武田ちよこ=文、菅野健児=撮影の隣では夏頃の開業を目指して大型小売店が建物を建設中だ。 「建物がなくなり、昔のまちの面影が消えていくことに、寂しさを感じる町民もいます。建物を残してほしいという意見もありました。すべてを新しくするのではなく、いくつかの建物を残し、内部をリニューアルして新しい機能を持った施設につくり替え、まちのにぎわいを取り戻すことが、このプロジェクトの目的です」と森山さんが説明する。 双葉駅から東に延びる道を少し歩くと、ブルーのペンキでペイントされた旧ブティックと呼ばれる建物がある。この周辺は地元の祭り「だるま市」のときには大変な人出でにぎわったエリア。旧ブティックの建物は地域活動拠点「FふUTたAHほOMめE」で、1階がカフェ・チャレンジスペース、2階がコワーキングスペースに生まれ変わった。車庫だった場所には、コーヒーの焙煎所兼コーヒースタンドもつくられている。 その先にある建物は旧東邦銀行 JR双葉駅のすぐ横に立つ双葉町コミュニティーセンター。震災以降、使われていない建物の中を進むと、すり鉢状に座席が並ぶホールが現れた。「ここでは町民向けに映画上映会や劇の上演を行ったり、スポーツ少年団の壮行会を行ったりしていました」と教えてくれたのは、双葉町総務課の森山和久さん。双葉町の駅前には、このセンター棟と旧駅舎棟、ホール棟が並んで残っている。 現在、双葉町が取り組んでいるのが、双葉駅東エリアにぎわい再興プロジェクトだ。駅の東側に残る震災以前からある建物を既存ストックとして活用しようという取り組みで、町民の思い出が詰まったこの建物も、プロジェクトの一環として残す計画だ。旧駅舎は観光案内所、センター棟は宿泊施設、ホール棟は駅の利用者のための待合い所兼ライブラリーになる予定だという。 双葉駅前には2022(令和4)年に町役場の新庁舎が完成し、そ現在の双葉駅前。左側が既存ストックの活用が決まったコミュニティーセンターと旧駅舎、新しい双葉駅。右は新庁舎。双葉町では双葉町産業交流センターを中心に働く拠点を整備、双葉駅西側に公営住宅も完成した。現在は駅東側に残る既存の建物を活用した、にぎわい再興プロジェクトが進行中だ。既存の建物を地域活動拠点に!にぎわいの再興を目指す双葉双葉町町福島県FUTABAMACHI町民の思い出が詰まった建物を残して活用旧ブティックの建物を地域活動拠点に11UR PRESS vol.81
元のページ ../index.html#12