愛宕神社や愛宕山の眺望を大切にされていると感じます。愛宕はまさに都心に残された唯一無二の場所。その歴史と貴重な自然を生かした再開発を目指して関係各所と調整を行ってきました。最終的にの建物を2棟建設しますが、一方を低層にしたのは、愛宕山からの眺望に配慮したからです。また、愛宕山の緑と地続きになるよう、敷地にも植栽を豊富に整備し、山からの緑の回廊をまちにつなぐ計画です」愛宕神社の参道部分を中心とした左右に広場を造る計画もある。「ビルを建てて終わりではなく、ここに人が気軽に集まれるハレの空間をつくって、愛宕エリアのにぎわいづくりができれば」と大塚。現在は、建設工事着手に向けて、土砂災害特別警戒区域に指定されている愛宕山の斜面の補強安全対策工事を行っている。さらに再開発エリアが面する愛宕下通りは東京都が拡幅整備を行い、快適な歩行者空間をつくる計画だ。野村不動産でこのプロジェクトを担当する雨澤伸吾さんは、URの担当者とともに権利者の所を回った経験から、「権利者さんとの間に公平中立な立場のURさんが入られることで、スムーズに合意形成が得られることが多く、計画を進めるうえで助けられています」と話す。同じく野村不動産の芳賀慎司さんも、「URさんには、事業を組み立てる過程で、権利者さんとの間に立って必要性と実現性のバランスをうまくコントロールしていただいています」と言う。「この事業で、URは事業者であると同時に、権利者でもあります。その立場を生かして、関わる方の思いや立場を守りながら、URでなければできないことを、民間事業者の皆さんとともに提案し、実現に向けて進めていきます」と話す大塚。「これまで地元の皆さんによって大事に守られてきた愛宕への思いを、新たにここに住まわれる方にも伝え、共有したい。その思いを開発のコンセプトに反映していきます」と抱負を語る。「早く完成した姿を見たいですね」と笑顔で話す野村不動産の雨澤さん。愛宕地区の再開発は、URと民間事業者との抜群のチームワークで順調に進行中。超高層ビルの竣工は、28年11月の予定だ。それぞれの強みを生かしチームワークで推進 41階建ての超高層ビル1棟と、3階建て18UR PRESS vol.78現在の参道風景。この左右が再開発され、参道沿いに広場が整備される予定だ。赤い大鳥居の先が、「出世の石段」と呼ばれる階段だ。再開発エリア(写真左)とその奥に広がる愛宕山の緑。正面に見えるのが虎ノ門ヒルズ。家康の命で防火の神様としてまつられた愛宕神社。今も参詣に訪れる人が絶えない。「今後の分譲販売に向けて、お客さまからの反応が今から楽しみです」と話す野村不動産の雨澤さん。「地元を愛する権利者の方々の期待に応えると同時に、新たな入居者の期待にも応える商品企画を考えることがやりがい」と話す野村不動産の芳賀さん。上/41階建ての超高層タワーは、低層部分にオフィスが入り、大部分が分譲住戸として売り出される。建物の角を丸くして柔らかな雰囲気を出すのは、愛宕という地区の特性を鑑みてのこと。※パースはイメージであり、今後の設計及び関係機関との協議により変更となる場合があります。左/「最終的な完成予定は2031年と、息の長い事業です」とURの大塚。その間、ここに残っている方々への影響が少ないように配慮することも大事だと話す。
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