「団地でのイベントなので、お客さんの年齢層も幅広く、何度も来てくださる方もいて楽しかったです。今度は糸魚川に行ってみようかと思ってもらえたらうれしいですね」と手ごたえを感じた様子だ。

担当したURの小林は、「こうやって連携が深まると、まちづくり支援ももっと頑張らないと、と気が引き締まりますね」と話していた。

地方都市と団地、そして人々が繋がることで、次の何かに繋がる期待が膨らんでいる。

洋光台中央団地と洋光台北団地が合同で3年ぶりに開催した昨年のハロウィンイベントに参加した糸魚川市。コシヒカリの升売りが大好評だった。
ブースには観光パンフレットや大火からの復興を紹介するパネルも用意。
写真左から、糸魚川市産業部商工観光課の富岡さん、井上さんと大西さん。

【武田ちよこ=文、菅野健児=撮影】

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