UR PRESS VOL.83
12/36

妹尾和子=文、菅野健児=撮影と活気が出て、住民の外出のきっかけにもなるし、いろいろ新しい取り組みもしてくれて、ありがたいです」と笑顔だ。 芝浦工業大学が原市団地内に研究拠点「芝浦工業大学サテライトラボ上尾(以降、ラボ)」を構えたのは2014年のこと。以来、同大学のシステム理工学部の作山 康教授が中心となって、地元の人々と交流しながら、学生たちと地域の課題を調査し、解決するための研究活動を続け、地域コミュニティーを盛り上げてきた。原市カフェをはじめ、蔵書を断捨離したいという住民の声を受けて、ラボ内に本棚を造って、みんなに読んでもらえるようにしたり、スマホの使い方講座を開いたり、団地内外にコミュニティーガーデンを整備したり……。他にも、認知症の早期発見センサーを住戸内に設置して検証したり、スマートスピーカーの呼びかけに答えていくとエンディングノートが完成する仕組みを作ったり。 作山教授は取り組みの背景と目 埼玉新都市交通伊奈線(ニューシャトル)原はら市いち駅から徒歩15分ほどの距離にある原市団地。ここではほぼ毎月「原市カフェ」が開かれている。7月19日の土曜日、カフェのオープン前に到着すると、すでに人が集まっていた。待っている方たちに伺うと、ここのピザがおいしくて、毎月楽しみにしているのだという。お昼には売り切れになってしまうとも。その評判の石窯ピザの準備を進めているのは、さいたま市内に大宮キャンパスを構える芝浦工業大学システム理工学部の学生たちだ。団地の自治会や地元の社会福祉協議会のメンバーも手伝っている。「ピザ作りの技術は回を重ねるごとに高まっていますし、みんなでワイワイやれるのが楽しい。住民さんも声をかけてくれますので」と学生たちは楽しそう。一方、自治会長の栗田 尚さんは「若い人たちが来てくれる「団地は日本の縮図」「団地の課題は、今後の日本の課題」との考えのもと、芝浦工業大学の学生が地域の課題解決に工学技術を生かして取り組む。そんな活動が10年以上も続いている団地がある。交流と調査・研究で大学が地域に貢献!原市団地埼玉県上尾市石窯で焼くピザが人気の原市カフェ社会に貢献する人材育成団地はその実践の場ラボの前のスペースを利用して開催される原市カフェ。この日は猛暑日の予報が出るなか、団地内外から多くの人が来店。その場で食べられるテーブルセットも用意されていた。11UR PRESS vol.83

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る