ます。 役者でなかったら、どのような仕事に就いていましたか。 パティシエになっていたと思います。岡田惠和さん脚本の『アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~』というテレビドラマを子どもの頃に観ていました。作品自体がとても美しくて憧れました。 今も僕が創作のなかで一番大事にしているのは美しいこと、そこなんです。 ただ、学生の頃、パティシエになってパリに行って、とシミュレーションしてみたら、いや違うなと感じたことがあって(笑)。ちょうどその頃にスカウトしていただき、この世界に飛び込みました。 デビューは2010年のテレビドラマ『素直になれなくて』で、その後、モデルの仕事もするようになり、パリ・コレクションに2年連続(16、17年)で出さと覚悟を決めました。 結果的に、多くの先輩方がこの舞台を観てくださり、褒めていただいたことが一番大きな自信になりました。自分がやってきたことは間違っていなかったという手応えも得られて、それからは、役を楽しめるようになりました。 でも、この作品では自分のことで精一杯で、新感線の人たちと一緒に楽しむことがあまりできなかった気がして、また次の機会がいただけるなら、今度は皆さんと楽しみながら芝居がしたいなと思っていに自主練をやりました。あとになって、「まだやれたかな」とは思いたくなかったですし、後悔もしたくなかったです。つらかったし、疲弊もしました。でも、これをやりきれば何を言われようが、「これ以上、俺にはできない。それ以上は俺の実力不足」と言い切れます。自分の限界までやろう 同世代の俳優たちがどんどん賞をとっていくなかで、僕はそういう評価を得られていませんでしたから、20代の頃は羨んだり妬んだりしたこともありました。 この舞台はターニングポイントにしなければいけないと、台本をいただいたときから思った作品でした。僕が演じた役柄は、新感線さんの代表作である『髑髏城の七人』に出てくるキャラクターの全部がまとまったような人物でした。台本を読んで、これだ!とわかりました。生かすも殺すも僕次第。ここで僕が変わらなければ、なりたい俳優像には近づけないと思いました。 それまでアクションはよくやっていましたが、本格的な殺た陣てや女形は初めてでした。稽古が始まる前に、正月も休まずりゅうせい・りょう1993年、東京都出身。17歳で俳優デビュー。数多くの映画、テレビドラマなどに出演し活躍中。NHKの連続テレビ小説『ちむどんどん』では主人公の兄を、大河ドラマ『光る君へ』では藤原隆家を演じた。2月公開の映画『ショウタイムセブン』にも出演。『昭和から騒ぎ』舞台三谷幸喜の手で、シェイクスピア原作『から騒ぎ』が昭和の鎌倉を舞台にした、ある家族と旅芸人一座の物語に。聞き耳、立ち聞き、盗み聞き……。虚実が飛び交い、騙し騙され振り振られ。三谷幸喜が描く恋の行く末は⁉河合祥一郎訳「新訳から騒ぎ」(角川文庫)より翻案・演出:三谷幸喜出演:大泉洋、宮沢りえ、竜星涼、松本穂香、松島庄汰、峯村リエ、高橋克実、山崎一【東京公演】5月25日~6月16日(世田谷パブリックシアター)【大阪公演】6月20日~23日(SkyシアターMBS)【福岡公演】6月27日~29日(キャナルシティ劇場)【札幌公演】7月4日~6日(カナモトホール)【函館公演】7月9日~10日(函館市民会館) *いずれも当日券あり。問シス・カンパニー ☎03-5423-5906 https://www.siscompany.com/karasawagi/5UR PRESS vol.81
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