を変えて民間の投資を促進し、町を活性化するべく、スポーツを活用したまちづくりを始めました」と、美浜町産業建設部都市整備課の平野和紀課長が説明する。スポーツまちづくりの軸ともいえるのが、冒頭で紹介した美浜町運動公園だ。最新設備を備えた陸上競技場を含む整備は、人口2万人強の町にとっては初の大事業となる。そこで事業遂行のパートナーに選んだのが、URだ。事業を担当するURの竹内誠は「美浜町とは、約30年前に『美浜町総合公園』を整備させていただいてからのご縁です。今回も、パラ競技に特化したい、などのご要望をお聞きしながら、町の方と調整しつつ事業を進めています。また、この公園は防災公園の役割も担っています。いざというときは観光客なども含めた1万人の方々の一時避難場所にもなるよう、国の補助の対象となる防災対策メニューなども活用しながら、整備をしています」と話す。工事には、この土地ならではの苦労もあるという。地盤に細かい砂が含まれるため、工事による土砂が海へ流れ込むと特産品である海苔の養殖に影響が出てしまう。そのため、養殖期間中は水質調査を行い、慎重に工事を進めている。スポーツを核としたまちづくりは、ソフト面でも着々と進んでいる。で『スポーツまちづくり推進室』を設立。「スポーツでつなぐ、美浜の未来」をスローガンに、スポーツを核としたまちづくりを打ち出し、協働して事業を進めている。「高齢の方へは、運動への興味喚起によりフレイル予防や介護予防を促し、ゆくゆくは医療費の減少へつなげたい。子どもたちには、英語を使った体育の授業や課外活動を行っています。また、県内外の大学などの合宿や大会誘致を進め、地元消費を拡大。将来的には企業誘致や産業振興、若者人口の確保までつなげられればと考えています」と話すのは、美浜町教育委員会教育部生涯学習課運動公園係の前田健二係長だ。「公園全体の整備は、まだ半分程度。引き続き残り部分の整備に尽力し、将来的には公園の使い方などのソフト支援も行い、町の人々の健康に役立ち、人が集まり、親しめる空間にしたい」と竹内。美浜町は23年、スポーツ庁から「スポ ていく。まち!長官表彰」を受けた。全国を先導する優良な「スポーツ・健康まちづくり」に取り組む町として、国の後ろ盾も得た。オリンピック・パラリンピックで大いに盛り上がったスポーツ熱を追い風に、美浜町のまちづくりへのURの伴走は続い子どもから高齢者まで親しめる公園に22年には、美浜町と日本福祉大学と18UR PRESS vol.79美浜町運動公園整備とスポーツまちづくりに取り組むメンバー。左から、美浜町教育委員会の内田俊也さん、前田さん、美浜町の鈴木さん、平野さん、URの竹内、渡邉沙織、大﨑祥卓。右2点/オープニングイベントでは、スポーツジャーナリストの増田明美さんらによるトークセッションやパラ陸上競技トップアスリートによるデモンストレーション、日本福祉大学と愛知工業大学によるラグビーデモンストレーションマッチも開催。下/セレモニー会場では、美浜町商工会部会を始めとするキッチンカーのほか、商工会青年部やURもブースを出展。イベントを盛り上げた。6月30日のお披露目は、オープニングセレモニー・イベントの2部構成で実施。オープニングセレモニー(竣工式)は、祝辞やくす球開披などで盛大に開業を祝った。約1000人が観覧可能なスタンドには車椅子専用観覧席や傾斜が緩やかなスロープを設置。更衣室には車椅子での利用も可能なシャワーのほか、バリアフリートイレも完備されている。トラックは全天候型フルウレタン舗装。インフィールドはすべての投てき種目に対応したロングパイル人工芝を採用し、パラ陸上競技にも対応。夜間も利用できるLED照明や写真判定システムも完備している。
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