UR PRESS VOL.78
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難解なことが問われだすかと思いきや、さっと煙に巻いて終わったりする。展開の予測できないところが面白いです。演出の寺十さんは本読みのときから、こういうキャラクターはどうかなといくつか提案してくださいます。またご自身も役者なので、稽古では実際に演技を見せてくださいます。私の自信がないところを見抜いて、足りないところを導いて、寄り添ってくださるので心強いです。脚本と演出が化学反応を起こして、劇場という空間を使って、時空を飛び越えていく舞台になると思います。舞台に向けて、何か準備されていることはありますか。私は元三味線芸者の役ですので、関西のリズム感を体に入れたくて、上方舞を習い始めました。演じる手助けをしてくれると思って。共演メンバーも素敵です。尾上松也さん、段田安則さん、鈴木浩介さん、高田聖子さん、福地桃子さんと私の6人。人数が少ないので、話し合ったり、意見をもらえたり、深いコミュニケーションがとれると思います。段田さんとはNHKの大河ドラマ『光る君へ』でも共演させていただきました。段田さんは藤原兼家、道長の父親役です。私は道長の〝もう一人の妻〟、源明子。明子は兼家に一族の無念を晴らそうともくろみます。呪■詛■の場面は、恨みつらみを思いっきり演じさせていただき、段田さんには、あなたは本当はどういう人なの?と聞かれたこともありました。■■4UR PRESS vol.78舞台『夫婦パラダイス〜街の灯はそこに〜』は、織田作之助さんの『夫■婦■善■哉■』の主人公の柳吉とお蝶がモチーフとのことですが、どのような舞台ですか。北村想さんの脚本で、演出は寺■十■吾■さんです。私は2022年にも『奇蹟』という舞台でおふたりにお世話になっています。今回の舞台は大阪のとある川辺のワケアリの雰囲気が漂うスナックに、ワケアリの柳吉(尾上松也)と私が演じる蝶子が流れ着いて始まります。『夫婦善哉』を踏まえながら、違う空間で人間模様が展開されます。最初に脚本を読んだときは、想さんの世界だあと思いました。生きるってどういうことだろう、人と関わるってどういうことだろう。そんな想さんの人生論を感じる台詞が、登場人物全員にあります。さん俳優難解なことがちりばめられていて予測できないところが面白い!瀧内公美現在放送中の大河ドラマ『光る君へ』(毎週日曜、総合20時〜)に出演。写真提供/NHK    ■■  ■■■   ■  

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