UR PRESS VOL.82
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ては娘たちに申し訳ないですけど、後悔ばかりの母親です。 厳しい社会に放てるように育てるのが親の役目だと思い、厳しく育ててしまいました。就職活動中の娘に「世の中には、たぶんママより怖い人はいないと思うよ」と言って励まかったので、怒ってばかりでしたが、喜びや悲しみ、楽しさやつらさなども、娘たちが私に味わわせてくれて、いろいろな世界を見せてくれました。 子育てのために一時期休んでいた仕事を、長女が10歳になってから再開しました。私は昔から真面目で、手が抜けなくて、全力投球してしまいます。子どもたちに勉強は教えられないし、仕事があるから毎日ごはんを作ることは無理だけれど、お弁当だけは作ると決め、娘たちのお弁当を16年間作り続けました。前日からサンドウィッチの仕込みをしたり、3時に起きてお弁当を作って、4時に仕事に出かけたこともありますが、たどり着いた結論は、3日で栄養のバランスがとれればよし。途中からは、それぐらいゆるくていいと考えられるようになりました。 私が娘たちと向き合って生活してきたことは、間違いなく彼女たちに影響していて、無意識に動作や考えに出ていると思います。人は経験から得た種を体に植えつけていて、やがて芽を出して花を咲かせる、それが人生だと私は思っています。だから娘たちと生きてきた時間が、どういうふうに影響しているかは、怖くもあり、楽しみでもあります。こう言っ娘さんの子育てはいかがでしたか。 年子ですから5歳ぐらいまでは本当に大変でした。その頃の記憶が、長女と次女と混ざります(笑)。子どもが生まれてから22年間、心身ともに私に余裕がなますか。 常に必死です。役と向き合い、監督の要望を噛み砕き、一緒に芝居をする皆さんの声を聞きます。芝居は難しいからこそ、やりがいがあって、やめられません。全力で精一杯、その役を生きることを心がけています。 実生活で2人のす」とお答えしました。監督の世界観の一員になりたいし、監督の気持ちにお応えしたいと思いました。『ルノワール』で印象に残っているシーンはどこですか。 詩子は会社でもうまくいかず、セミナーに行かされます。そこでも心を開きませんが、セミナーの講師とちょっといい感じになります。詩子がタバコを吸っているところに、講師がやって来る短いシーンがすごく好きです。台本ではもっと長いシーンでしたから、試写を観たとき、「ここで切るの!」と思いましたが、短いからこそ、2人はこの後どうなったのだろうと想像力を掻き立てられます。 演じることにどのように向き合ってい「UR PRESS」オンライン版で、パソコンやスマートフォンから石田ひかりさんのインタビュー動画がご覧いただけます。(2025年10月末まで)WEB UR PRESSいしだ・ひかり1972年生まれ、東京都出身。1986年に俳優デビュー。映画『ふたり』(大林宣彦監督)、テレビドラマ『あすなろ白書』『ひらり』など数多くの作品に出演して話題に。2025年、ドラマでは主演『週末旅の極意2~家族って近くにいて遠いもの~』をはじめ『続・続・最後から二番目の恋』『ミッドナイト屋台~ラ・ボンノォ~』、映画では『アンジーのBARで逢いましょう』(松本動監督)、『リライト』(松居大悟監督)、『ルノワール』(早川千絵監督)などに出演している。生活困窮世帯への食料支援「フードバンク」の活動を応援している石田さん。昨年は「認定NPO法人フードバンク山梨」を訪ね、現状を自身のYouTubeチャンネルで紹介し、支援を呼びかけた。5UR PRESS vol.82

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