街に、ルネッサンス UR都市機構

ADVISERS EYE アドバイザーの視点

「ルネッサンスin 洋光台」では、これまでにないダイナミックな視点を取り入れるため、各界の著名な有識者からなる『アドバイザー会議』を設置しました。平成24年12月にキックオフし、2回のアドバイザー会議と5回にわたるアドバイザーディスカッションにおいて、貴重なアドバイスを多数いただきました。選りすぐりの言葉を” ADVISER’ S EYE” としてまとめました。

アドバイザー会議及び、アドバイザーディスカッション開催状況
隈 研吾

●洋光台のおもしろさは、UR賃貸だけでなく駅の周辺にいろいろとあること。団地や戸建住宅など、それぞれの特徴と向き不向きなことを活かすことが大事。21世紀的ネットワーク型のまちづくりができるのではないか。●世の中への発信力は、重要なポイントだ。新しいライフスタイル発信基地となり、おもしろいと好奇心を持つ多くの野次馬を惹きつけるくらい話題性の高いプロジェクトにしたい。●リノベーション系のプロジェクトでは、色がすごく大事になってくる。特にコンクリートの箱がたくさん並んでいるものでは、色がイメージとして強くでてくる。色は、ブランディングの一つの鍵となる。●洋光台団地の再生プロジェクトには、第1ステージとして、どういう方向性で各場所を整備していくのかという話があり、その次にどういうデザイナーを入れて進めていくのかという第2ステージがある。例えばコンペとかで、なるべく多くの人を巻き込み、いろいろなデザイナーが参加し、洋光台に新しい動きが起こって、それに自分達も参加してみようというプラットフォームのようなものが作れることが大事だと思う。●フィジカルにこの場所をどう再編成するか、「場所をつなぐ」「生産と消費をつなぐ」「世代をつなぐ」「切断をつなぐ」「世界をつなぐ」という5つの目的によりメニュー化し、27の手法を提案する。●再生には、メリハリが大事。どこかはっきりと変わったと認識されるところがないと注目されない。費用対効果の大きいところ、その意味で、駅前は結構おもしろい。店舗の囲い感が濃密な空間を作っている。きれいに整えすぎないで、古さや汚さを生かしたデザインで変えていくと、新しい緩さがアピールできる。●キーになるのは、外部空間。単に緑が多いだけでなく、ブランドにつなげていくことができないか。安心できる外部空間をどうつくるか。景観的な美しさだけでなく、安心できるランドスケープが必要になってくる。●洋光台団地は老朽化しているが、その古さがある種の“緩さ”であり、いろいろな人を受け入れる場に転換できる可能性を秘めている。●住棟リニューアルも住戸だけで完結せず、外にはみ出していける場所を作れると良い。地面との接点を変えると変わることができる。●洋光台北団地の集会所では、広場の地面周りのデザインがキーになる。建物にお金をかけるというよりは、地面周りにお金をかけていけば、おもしろいことができそうだ。でも、あまりつくりこみすぎると逆に古臭い感じになる。●かっこよさが単身と結びつく時代では全然ない。むしろ、そういうものの次の時代のプロジェクト。子育てがかっこいいという打ち出しができるプロジェクトだ。●子育て支援が高齢者の介護につながっていくような循環の考え方が柱になると言った方が良い。いろんな考え方があると発信してもしょうがないから。●昔のままの室内は、味わいがあってとても面白い。ある種ブランドとして使えそうだ。

佐藤可士和

●洋光台プロジェクトは、時代とそぐわなくなったものを、なんらかの形で生まれ変わらせるリブランディングプロジェクトだ。●リブランディングは、どういうコンセプトメーキングをするかに尽きる。 ●良い物をつくっているだけでは売れない。何が良いのかをきちんと伝えないと売れない時代である。社会とのコミュニケーションをとることが重要。●リブランディングとは、弱みと強みの整理をした上で本質的価値を捉え、戦略的にそのイメージをどうコントロールしていくのかという作業。●戦略ターゲットと共にイメージターゲットを設定する。●どんな人たちにどのような暮らしをしてほしいかイメージできるモデルを作る。●ライフスタイルのルックを作る事でプロジェクトのイメージを共有する。●メインビジュアルを決めるというか、洋光台の写真を1枚だけチラシに載せるとした時にどこを載せるか。●マイナスを埋める作業ではなく、プラスを思いっきり伸ばす作業。●常にテレビやニュースで取上げられることをイメージしつつ商品企画をたてる。商品企画とマーケティング戦略を同時に進めることだ。●社会的に話題になることが大事。華、インパクトがないと注目を浴びることはできない。社会の関心が集まれば、情報や知恵が求めなくても集まってくる。●一度期にやろうとしない、わざと時間をかけて変えていく。洋光台プロジェクトには向いている方法ではないか。次を期待させるようなインパクトのある最初の一手が重要。●実際はオールターゲットでも、最も来てもらいたい人を“戦略ターゲット”として設定する。住まいは、経済力で大きく志向が異なるものであるから、年齢だけでなく、価値観、経済力の設定は重要。●コンセプトが鮮やかなもの、考え方が先をいっていることが、今の時代の“カッコよさ”。一企業では実現が難しい何か絶対的な新しい価値を、まずつくる。それはきっとカッコいいことに転換する。●戦略ターゲットに向けて、どんな価値(キラーコンテンツ)を提供できるのか明確に表現すること。●世の中の支持は、ステータス性かお得感かだ。洋光台はお得感。部屋は古くても、この立地でこの家賃で住めるならいいよねとお得感をわかりやすく提案する。●社会ニーズがどう、時代がどうではなく、URとしてどうしたいかが最も重要。●みんなにいい顔をするのではなく、何かを切り捨て、何かを特化させる。それによる批判に耐える覚悟も必要。●駅前の道路が広く、まちはゆったりして、緑も結構多くて、そこはとても良いが、色が気になった。住棟の色、廊下の色、ドアの色など、色が全部バラバラで気持ち悪い。カラーパレットがきちんとできただけでもずいぶんとちがうのではないか。

上野千鶴子

●住宅はロケーションと家賃で決まる。それに加えてどんな付加価値をつけるのか。どういう人にどうやって来てもらって、定着してほしいのか。●例えターゲット層を絞っても、ターゲット層だけが来るわけではない。明確なターゲット層を打ち出すことが、結局は幅広いターゲット層を呼び込むことにつながる。●横浜という大都市の通勤圏にあり駅直近の徒歩圏。URの再開発計画のなかでも極めて恵まれた条件下にある。女性の就労機会の有無が住宅地選択の大きな条件となってくる。女性の就労は通勤距離30分以内が決めて。●空間と建物を中心に物事を考えるが、そこに社会的な機能をつけていくことが大事。子育て、子生み世代にきてもらう解は至極簡単。育児支援ニーズに応えるファンクションを付けていけばよい。●集合住宅の1階部分がクローズドになっているのはもったいない。幾つかの棟の 何戸かは、1階部分をオープンスペースにして、例えば、育児やデイサービス機能を入れていけばよい。●高い選択性でつながる7~8人の“女縁グループ”による子どもの預けあい、ボランティアなどの多様な助け合いネットワークがある。それが事業化すれば福祉NPOが生まれる。●福祉系NPOの参入障壁は、初期費用がないこと。ランニングだけはできても初期投資ができないので参入できないことが多い。URが設備投資し、公募でソフト部分だけ外注し、期限付きでまわしていく方法も考えられる。●これからの住宅は、家族サイズの拡大、縮小に対応できることが重要だが、ひとつの家を使い回すより、住替えをすればよい。その際、資産を手放さなくても良いエクスチェンジの住替えシステムを、URのような信頼が置ける機関が作っていってほしい。●外部空間は豊かで整備されているけれど、居住者の愛情が行き届いていると感じられない。自由に開放するなり、区画割して貸し出すと、景観は雑然とするだろうが、隅々まで居住者の目と心が行き届く愛着の湧く空間ができるはず。

大月敏雄

●ドイツの1920年代団地ブリッツ・シードルングが世界遺産になった。洋光台団地も、リブランディングするなら、いっそのこと世界遺産を目指していただきたい。●特定の人をひきつけるという建築の性能、すなわち建築の「アトラクティビティ」をもっと活用すべき。値段、デザイン、サービス。どんな建物が人を惹きつけやすいのか、そしてそれらをどう配置すればいいのかという視点も大事。●地域に、いろんなタイプや大きさの住宅ストックがあることで、多様な家族をアトラクトすることができ、生まれてから死ぬまで、地域の中にすみ続けることができる。●特定の家族形態を惹きつけたいのなら、それなりの住宅ストックとそこに付随するサービスを考えなければならない。●このまちのことを気に入ってくれて、地域のあちこちの住宅に移り住みながら、時に近居もしながら、ゆるく地域に定住していく、地域循環居住を支えるというコンセプトが必要ではないか。●ひとつの家族が、必ずしもひとつの住宅に住まなければならないという前提を外したら、もっと多様な家族のあり方が可能だと思う。(脱1家族=1住宅=1敷地の呪縛からの解放)●目に見えない時間をかけた人間関係、家族関係の形成が地域でなされることが必要で、それを受け入れる地域の器が必要だろう。そのために、眼に見えない地域の価値を可視化する作業がまず必要となる。●あるサービスが必要な場合、それを担うことの出来る住民は自然に発生することが多い。その自然発生的自発的サービスの芽生えを規則等で阻害しない気前の良い大家さんになるべき。●プロセスデザインを考えることは大事だが、一連の動きを、「10年20年後にこうしたい」という表現から、「今こうすることからはじめよう」という風に示すことが大切。取り組み自体は最初モザイク状に見えても、それらがどのようにつながっていくのかという順番が見えたほうが良い。

広井良典

●現在、最も政策的に対応が遅れている世代は、若年層。人生前半の社会保障として、若年層のための住宅サポートが必要。UR賃貸住宅が、その役目を担って欲しい。所得と未婚率との相関も出ており、少子化対応の意義もある。●高度成長期に会社が生産のコミュニティ、家庭が生活のコミュニティに分裂した。もう一度、生産のコミュニティと生活のコミュニティを融合することで、地域の中でお金を循環させる。商店街や都市農園などに見られるように、こうした地域循環経済には、相互扶助的(コミュニティ的)な要素がある。●団地の広い敷地や建物を使った太陽光発電や太陽熱利用など再生可能エネルギーによる“エネルギー自立団地”を作ることも可能ではないか。環境未来都市に選ばれた横浜市の理念にもかない、この時勢の中では、世の中が大きく注目をするだろう。●地域への愛着という要素が重要。神社のお祭りなど、世代を超えて継承しているスピリチュアルな世界感は大切にしたい。終の棲家として洋光台団地を考えている高齢者が多いなら、魂の帰る場所としての鎮守の森などは、心の拠り所となるだろう。●ターゲットをひとつの層に絞るのではなく、若年単身も子育ても高齢者もバランスよく混ざることが大事。ソーシャルミックスに重要性がある。特定の所得階層に偏るのも避ける。●駅前の商店街の感じが良い。昭和レトロな感じはあるが、団地と商店街が一体となっているような感じで、これは活かしていけるのではないかと思った。

信時正人

●エネルギー問題に携わる中で、防災面も含めて考えるとこれからは分散型、自給自足型のエネルギーインフラを整備すべきと考えていこうということで取り組んでいる。太陽光・熱利用パネルもその一つで、横浜という都市では最も導入可能性が高いと考えている。●横浜市は、昨年12月に「環境未来都市」として国の指定をいただいた。「環境未来都市」とは、低炭素・省エネ地球温暖化と超高齢化の2つの大課題を、環境分野、経済分野、社会分野の3つの分野から解いていき、世界に誇れる都市にしていこうという流れ。●横浜は、その2つの柱に加えて、水・緑、クリエイティブ、チャレンジ、という3つに柱を加えて推進中。横浜は新しい技術やサービスをアートで表現するということで特徴を持てれば良いと考えているし、そうなれば、5本柱のうち低炭素とクリエイティブとチャレンジの、3つにまたがったプロジェクトができると考えている。●「環境最先端都市戦略」の柱の低炭素・省エネ事業の大きな事業として「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)」を展開している。●震災を受け、区役所や小学校、病院等災害時に必要な施設には、独自の創エネや蓄電池を具備し、スマートグリッドでネットワークするシステムの構築を将来的に考えている。●エネルギーマネジメントの前にエネルギーデザインがないといけない。都市、地域の特徴をよく知り、それを活かす形で低炭素・省エネのシステムをオリジナリティー豊かにデザインしていく必要がある。●太陽光バネル、EV(電気自動車)だけではなく、種々のエネルギーの可能性と組み合わせを検討し実施していく必要がある。


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