街に、ルネッサンス UR都市機構

街みちネット 第22回見学・交流会「太子堂・三宿地区における防災拠点整備を契機とした連鎖的なまちづくり」

これまでの活動の紹介

活動議事録

講演2「太子堂・三宿地区における防災拠点整備を契機とした連鎖的なまちづくり」

独立行政法人都市再生機構 都市再生本部 事業企画部 担当部長 柳田 努 氏
都市再生機構の概要
  • 都市再生機構は、平成16年7月1日に設立され、現在職員数3,199名、昭和30年の日本住宅公団創立から数えると、昨年で60周年の節目を迎えた組織です。実施内容は大きく4つ、都市再生、住環境、災害復興、郊外環境に分類されます。密集市街地の整備再編などの政策的意義の高い事業実施として都市再生に含まれています。
密集市街地再生のイメージ
  • 密集市街地再生には、「ボトムアップ」と「バリューアップ」の2つを両輪展開で進めることが大切と考えています。これには、道路整備や公園整備による防災性向上や安全強化、地区の特性を活かした日常生活の質の向上や自然や歴史環境の継承、多様な世代の居住促進や、子育て世代が快適に生活できる環境の整備、既存商業の活性化といった生活インフラの強化などの、並行した取組みが必要です。
これまでのURの事業展開
  • URでは平成7年頃より大規模な種地を活用し、「防災性の高い拠点整備」にあわせて周辺の密集市街地の整備を実施しており、平成19年度からは自治体からの受託により「主要生活道路の拡幅整備」を実施しています。平成25年度からは地区内の土地を機動的に取得・活用する「木密エリア不燃化促進事業」(通称、エリア買い)を実施しています。
  • まちづくりのプロセスにおいて、コーディネート支援から各種事業の実施まで、地方公共団体との適切な連携・役割分担のもと、総合的な支援を実施しています。
    初動期にはまちの課題や将来像の共有を行い、基礎調査やまちづくり協議会の運営のお手伝い、整備計画の策定を行います。展開期には規制誘導計画や合意形成のお手伝い、共同化のコーディネートなどを行います。更に実際に事業を実施する段階には道路整備や従前居住者用の住宅の整備、法定事業の実施として防災街区整備事業や区画整理事業の実施などを行います。
    URは公共団体が抱える様々な課題に対し、最適な制度・手法を活用し、課題を解決しています。
国立小児病院跡地周辺まちづくり計画
  • 太子堂・三宿地区の北端、淡島通り沿いの高台に国立小児病院跡地があります。URはこちらを拠点とした整備と、そこから南北に国道246号まで伸びる三太通りの拡幅整備を世田谷区から受託しました。
    太子堂・三宿地区は国の重点密集市街地であり、東京都の整備地域でもあり、住宅市街地総合整備事業の範囲でもあります。また、東京都の木密不燃化10年プロジェクトの不燃化特区の本格実施地区に申請し、三太通りの拡幅整備はコア事業に指定されました。
  • 整備前の地区の写真を見ると、道が狭く木造住宅が多い状況が分かります。
  • 図は平成15年3月に世田谷区がまちづくり協議会と意見交換の末に策定した国立小児病院跡地周辺まちづくり計画です。密集市街地において、約3千m2というまとまった土地はとても貴重ですので、小児病院跡地を防災空地として活用するだけでなく、併せて周辺の密集市街地の改善を含めた様々な計画が盛り込まれています。
  • 写真は地区の北側から見た小児病院の航空写真です。面積は約3.3ha。世田谷区が取得する事も画策されましたが、ちょうど地区の東側の三宿の森緑地を取得したばかりで財政的に厳しい中、URが取得する事によりまちづくりができないかという打診があり、URが土地を取得しました。
太子堂・三宿地区におけるURの取り組み
  • 太子堂・三宿地区でのURの取組みをまとめた図です。
  • 1つ目が、病院跡地を利用した防災性の高い街区形成として、道路・公園といった都市基盤の整備や、防災空地・通り抜け道路の整備、多様で良質な住宅ストックの形成、高齢者施設や子育て支援施設の整備、また周辺のまちづくりに活用するための事業用地(代替地)の確保です。
  • 2つ目は東京都住宅供給公社との土地交換による敷地の整序と公社住宅の建替促進です。病院跡地の南側に面して老朽した公社住宅がありましたが、道路付けが非常に悪く建替が進んでいませんでしたので、土地交換により接道条件を改善し建替えに至りました。
  • 3つ目は土地区画整理事業の活用による敷地の整序と、道路整備による避難路ネットワークの形成で、三角形のUR用地が公社との土地交換によりかぎ型の戸建適地となり、避難路も確保されました。
  • 4つ目は主要区画道路である三太通りの拡幅整備です。世田谷区と協議を重ねて役割分担し、住民の皆さんからもご意見をいただきながら、防災空地に至る安全な避難路の確保や沿道の建物の不燃化誘導支援、また共同建替えのコーディネートといった取組みを行いました。
  • URはもともとは住宅を作る組織でしたが、民間ができることは民間にお任せしており、この事業でも住宅は作っていません。病院跡地の西側は民間の分譲集合住宅となり、東側はURが土地をお貸しして東京建物が賃貸住宅を経営しています。
    「防災性を備えた良好な住宅街区の形成」とありますが、土地の譲渡・賃貸の公募条件に防災空地や南北貫通通路、歩道上空地の整備、高齢者施設や子育て支援施設の整備などを設けて計画の実現を計りました。
  • 写真は整備後の防災空地や区画道路等です。
  • 図は公社との土地交換と事業実施のプロセスです。
    いくつもの手法を組み合わせることにより、敷地の成型と道路の拡幅、従前居住者の方の代替地の確保が可能となり、区が追加で土地を購入する負担もなく事業を行うことができました。
  • 最後に三太通りの拡幅整備をご説明します。
    当初は修復型として進められてきた拡幅整備でしたが、平成19年度に都市再生プロジェクトの第3次決定により防災生活道路を積極的に整備していく事になり、国の方針を受け東京都も整備を進める方針を打ち出しました。これを受けて積極買収型へと方針転換され、URは初めてこの様な事業を受託し進めることになりました。国道2 46号から防災空地のある拠点まで、延長約650mの整備です。
  • 写真は三太通りのクランク解消箇所です。見通しが良くなり緊急車両も入れるようになりました。
  • 三太通りの整備は、修復型の23年間に30%進み、その後公共整備型に切り替えた平成20年からの7年間で約80%まで概成しました。これに伴い、沿道や周辺の道路買収対象宅地以外の建物の自立更新も数多くみられ、地域の不燃化が促進されています。

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