「私たちも地域密着の幼稚園でありたいと考えていたので、URさんからのお声掛けに、『ぜひ』とお答えして、まずは一緒にイベントをやりましょう、ということになったのです」。大原幼稚園教諭の尼ヶ崎眞弓美さんがこう説明する。さっそくその年から、団地内の遊具などを見つけてビンゴ用紙にシールを貼る「おさんぽビンゴ」などのイベントを年2〜3回開催。ほかにも、毎年大原校区社協が主催している、夏場の集会所開放「クールシェアカフェ」の一部として、今年はURとともにカフェ「はらの木」が協力。参加した小学生にかき氷をふるまい、高齢者だけでなく多世代の居場所となった。そしてこの日のクリスマスラリーにも保護者サークルのメンバーとともに積極的に参加、マルシェには幼稚園の保護者の関係者からの出店もあった。URの五嶋は、「今日のイベントは地域の皆さんに団地を知ってもらうことと、イベントを通して幼稚園をはじめ商店街や郵便局の方、自治会の皆さんなど、関係者同士が顔見知りになり、よりよい関係を築いていきたいというねらいがありました」とその目的を説明する。団地自治会の会長である黒岩宣征さんは、このイベントのチラシを近隣の小学校でも配れるように手配した。それを見て来場した親子も多数いたので、URの五嶋も感謝しているという。「URの五嶋さんからは、イベントの準備や進捗について、しょっちゅう電話をもらいましたよ(笑)。自治会は高齢化して活動がやや低迷していますが、幼稚園をはじめ商店街などの皆さんと一緒になって、楽しく団地を活性化していければいい」と黒岩会長。イベント当日、サンタクロースに扮してサクソフォンを吹き、シャボン玉を飛ばしていたのは、自治会のメンバーだ。「できる人が、できる時間に協力してくれればいいんです」という黒岩会長の言葉通り、無理なく楽しみながら協力している様子だ。カフェ「はらの木」の岡本彩花さんは、「ふだんから幼稚園に来られるママたちだけでなく、団地にお住まいの高齢の方々にも、よく利用していただいています。皆さん子どもたちに優しくて、幼稚園の子どもに鉛筆の持ち方を教えてあげたりしていますよ」と話してくれた。URの五嶋は「団地での交流をきっかけにして、団地の中だけでなく、地域全体で多様な世代が交流し、支え合える関係をつくっていきたい」という。そのために関係先との連携を深め、今後もさまざまなイベントを仕掛けながら、試行錯誤していくつもりだ。団地での交流から地域へ広がるつながり 上/無事にイベントを終えてほっとした表情の、右から大原幼稚園の尼ヶ崎先生、カフェ「はらの木」の岡本さん、URの五嶋。左/団地のメンバーが丹精している花壇の前で、原団地自治会長の黒岩さん。団地集会所では、クリスマスカードやツリー作りのワークショップが大盛況。団地内にある大原幼稚園。団地の公園は子どもたちの遊び場だ。「団地内を練り歩くと、住んでいる方からよく声をかけてもらいます」と尼ヶ崎先生。福岡原団地郵便局では、郵便バイクに乗って写真が撮れるフォトブースを開設。UR PRESS vol.80Danchisaizensen▶HARA
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