UR PRESS VOL.81
22/32

は、たまたま通勤途中にこの店を知り、店主の菅沼行生さんと話すようになったことがきっかけで、読書会を始めた。「『三四郎』は読むたびに気づきがあり、読む人の年齢や経験によって感想も変わる、とても奥深い小説です。その面白さを皆さんと共有できればいいなと思っているんです」と亀井さん。 参加者からさまざまな意見が飛び交うなか、読書会はなごやかに進んでいった。 この読書会にも参加していた菅沼さんは、名古屋市で小学校の教員を務め、校長を最後に定年退職。人生のセカンドステージでは何か店をやってみたいと思っていたが、もともと本が好きだったこともあり、古書店を始めたという。 最初は名古屋市熱田区の古民家で開業。だが、家主の事情でそこを出ることにな その店の中は、あたたかな明かりで満たされていた。壁一面、天井まである棚には古本がずらり。小説、ビジネス書や実用書、単行本から文庫本、新書やマンガ、絵本もある。中央にはテーブルとイスが置かれ、奥のカウンターで飲み物を注文して、ここで本を読みながらいただくこともできる。古本が醸し出す優しさに包まれた、落ち着いたブックカフェという趣だ。 ここは名古屋市中川区にある豊成団地。団地商店街の一角にある「古本&喫茶 真本堂」ではこの日、10時から読書会が開かれていた。7人の参加者は夏目漱石『三四郎』の1話を読み込み、感想を述べ合っていく。参加者は学生から年配の方までさまざまだ。 読書会の進行役を務める亀井弥みつ子こさん武田ちよこ=文、平野光良=撮影『三四郎』を読む読書会が楽しい定年退職後古書店を始めるしい団地DANCHIPICKS楽団地に人を引き寄せる「魔法」のような古書店HOUSEI上/この店で知り合い、つながった人たちが演奏を楽しんだ、手づくり感満載のコンサート。周辺の店舗等にご理解をいただき実施した。左/豊成団地商店街にある「古本&喫茶 真本堂」。以前の飲食店のときの外観をそのまま利用しているので、一見すると古書店とは思えない。●真本堂 ☎090-4467-9639営11〜18時 休水曜+不定休名古屋市中川区の豊成団地商店街にある「真ま本ほん堂どう」は、古本と喫茶の店。そこには団地をはじめ、あちこちからたくさんの人が集まってくる。ここで出会った人たちからは、「ここはまるで『魔法堂』だ」との声が聞こえてくる。愛知県名古屋市豊成団地21UR PRESS vol.81

元のページ  ../index.html#22

このブックを見る