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【団地最前線12】初の“団地サミット”開催 学生たちがつながった 天神キャンパス団地サミット(福岡県福岡市)

URPRESS 2024 vol.77 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

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【団地最前線11】ボーネルンドとURが連携 団地空間を活かして健康を増進 袖ヶ浦団地(千葉県習志野市)

初の“団地サミット”開催 学生たちがつながった

福岡一の繁華街・天神のビルの一角で今年の1月、団地と関わる大学生たちが集う「天神キャンパス 団地サミット」が開催された。
いったいどんなイベントなのか? さっそく現地を取材した。

「アーバンテーブル」に学生たちが集合

天神にあるビルの1階に、まちづくりの情報発信・交流施設「アーバンテーブル(URBANG TABLE)」がある。再開発が進むこのエリアで、さまざまな人が集まり交流できる場所をつくりたいと2020(令和2)年にURが開設した。URが主催するまちづくりのトークイベントや、UR以外の多様な団体が行う勉強会や交流会などの会場として利用されている。ここに1月の土曜日、大学生たちが続々と集まってきた。「天神キャンパス 団地サミット」に参加するメンバーたちだ。

UR九州支社では、近隣の大学の力を借りて団地の課題を解決し、団地活性化を図る活動を展開しているが、この日はその中の3つの大学・短大の学生たちが、自分たちの取り組み内容を発表。団地の集会所とオンラインで結び、団地の皆さんにも発表を聞いてもらうとともに、参加学生同士の交流を深めるのが目的だ。

参加したのは、北九州市立大学地域創生学群CSW(コミュニティソーシャルワーク)実習×徳力団地、純真短期大学食物栄養学科・こども学科×若久団地、福岡大学薬学部×宝台団地。

サミットを終えて、参加した学生たちと指導する先生方、URの担当者で記念撮影。「アーバンテーブル」には親密な空気が流れていた。
「URBANG TABLE」で熱心に他大学の発表を聞く学生たち。

団地とつないで活動を報告

北九州市立大学は居住者たちの交流の場や、高齢者の居場所づくり、外に出るきっかけづくりを目指したコミュニティ活動を報告。おしゃべりカフェでのスマホ相談が好評で、これまで少なかった男性の参加者が増えたという報告もあった。徳力団地の集会所からは、「助かってるヨ、ありがとう!」と書かれたボードで声援が送られ、学生たちもうれしそうだ。

純真短期大学が若久団地で食育活動を始めたのは10年前。午前中は親子、午後は60歳以上の人を対象にした「食欲の秋フェスタ」など、幅広い世代の参加を促す食育イベントを続けている。23年度からはこども学科も参加し、秋には団地の子ども会とコラボしたハロウィンパレードを行い大好評。学生たちは企画から実施まですべてにかかわり、学びながら団地の人々との交流を深めている。

福岡大学薬学部の学生たちは、近隣の2つの薬局とともに宝台団地で行っている「宝台健康アカデミー」活動を報告。団地の人々の健康寿命を延ばすことが目的のこの活動は、身体計測やもの忘れチェックなどを行うだけでなく、学生たちが健康や薬の相談にのり、必要に応じてプロの薬剤師につないでいる。参加した学生からは「調剤以外でも健康に寄与できる薬剤師を目指したい」という言葉も。宝台団地の自治会長からは、「健康がテーマだと、男性や新しい参加者が増えます」という報告とともに、「他の団地の催しを知り、刺激を受けました」という声も聞かれた。

団地での活動を報告する学生たち。
北九州市立大学(モニターに映っているのは、徳力団地集会所に集まった団地の皆さんからの応援メッセージ)
ゴーヤ収穫祭に関する報告をする純真短期大学の学生。
宝台団地健康アカデミーでの取り組みを報告をする福岡大学の学生。
UR九州支社ウェルフェア推進課の岩崎。
今日の感想を話す参加者たち。
健康長寿を目指す福岡大学薬学部の「健康アカデミー」。学生たちは、団地の人とプロの薬剤師をつなぐ役割も担っている。
北九州市立大学が徳力団地のおしゃべりカフェで行うスマホ相談は大人気。
純真短期大学の学生たちが団地集会所入り口に掲出する食と栄養に関するお知らせは、団地の人々に好評だ。

ヨコのつながりで皆さんを支えたい

終了後は懇親会が行われ、学生が今日の振り返りや課題を発表した。

イベント参加者が固定化してしまうので、新たな参加者を呼び込むにはどうしたらいいか、との学生の質問に、別の学生からは「イベントではなく、例えば常にそこに誰かがいる空間をつくるのもひとつの方法では」との意見も。

「団地の方と学生間には会話が生まれるが、団地の方同士がもっとつながるようにするには?」と学生が問えば、「アーバンテーブル」に常駐するナースから、「人と人をつなぐコーディネーターが1人いると、コミュニケーションが活性化する」というアイデアが出た。

どの学生も「他の大学の活動を知ることができて、とても面白かった。勉強になった」と興奮気味に語り、「他の大学の取り組みと一緒に行えば、もっと幅広く団地の皆さんを支えられるのでは?」という意見に皆がうなずいた。

URでこのイベントを仕掛けた岩崎賢史は、「大成功!」とほっとした表情でこう話す。

「今日のサミットは、いろいろな大学の取り組みを知ることで、団地に関わる大学間のヨコのつながりをつくることが大きな目的でした。同時に、団地にお住まいの方々同士の情報交換の場にもなればと思っていたので、まさにその通りになり満足です。この取り組みを、全国で団地に関わる活動をしている大学の皆さんにも知ってもらい、いつか全国規模のサミットを開くのが夢です」

団地と関わることで学生も確実に成長するこの取り組み。次回のサミット開催が今から楽しみだ。

発表後は飲み物とパンをいただきながら懇親会。初対面でも活動内容を知る仲間、皆すぐに打ち解け、連絡先を交換していた。
団地サミットの様子

【武田ちよこ=文、菅野健児=撮影】

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