問屋さんやプレイヤー、住民、URなどがワンチームとなって話し合いながら進めているのが特徴的です」 人々を呼び込む活動の中心にいるのは、合同会社パッチワークスの唐から品しな知浩さんだ。小売りをしない卸問屋が多いなか、問屋さんと一般の人をつなぐ場としての「+PLUS LOBBY」の開設に始まり、交流会の開催、情報発信メディア「横山馬喰」の運営、コンテンツでつながる「スナック部室」、さらには物件を扱う「日本橋さんかく不動産」の立ち上げまで、URとともに関わってきた。「その時々で、あったらいいな、サポートできたらいいなと思うものをつくってきた」とご本人はさらりと話すが、いずれも4年ほどの間に関わる人がどんどん増えて、スナック部室の部活動は60以上れるかを考える時間を我々に与えてくれたこと。加えて、入口が狭く、エレベーターもないビルの上階は貸せないものだと思い込んでいた我々に、貸せるかたち、アイデアを実例として見せてくれたこと。それによって面白いテナントが入り始め、土日でも外からお客さんが来てくれるようになったんだから驚くよね」 そう語るのは、卸問屋㈱宮入の社長で、まちづくりの推進役である宮入正英さんだ。長年都心のまちづくりに携わってきたURの宮内拓馬は、このエリアの事業はかなり特殊だと感じている。「都心で、大規模開発ではなく、少しずつまちを変えていくというのはURでは珍しい取り組みです。ビルは一度壊して建て替えられたら、その後、数十年は使い方が固定されてしまいます。このまちの過渡期である今、スクラップ&ビルドによらない、遊休資産を活用したまちづくりは意味があると思いますし、それをに発展。交流会への参加者は毎回50人以上に。最近はこの他にも、店舗の軒先を含め路上を会場にした「道Night」など、多様なイベントがURやプレイヤーによって開催されている。 まちの住民のひとり、関西出身の森山真一さんは、近くに引っ越してきたものの、その当時は知り合いもおらず、自宅と職場と子どもが通う保育園を行き来する日々だったという。「唐品さんたちが運営していた+PLUS LOBBYの前を通りかかったことをきっかけにイベントや交流会に参加するなかで、知り合いが増えて。まちの印象がどんどん変わって、このまちがどんどん好きになりました」 森山さんは多様なニーズと問屋遊休不動産のマッチングを進める「日本橋さんかく不動産」の中心メンバーでもある。さんかく不動産が目指すのは、「まちの人たちに空き家をハンティングしてもらって、集まった情報をもとに、それを活用できる仕組み」づくりだ。「下町を面白がる人が入ってきてくれて、相談できる人が増えて、まちの地力が上がってきているかもしれない」 宮入さんのその言葉を聞きながら、まちをつくるのも、変えるのも、人なのだと改めて思った。交流・関係人口が増えるほどにそのまちは魅力を増し、強くなり、可能性を広げていくのだろう。下/頻繁に開催される交流会。「全然知らない業界の人と知り合えること、そこからもらえる刺激は、何にも代え難い魅力です」と唐品さん。左/問屋街の道路空間を活かしたイベント「道Night」を開催。問屋街ならではの落ち着いた夜の時間を活かして、地元問屋や来訪者が集い、交流を深めた。右/「神田祭」で知られる神田神社(神田明神)の総代も務める宮入さん。上/左から森山さん、URの宮内、唐品さん。昨年の神田祭には3人とも参加した。森山さんはこの地で知り合った仲間とともに、「+PLUS LOBBY」の跡地にできた「YYBASE」の2階を借りて、日本橋さんかく不動産の活動拠点にしている。取材に訪ねた日は、スナック部室「相撲部」と「ふろしき部」の活動日だった。メンバーが昼過ぎから集まって楽しく相撲を観戦。帽子部や複業部など他にもさまざまな部活がある。下/服飾関係の卸問屋が並ぶ横山町の問屋街。知り合いが増えるほどにまちを好きになる18UR PRESS vol.84
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