※当記事は2024年1月26日にAll Aboutに掲載されたものを許可の元転載しています。

お酒のプロも納得!国際賞受賞者が「クラフトサケ」のベンチャー醸造所を団地で起業した理由

世界で評価される日本の製造技術と、クラウドファンディングといった多様な資金調達方法を活かして、新たな「ものづくりベンチャー」が日本各地で誕生しています。中には、酒の醸造所を団地に設け、世界にチャレンジする取り組みも! そんな団地テナントでベンチャー醸造所を開設し、国際賞受賞経験もあるお酒のつくり手と、日本の酒文化とビジネスに詳しい専門家に「団地でのものづくり起業」のメリットを聞きました。

世界に挑戦する酒づくりのスタートが注目を集めたわけ

カフェスペースも備えた醸造所「足立農醸」

新たな技術によるものづくりが広がる中、世界で評価される日本の技術を活かした「ものづくり起業」にもチャンスの時代です。例えば、日本酒は和食ブームなどの影響で海外でも人気の高いアルコール飲料。アジアや北米などへの輸出も拡大し、ビジネスチャンスが広がっています。

そうした中でも、ユニークな取り組みとメディアでも注目されているのが、大阪府郊外のベッドタウンにある大規模団地にカフェ併設のベンチャー醸造所を開設した足立洋二さんです。

足立さんは10年ほど前のアメリカ留学中、現地で日本酒に対する評価の高さを知って興味を持ち、「広大なマーケットがある海外に日本酒をもっと広げたい」との思いから、帰国後にすぐに日本酒づくりの世界に飛び込みました。

足立さん(以下敬称略)「青森県の八戸酒造さんで3年半、兵庫県の西山酒造場さんで2年半の経験を積みました。西山酒造場さんでの面接では『いずれは起業したい』との思いまで正直に伝え、それも面白いと感じていただいて働くことができました」

そうして、勤め先と相談の上で、在籍中に「足立農醸(あだちのうじょう)」という自分の醸造所を立ち上げた後、足立さんは退職して2023年10月に大阪府高槻市にあるUR富田(とんだ)団地のテナントで醸造所をオープンさせました。

醸造所としても魅力的! 酒づくりに適した土地の団地テナント

クラフトサケと輸出用日本酒をつくる醸造所を、富田団地につくった理由の一つは「大阪出身なので、大阪で起業しようと決めていたから」と語る足立さん。

足立「しかし、当初検討していた場所での話がなかなか進まず悩んでいたとき、偶然UR富田団地のテナント募集をネットで見つけたんです。富田は酒造業が盛んだった土地で、酒づくりに適した良質な水が手に入れやすい。それに団地の醸造所ってインパクトがあって面白いじゃないですか(笑)。URのテナントは初期費用が抑えられるなどコスト面のメリットも大きかったですね」

また、クラフトサケとは日本酒をつくる技術をベースに、副原料を加えて多彩な味わいを生み出せる新ジャンルのアルコール飲料のこと。2022年設立のクラフトサケブリュワリー協会には、「フルーツやハーブなどの副原料を入れることで、新しい味わいを実現したお酒もたくさん誕生しています。」(同協会ホームページ)と紹介されています。

足立「私は日本酒とワインのいいところ取りをしたようなお酒だと思っています。日本酒はハードルが高そうと感じる方でも、比較的飲みやすくて気軽に楽しめますし、イタリアンやフレンチなどの洋食にもよく合いますね」

「団地での酒づくりは面白い」と語る足立洋二さん
団地1階のテナントで起業。左はカフェの入口。右は主に醸造所の搬入口として使用

さらに、足立さんは「飲む人に見えやすい酒づくりを、米づくりから始める」をモットーに、西山酒造場がある丹波市の耕作放棄地を田んぼに戻し、自ら米を栽培するプロジェクトを2021年にスタートさせています。酒づくりに使うことで米の付加価値を高め、地元の農業に貢献したいとの考えもあるそう。

丹波市で自分が育てて収穫した米を使い、以前勤めていた八戸酒造の協力を得てつくり上げた「KOYOI〜la première année〜」は、日本の著名な酒造会社も参加した「ルクセンブルク酒チャレンジ2022」で銅賞を獲得。さらに、「KOYOI La deuxième」は「シンガポール酒チャレンジ2023」で銀賞を受賞するなど、足立さんのお酒は世界で高く評価されています。

これらのお酒をつくる資金にはクラウドファンディングも活用。足立さんの「世界に挑戦するする酒づくり」は多くの賛同者を集め、目標額を大きく上回る結果を残しました。

キウイを副原料にしたクラフトサケ「クラフト KIWI(キウイ)」(左)と日本酒「KOYOI La deuxième」(右)

発酵を活かした甘酒やスムージー、食事で団地住民の健康づくりも

足立農醸のカフェスペースでは、お酒以外に発酵調味料を使ったおつまみ、各種のノンアルコール飲料も提供。特に、甘酒と果物などを合わせたスムージーが非常に人気だそう。こうしたカフェメニューについて、足立さんは「せっかく団地の中にあるのだから、お酒を飲まない人にも親しんでもらいたい」と話します。

足立「おつまみは旬の魚と塩麹を合わせた小皿、自家製の燻製などをお出ししています。ノンアルコールの甘酒は当日の朝に手づくりするので、麹の力がそのまま活きていますし、スムージーにはクラフトサケの副材料にもなるこだわりの果物を使っています。この団地には高齢の方やお子さんも多く、発酵の力を皆さんの健康づくりに役立ててほしいと考えています」

カフェスペースに隣接して醸造所があり、タイミングによっては足立さんの酒づくりの様子をガラス越しに見ることができるそう。こんなふうに多くの人に酒づくりの現場を知ってもらえるのも、「団地の中という好立地ならでは」と足立さん。

足立「もちろんカフェにいるときも、質問があれば醸造所の設備や酒づくりについてご説明します。醸造所を見学しにくい酒造会社も多いので、このカフェで気軽に体験していただければと思います」

ガラス越しに醸造所が見える7席のカフェスペース
お酒の原料を入れた醸造タンクをかき混ぜる「仕込み」

魅力を丁寧に伝えることで「クラフトサケ」の可能性は広がる

では、プロの目にクラフトサケや足立さんの起業はどう映るのでしょうか。食品貿易会社でワイン輸入販売に携わり、現在は酒と食に関するプロ向けコンサルティングを行う友田晶子さんは、「クラフトサケの華やかな味わいと香りは、日本酒の代わりというより新しいお酒として楽しめると思います」と評価。

友田さん(以下敬称略)「食事と一緒に甘めのお酒を飲む人も増えていますし、低アルコールの日本酒も出ていますから、フルーティーでやや低アルコールのクラフトサケには可能性を感じますね。ただ、日本のクラフトサケづくりは始まったばかり。消費者はもちろん、販売店や飲食店などのプロでもよく知らない人が多いのではないでしょうか。その味わいや、どの料理に合うのか、どんなシーンにマッチするかなど、クラフトサケの魅力を丁寧に伝えてくれる人が増えてくると普及に弾みがつきそうです

さらに友田さんは、足立さんが多くの人が暮らす団地の中に醸造所をつくったことにも驚きを感じると言います。

友田「お酒をつくる人と飲む人が日常的に顔を合わせて、ダイレクトに情報交換ができる場が持てることにはメリットがあります。クラフトサケや日本酒の味わい、こだわりなどをつくり手から直接届けられますから、興味を持つ人が増えるでしょう。さらに、顧客の意見を直接リアルタイムで聞けるので、つくり手としても酒づくりの参考になるのでは?おしゃれな内装も魅力的なので、団地に住んでいる方や若い世代にどんどんアピールしてほしいですね」

日本酒業界は全般的に伝統を大切にする傾向が強く、ややもすれば保守的になってしまいがちだと懸念する友田さん。日本酒の国内需要も長年低下傾向が続き、特に若い世代には縁遠いアルコール飲料になっています。

友田「足立さんのような若い世代にも、どんどんチャレンジしてほしいと思います。先人が培ってきた日本の酒文化を残していくためにも、クラフトサケやプレミアムな日本酒の醸造といった新しいチャレンジが、何かイノベーションを起こすきっかけになればと期待しています」

URテナントなら店づくりの自由度が高く、初期費用を抑えた起業も可能

足立さんが情報を偶然見つけたというURテナント。起業に当たってはどんなサポートがあったのでしょうか。起業準備から起業後まで、足立さんがURテナントに感じたメリットを改めて聞きました。

カフェは足立さんとスタッフが接客を担当
店の外では手書きのメニュー看板でアピール

足立「まず、醸造所とカフェという変わった業態でも、URの担当者に興味を持ってもらえ、スムーズに話が進んだのはありがたかったですね。私は日本政策金融公庫と地元の信用金庫からも融資を受けていますが、その際に事業計画書をしっかり練り上げ、融資担当者と何度もやりとりして酒づくりの実績を認めてもらったのがよかったのかもしれません」

また、内装などがまったくないスケルトン渡しで、自分のイメージに合った店づくりがしやすかったのもメリットだそう。カフェスペースは木のぬくもりが感じられる空間にこだわったほか、「天井も高くて、奥の席でもあまり圧迫感がないのもいいと思います」と足立さん。

足立「団地なので集客に期待できるのは話しましたが、それ以外に礼金や仲介手数料、継続利用の際の更新料が不要で、起業前・起業後の費用が抑えられるのは大きなメリットです。保証人も不要で保証人探しの手間も省けました。店舗スペースの裏手にある倉庫も含め、家賃が非常にリーズナブルなのも助かっています」

足立さんが言うように、URのテナントは集客しやすい団地の中という立地に加え、起業時や起業後のコストも強みの一つ。次項で具体的に紹介します。

「URテナント」の5つのメリットに
ついてはこちら

最大15カ月まで賃貸料無料も。起業をサポートする優遇策

足立さんは公庫と信金からの融資を酒づくりの設備購入費やテナントの改装費に充て、日々の仕入れなどの運転資金はこれまでの蓄えなどから一時的に立て替えるそうです。こうした状況について友田さんは次のように指摘します。

友田「ものづくりの起業では、設備費や材料費といった先行投資の額が大きくなりがち。しかも実際に商品が完成して売上金を手にするまで、かなり時間がかかるケースも考えられます。何かと支出が多くなる起業時、礼金や仲介手数利用などが不要で初期費用が抑えられるURテナントは魅力的です」

通常の店舗の賃貸借契約では、敷金または保証金、礼金、仲介手数料、前払い賃貸料などをまとめて払うことが一般的。その点、URテナントでは礼金、仲介手数料が不要。保証人も不要※1(保証金は必要)なので、保証人探しに頭を悩ませる必要もありません。しかも更新料も不要なので、URテナントでのビジネスを長く続けたい人にも安心です。

加えて賃貸借契約を済ませた後、内装等工事開始前なら最大3カ月間は賃貸料が無料なのも大きなポイント。しっかり準備を進めていても、何かの都合で工事の開始が少し遅れることはよくあります。そんなときに余計な出費が抑えられるサポートといえるでしょう。

また、チャレンジスペースという開業支援策が利用できる物件もあります。これは内装等工事開始後も最大12カ月または最大6カ月、賃貸料無料で利用できるなどの優遇措置が受けられるもの。内装等工事開始前と合わせて最大15カ月または最大9カ月の賃貸料が無料※2になります※3。しかも内装工事が終わって開業しても、当初の無料期間に含まれている間は賃貸料が無料です。

例えば賃貸料10万円のテナントなら、最大120万円もお得に!全てのURテナントが最長3ヶ月間0円!+チャレンジスペース適用期間も0円!※チャレンジスペースは申込業種の経営経験が5年未満であり、その他条件に合う方が対象です。※複数の施設で同時にチャレンジスペースを適用することはできません。

友田「また、ものづくりというとアイデアやビジネスモデルを重視しがちですが、起業という観点から見ると支援者や取引先などを確保するためには、まずヒトを大切にしなければなりません。団地と醸造所という組み合わせは、意外性の面白さというだけでなく、ヒトとコストの両面でも有利な点に注目です。これから起業を目指す人はURテナントを選択肢の一つに加えてはどうでしょうか

「URテナント」の5つのメリットに
ついてはこちら
  • ※1 URの申込み資格を有する場合
  • ※2 毎月の共益費は必要です
  • ※3 申込業種の経営経験が5年未満などの諸条件はURのホームページで確認を

若い居住者も増えるURの団地。職住接近の働き方も可能に

UR富田団地の商店街。入口の樹木が団地の成熟を感じさせます
団地の遊歩道。敷地内にはこうした緑豊かなエリアが点在します

足立農醸のあるUR富田団地は、合計2647戸という大規模な賃貸住宅の団地。住棟同士は適度な間隔を持って建てられ、敷地内には自然が身近に感じられるエリアも点在するなど、ゆとりある暮らしが期待できる環境です。こうしたUR賃貸住宅のうち、現在全国約450団地に約4,000のURテナント(貸店舗物件)があり、その多くは団地の中心部で商店街を形成しているのも特徴です。

URテナントは団地に住む人の生活を豊かにするさまざまな業種・業態が出店。青果店、精肉店といった身近な店舗のほか、電気店、文具店、さらにはスーパーマーケット、医療モールなどが開設されるケースも。こうした商店街は、団地に暮らす人や団地の周囲に住む人が日常的に集うスペースとなっていて、店舗から店舗への買い回りにも期待できるでしょう。

しかもUR賃貸住宅は、各戸のリノベーションや設備の更新、若い世代や子育て世帯への支援策などにより若い居住者も増加。これは起業する側にとっても魅力でしょう。また、ものづくりに打ち込む時間が少しでもほしい人、ワークライフバランスを考えて働きたい人などは、自身が団地やその近隣の住居に暮らす「職住接近」が実現しやすいメリットもあります。

このほか、URが団地の活性化とともに進める地域活性化に協力して、ものづくり教室の開催などで地域に貢献することも考えられます。醸造所のようなユニークな試みも始まっているURテナント。自分のアイデアが実現できそうな場所がないか、物件のある団地の様子や周辺環境、条件などをURテナントの公式ホームページでチェックしてみませんか?

CHALLENGE SPACE 企業・開業をバックアップ!URテナントのお得なプラン。最大15ヶ月間賃貸料0円!!

お気軽にお問い合わせください。
窓口はテナントの所在エリアにより異なります。