港南台かもめ団地の集会所が、オシャレに利用しやすくリノベーションされ、近隣で注目を集めている。「集会所を改修するにあたって考えたのは、この公園のような豊かな団地の環境を生かして、いかに緑と建物が一体となれるかでした」そう語るのは、集会所改修の設計を担当したMUJIHOUSEの松本雄作さんだ。MUJIHOUSEとURは2012(平成24)年以来、「こわしすぎず、つくりこみすぎない」をモットーに、団地の魅力を生かした住戸のリノベーションに取り組んできた。その数、60を超える団地の1300戸に及び、いずれも人気が高く、特に若年層の入居希望者が多いのが特徴だ。さらに21年からは、住戸リノベーションだけでなく「団地共用部のリノベーション」や「地域コミュニティーの形成」にも協業の範囲を広げた「MUJI×UR団地まるごとリノベーション」プロジ ェクトもスタート。今回の集会所改修はその一環として行われた。そもそもなぜ「MUJI×UR団地まるごとリノベーション」で集会所を改修することになったのか? 「港南台かもめ団地は建設から約50年を過ぎて、住民の高齢化が進み、単身の方も増えています。使われる頻度が少なくなっていた集会所を改修することで、その方たちの外出のきっかけになればと。また、50㎡ほどの住戸が多いこともあり、若年層の方に『こんないい空間があるなら、ここに住みたい』と感じてもらえたらという思いもありました」URの宮下七星はそのように説明する。加えて、「地域に集まれる場所がない」という団地を含めた地域の課題もあった。MUJI×UR団地まるごとリノベーション集会所を魅力あふれる地域の拠点にこわしすぎずつくりこみすぎないJR京浜東北線・根岸線港南台駅から歩くこと10分ほど、緑豊かな高台に16の住棟がゆったりと立つ港南台かもめ団地。その敷地の中心部にある集会所が昨年秋に生まれ変わり、団地内外の人が集まる場となっている。神奈川県横浜市上/集会所の入口には本棚があり、自由に読むことができる。「かもめマルシェ」で本の交換会が行われることも。左/「かもめマルシェ」には、近隣の子どもたちも参加。右/改修された集会所。屋外テラスに置かれたストリートファーニチャーはMUJI×URで共同開発したもので、用途に応じていろいろ組み合わせられる。妹尾和子=文、菅野健児=撮影団地最前線14か港も南め台団地UR PRESS vol.80
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