したいと活動する㈱ヨナゴデザインの4人。米子商工会議所青年部で活動を共にした彼らは、2022(令和4)年にURが声がけして立ち上げた仮称「妄想会議」のメンバーだ。これは「将来まちがこうなったらいいな」という姿を妄想して自由に発言する会議。この日の遊覧船の運航やシェアサイクルによるツアーは、この妄想会議から出てきたアイデアだ。「今日は予想以上に多くの人々が外で過ごされていて、皆さんこういう空間を望んでいるんだなと、手応えを感じました」とヨナゴデザインの下田由美さん。「URの方が外部の目で指摘してくださることで、米子のよさを再認識することが多々ありました。そのひとつが、遊覧船が走る川の存在。市内の中心部まで船が入れるのはとても魅力的で、観光だけでなく、市民の足としても有効活用できるのではないかと思っています」と話すのは、ヨナゴデザインの大丸修二さんだ。米子市の相野さんも「車の通行への影響が思いのほか少なく、この取り組みに可能性を感じました」と満足の表情だ。妄想のまちの姿が、少しずつかたちをとり始めている。担当するURの吉田英雅は、「妄想から、今日のようにアクションを起こして、一歩踏み出せるところまで来ました。今日のイベントの結果を次につなげながら、URは皆さんが軽やかに次の一歩を踏み出すお手伝いをしていきます」と目を細める。けっして妄想では終わらせない。メンバーのまなざしは、しっかりと米子の未来を見据えている。 「YONAGOSTREETWALK!!」は米子市が主催、URと米子商工会議所青年部などが協力して実施された。米子市総合政策部課長の相野秀樹さんに、米子市が抱える課題について伺った。「米子市はコンパクトなまちで、バスや鉄道など公共交通網が充実しています。ところが公共交通を利用する人は少なく、買い物客は車を使って郊外店舗に流れ、中心市街地の空洞化が進んでしまいました。市では、まちの中心部を車中心から公共交通と歩行者中心の空間に転換し、『歩いて楽しいまちづくり』を目指しており、今日のイベントはそのための実証実験という位置づけです」人々が車を降りてまちを歩き、店に立ち寄り、そこに長くとどまれば、まちにはにぎわいが生まれる。今日の実験は、中心市街地に人々が集まるための空間と仕掛けを作り、市民の皆さんの反応を見ることが目的のひとつだった。市民の側から動きを起こすのは、米子のまちの活性化のために何か妄想のまちを現実のものにする6UR PRESS vol.80「歩いて楽しいまちづくり」の推進メンバーたち。左から、ヨナゴデザインの深田拡慶さん、大丸さん、米子市の相野さん、URの吉田、ヨナゴデザインの下田さん、田中裕一さん。コンベンションセンターで開催された「よなご公共交通ふれあいフェスタ」では、市長と地元高校生らのトークセッションも行われた。上/「だんだんステーション」にはシェアサイクルのポートも。この日は折り畳み自転車を借りて米子駅から後藤駅までJRに乗る、プチ輪行ツアーも開催。右/グリーンスローモビリティの体験乗車も。
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