UR PRESS VOL.80
21/34

みとおり「既存のものを見直し、よさを生かしながら再編集する」のは、MUJI×URの得意とするところ。それが今回の集会所改修でも存分に発揮された。和室は残し、ラウンジや集会室を使いやすく。集会室は天井板を取り払い、大開口の窓を設けて屋外テラスとつながる、開放感あふれる明るい空間に生まれ変わった。シェアキッチンも備えた。「MUJI×UR団地まるごとリノベーション」が目指すのは、ハード面だけではない。地域コミュニティーの形成というソフト面も大切にしている。集会所の改修に先立ち、自治会メンバーと住民に呼びかけて「かもめ会議」がスタートしたのは20年。あわせて、当初はイベントをともに企画する仲間として募集を始めた「かもメイト」は、MUJIのネットワークを利用した情報発信や「かもめマルシェ」などのイベントを通して登録者数がどんどん増えて、団地内外を合わせて200人ほどに。今では告知・情報共有のメンバーツールとして使われている。「かもめマルシェで、コーヒーのワークショップを開いたり、子ども向けのプールを開催すると、『こんなに若い人たちがいるんだ』、と驚くほどたくさんの方が来てくれて。次はいつやるんですかと聞かれたり。集まる場のニーズを感じました」と話すのは、ソフト支援を担当するMUJIHOUSEのコミュニティーマネージャー見通真次さん。「一人でごはんを食べるのはさみしいので集会所で食べられるといい」「読み聞かせができるスペース、本棚がほしい」など、かもめ会議やかもメイトからの声を受けて、今回の改修で実現したものが多いという。「昔は集会所といえば団体で使う場所だったのかもしれませんが、これからは移動販売で購入したものを集会所で食べたり、友達とパーティーしたり、タワーマンションのラウンジのように、個人の生活の場で足りないところを補填するような場として使ってもらえたら」と見通さん。松本さんも「家で煮詰まったときに集会所でテレワークするなど、気分転換の場としても使ってもらいたいです」と。以前から人気の料理教室に加えて、今後はヨガや体操教室、日本酒を味わう会など、ゆるやかなクラブ活動も、ここでできたらと関係者の夢はふくらむ。「感じ良い社会の実現」を目指すMUJIと、多様な世代が生き生きと暮らし続けられる住まい・まちの実現を目指すUR。両社が協業することで誕生した集会所が、多世代が気軽に集まれる場、地域の人たちを活気づける場となることを、URの宮下をはじめ関係者は願っている。  地域の人たちが集まる場に左からMUJI HOUSEの見通さん、URの宮下、長年MUJI×URの住戸設計を手がけてきたMUJI HOUSEの松本さん。集会所のラウンジで。UR PRESS vol.80集会所に置くテーブルは、通常のオフィス家具では違和感があったため、天然木で作ったオリジナル。右/庭の植栽を整理し、大開口で集会室やキッチンと屋外テラスがつながるつくりに改修した集会所。左/キッチンの調理器具や小物は無印良品で揃えて、使いやすく整理。上・左/昨年10月26日に開かれた「かもめマルシェ」の様子。シェアキッチンを使って東京ガスエコモの料理教室が開かれたほか、団地自治会によるシフォンケーキやオリジナルクラフトビールの販売、関東学院大学の学生によるワークショップなど多彩な企画で盛り上がった。AFTERBEFOREDanchisaizensen▶KOUNANDAI KAMOME

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る