街に、ルネッサンス UR都市機構

【特集】多摩ニュータウン永山団地(東京都多摩市)

URPRESS 2021 vol.64 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

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団地の商店街をアートで彩り
多世代をつなぐワークショップを開催

長さ100メートルの布に子どもたちのカラフルな絵が躍る。
永山団地の商店街でくり広げられたワークショップでは、お絵かきを楽しむ子どもと、傍らを通りながら楽しげに眺める人。
アートをキーワードに、ミクストコミュニティの輪が広がった。

商店街のアーケードがアート空間に大変身!

「手でべちゃべちゃに塗っちゃった!」「おだんごをいっぱい描いたよ。見て!」。真っ青に晴れ渡った秋空に、子どもたちの元気な声が響き渡る。昨年10月31日の土曜日。多摩ニュータウン永山団地の商店街で開かれたワークショップ「ニューショーテンガイ プレイスタディーズ」での一コマだ。

商店街の長いアーケードの柱に長さ100メートルの真っ白い布を張り、5色の絵の具で自由にお絵かき。さらに、布の一部は持ち帰れるという今回の企画。4回のワークショップに3歳から小学生の子ども60名が参加し、青空の下で伸び伸びとお絵かきを楽しんだ。

1年生の男の子を連れて参加したお母さんは「コロナ禍で子どもたちもいろいろ我慢していたなか、屋外で自由にお絵かきできるのがいいなと思って」とうれしそう。4歳の女の子と5歳の男の子のママは「持ち帰った絵はダイニングテーブルのビニールの下に敷いて毎日眺めようかな」と笑顔。子どもたちも「楽しかった!」「いろんな色を使って面白かった」と、キラキラする目で答えてくれた。

  • 完成した作品と一緒に記念撮影。
    コネルテのメンバーのほか、東京都立大学のボランティアサークルもお手伝い。

  • お絵かきに使ったのは、発色のよいアクリル絵の具。
    子ども一人に5色1セットで、色を混ぜるのも自由。

  • 商店会の協力で参加費は1人500円。
    定員60名が即日満員になる人気。

楽しさからつながるミクストコミュニティ

多摩ニュータウンのなかでもっとも早く入居が開始され、現在も3000戸以上と最大規模を誇る永山団地。敷地内には大きく育った木々に彩られた歩道が巡り、保育園や小学校、中学校をはじめ、地域医療福祉拠点化団地として福祉面も充実するなど、多世代が暮らしやすい環境が整っている。コミュニティー活動も活発で、盛大な夏祭りや団地内のスポットを歩いて回るスタンプラリーなど、数多く行われている。

今回のイベントは、ランタンフェスティバルの企画にも携わったまちづくりプロジェクト「ニューマチヅクリシャ」と、子どもを主な対象としたワークショップユニット「コネルテ」のコラボレーションで実現した。

「コネルテ」の吉原佳世さんは「5人いるメンバー中、4人が塗装職人という仲間です。そのうちの4人が府中市、多摩市に住んでいることもあり、この地域でも子どもたちのワークショップを開いています。ニューマチヅクリシャの横溝さんは多摩で面白いことをやっているとずっと気になっていたので、今回初めてお声がけいただいて、すごくうれしい!」と声を弾ませる。

横溝 惇さんは、商店会から活性化のためのイベントができないかと相談を受け、目の前に広い公園がある立地を活かして、子どものワークショップ「えのぐであそぼう」を手がけているコネルテとのコラボを思いついたという。

「多摩には第一線で活躍するアーティストがたくさん住んでいて、イベントがあると協力してくれる土壌があるんです。子どもたちがアートに触れる機会が持てるし、見る人の感性も刺激される。いい連鎖ができて、人のつながりも生まれています」

子どもたちが絵を描いた布は、テキスタイルとしてエコバッグなどの雑貨に有効活用する予定。今後はイベントの規模を徐々に拡大し、サステナブルな活動にしていきたいと話す。

多摩ニュータウンは、2人にとって活動の場だけではない。吉原さんは永山地区に居住。横溝さんも妻が多摩ニュータウン出身という縁があり、団地店舗に事務所を構えている。それだけに、この地には特に思い入れが強いという。

「都会に目が行きがちだけど、ちょっと電車に乗れば、こんな自然豊かでゆったりした場所がある。コロナでの自粛中も、自然のなかをお散歩できて、すごくよかった」と吉原さんはその魅力を話す。

所沢のニュータウンで生まれ育ったという横溝さんは「肩肘張ってコミュニティーをつくろうというより、ここで遊びたい、楽しみたいという感覚です。そんな僕らの提案を、商店会さんもURさんも歓迎してくれて、実現できるところが面白い。今後は空き店舗やアーケード、公園などにも目を向け、地域の人たちと話し合いながらニュータウン全体のことも考えていけたら」と期待を込める。

子どもたちがお絵かきする様子に、通りがかった年配の女性は「帰ってくるときにできているのが楽しみ」と顔をほころばせ、1年前に団地に越してきたという男性は「子どもたちを元気づけるのはいいこと」とポケットの小銭を寄付する光景も。URが目指すミクストコミュニティは、自然な形でこの地に根づこうとしている。

永山団地の1階に位置する商店街「永山団地名店会」の長いアーケードを利用したユニークなワークショップに、子どもたちも大喜び。
参加時の消毒とマスク着用、対面でなく横並び、道具は共用しないなどコロナ対策も万全。
「これからも、いろいろおもしろいことをやっていきたい」と話すニューマチヅクリシャの横溝さん(右)と、コネルテの吉原さん(左)。
集中してお絵かきする子どもたち。
色使いや造形など、子どもたちの個性がはっきり現れるのもおもしろい。

【阿部民子=文、菅野健児=撮影】


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