街に、ルネッサンス UR都市機構

【特集】サッカーを核としたまちづくり その象徴となるスタジアムを改修中(静岡県藤枝市)

URPRESS 2022 vol.68 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

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静岡県のほぼ中央に位置する藤枝市。サッカーを中心にまちづくりを進めるこの地で、いま藤枝総合運動公園のサッカースタジアムの改修に熱い期待が寄せられている。

市街地のにぎわいも豊かな自然もあるまち

「ほどよく、都会。ほどよく、田舎。」——市のパンフレットに書かれているこの言葉どおり、藤枝市は中心市街地のにぎわいと、自然豊かな中山間地域の魅力を併せもつ地域だ。

コンパクトシティを目指して再開発が進められてきたJR藤枝駅周辺にはホテルや飲食店、オフィスなどが入る複合商業施設のほか、図書館や映画館、マンションなどがあり、いずれも徒歩圏内。市街地を少し離れると茶畑が広がり、天然温泉やキャンプ場などがある。朝比奈地区は宇治、八女と並ぶ玉露の三大産地でもある。産学官連携への取り組みにも積極的なまちで、ここ数年、転入人口は増加している。

URと藤枝市の関わりは長く、昭和50年代の駿河台ニュータウン造成から始まり、平成になってからは藤枝総合運動公園の施工、藤枝駅南口のコーディネート支援、藤枝駅北口の再開発支援と、まちづくりのお手伝いをしてきた。

現在は、2001(平成13)年に開設された藤枝総合運動公園の改修、再整備に携わっている。高台の43ヘクタールの敷地内に、サッカースタジアムをはじめ陸上競技場、野球場、スケートパーク、グラウンドゴルフ場などが整備されている藤枝総合運動公園は四季折々の自然も楽しめるとあって、散歩やランニングに訪れる人も多く、市民に親しまれている場所だ。

藤枝駅北口の写真

東海道の宿場町(岡部宿、藤枝宿)として発展してきた藤枝市。スーパーや診療所、図書館、映画館など生活に必要な施設が藤枝駅周辺の徒歩圏内に集まっている。

サッカーを中心に産業や観光へつなげたい

今回のサッカースタジアムの改修は、市が目指す「サッカーを核としたまちづくり」の一環として進められている。

「蹴球(しゅうきゅう)と呼ばれていた時代から約100年にわたりサッカーに親しんできた歴史をもつ藤枝市にとって、サッカーはスポーツという枠を超えた文化なのです」と藤枝市スポーツ振興課の横馬勉課長。競技者だけでなく、市民のサッカーへの関心が非常に高いのが藤枝市の特徴だという。特に高校サッカーでは、これまで全国大会で数々の輝かしい成績をおさめ、中山雅史さんや長谷部誠さんをはじめ多くの日本代表選手を輩出。「蹴球都市」宣言も行い、「する、みる、支える、育てる、交流する、発信する」というそれぞれの環境を整備し、それを産業や観光へつなげるまちづくりを進めている。

サッカースタジアムの改修に携わるメンバー。右から藤枝市の横馬勉課長と三浦紘史係長、URの野村吉秋と渡邉沙織。横馬課長は現在も自身が所属するチームでサッカーを楽しんでいる。

藤枝総合運動公園に設置された石彫のサッカーボールは、直径約1.5mのビッグサイズ。

天然芝が美しいサッカースタジアムは、土日は試合、平日はサッカー教室などに利用されている。

藤枝駅から5キロほど離れた高台にある藤枝総合運動公園は見晴らしがよく、植栽も豊か。

防災機能を備えJ2の試合が可能に

スタジアムの改修は、地元のサッカーチーム「藤枝MYFC」のJ2昇格への期待を込めたものでもあり、Jリーグの基準にあわせて、バックスタンドの芝生席エリアに屋根付き観客席を増設。また、藤枝総合運動公園は、災害が起こった場合には指定緊急避難場所、そして自衛隊や警察、消防などの集結地となる防災拠点でもあるため、防災面も強化する。

新たに設置する大型映像装置はサッカー観戦のためだけでなく、災害時は被災状況や避難物資の受け入れなどの情報発信ツールとなる。観客席に設置された屋根は豪雨災害のときの避難用でもあり、防災倉庫も拡充する計画だ。

「都市公園の整備において過去の実績やノウハウ・技術力が豊富なURさんに、こういったものをつくりたいと相談して、お願いしています」と横馬課長。市の意向を受けて、よりよい方向で具体化するのがURの役目だ。

「サッカーの試合等での利用はもちろん、災害時にいかに各施設を活用できるかが重要ですので、動線や高低差なども含めて、市の計画を具体的に設計に反映していきます」とURの野村吉秋。大型映像装置は、災害時に避難してきた方々への情報提供や消防等の活動で必要な情報発信などを行うことも考慮して、文字のサイズや見やすさを検討した。また、屋根付きのベンチの設置については、必要なときに人が横になれる形状やスペースを提案した。

スタジアムの改修を終えた暁には、観客で一杯となったこのスタジアムで、地元チームを応援し、サッカーのまち藤枝をさらに盛り上げていきたい。その夢は、横馬課長だけのものではないだろう。

スタジアムは災害時には消防援助隊の活動拠点となる。バックスタンドに新築する防災倉庫には、避難者約1,600人が3日間過ごすのに必要な物資等の備蓄ができる。
スタジアムの右手に大型映像装置が設置される。災害時には情報発信のツールともなる。

【妹尾和子=文、菅野健児=撮影】


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