わると感想を聞かれて、飲みに行こうと誘われる怖さがありました(笑)。今は配信のチケットを買えるので、面白かったところは何度でも観られるし、感想言わなくてもいい(笑)。いい時代です。観たものが僕の基盤のデータとなり、その上に新しい自分の土台になるものができていくと思います。基盤がないとグラグラします。基盤のデータがいらない天才タイプの人は別ですが、僕はコツコツ型で、人の芸をいっぱい観て、これは多いからかぶらんようにしようとか研究します。それが勉強という感覚もなく、好きやからやってたんで、好きなことが仕事になってるから楽しいんです。だけやと思います。芸人になる前からお笑いマニアで、とにかく劇場でライブを観て、テレビや映像もいっぱい観て、自分の中にストックしている量が多かったんだと思います。でも、飲み会とか、先輩との付き合いは不得意です。昔は先輩のライブに行くと、楽屋に挨拶に行って、舞台袖から観て、終す。お笑いを観たい人とお笑いをやりたい人の需要と供給にしっかりお応えしようと思うんです。でも普通のスピーチとか、恥ずかしくてしょうがない。こういう撮影やインタビューはめちゃくちゃ照れます(笑)。家では奥さまがいらっしゃいます。脳内おしゃべりのバランスはどうですか。僕が細かいのはわかってくれてますから楽です。結婚して自分のあかんところがよくわかりましたね。一人暮らしのときは脳内でしゃべってるのを意識してなかったけど、独身時代の思考回路は、もう終わりやと思ったりします。たとえば、僕はしたいことあるけど、奥さんは今、めっちゃしゃべってる。僕はちゃんと聞いてなくて話が頭に入ってこない(笑)。どうしよう、これ、僕、どういう態度したら一番平和にいくかなと考える。今、奥さんはゾーンに入ってるから、ここで聞いたらあかんとか、脳内で何かしらしゃべっています。こういうのが嫌じゃなくて、自分をコントロールできるようになってきて、面白くなったんです。一方で、人間的な〝橋お父さまは読書家だったそうですが、影響は受けなかったのですか。受けなかったです。僕が学生時代に親父は46歳で他界しました。親父は「本やったら、いくらでも買うたる」って言ってました。漫画を買ってほしかったけど、漫画は本とみなされず。親父の部屋に本が入らなくなると廊下にまで本棚が置かれ、廊下の幅が半分になっていました。親父の兄である伯父に、本が出ることを伝えたら、手紙がきました。「親父も喜んでる。これはすごいぞ」と書いてありました。人前に出るのが苦手だけど、「漫才師の魔法」がかかると平気だと本に書いてありました。お笑い以外でも徐々に慣れたりしませんか。慣れないです。たぶん漫才師ではないときの自分に自信がないからでしょう。僕は幼少期から自己評価がすごく低いんです。普通に考えたらおかしいですよね、そんなやつが芸人になるわけないです。漫才以外では、誰も僕に興味ないだろうという感覚がいつもあって、そのスタンスが消えません。だから後輩を食事や飲みに誘えないんです。卑屈でねじ曲がっています。何回もねじれをほどこうとしたけど、ほどけなかった。漫才師として人前に立つと、「めっちゃウケるぞ!」っていう気持ちになりま銀シャリ単独ライブツアー「シャリとキリギンス」10,000人を動員する銀シャリ史上最大の単独ツアー。11/3(日祝)東京、11/23(土祝)大阪で開催。前売:4,500円 当日5,000円詳しくはFANYチケットをご覧ください。UR PRESS vol.79 5
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