自然の地形では東京23区でもっとも標高が高い愛■■宕山。高さ26メートルの山の頂に広がる愛宕神社は、1603年、徳川家康の命により創建された由緒ある社だ。山を覆うように木々の緑が広がるこの愛宕地区は、近年目覚ましい変貌を遂げる都心の注目エリアのひとつ。愛宕グリーンヒルズ、虎ノ門ヒルズ、虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワーと超高層ビルが次々に建ち、地下鉄の新駅・虎ノ門ヒルズ駅も運用を開始した。その中にあって愛宕神社とその周囲の自然は、都心とは思えない静けさをたたえ、心の安らぎを与えてくれる貴重な場所だ。 ■ 今回、URが野村不動産、竹中工務店とともに進めている再開発の現場は、まさにこの愛宕神社の麓。社殿に向かう有名な急坂「出世の石段」の下、大鳥居の左右に広がるエリアだ。そのスタートは10年以上前に遡るが、UR施行による再開発になったのは、2017(平成29)年にこの一帯の権利者の方々からURに要請があったことに始まる。それまでの意見交換会やまちづくり協議会での経緯を踏まえて、URが基本計画を立案。23(令和5)年に事業計画の認可が下りた。URは権利者らの合意形成や行政との調整を含め、事業全体を推進していくためのマネジメントを担当。竹中工務店が建物の設計と施工、野村不動産が住宅部分を取得し、権利者や新たなユーザーの期待に応える格調高い商品企画を練り上げる。URでこの事業を担当する大塚幸太に話を聞いた。 「地元の方の話を伺うと、皆さん愛宕というまちに誇りと愛着を持っておられ、愛宕地区第一種市街地再開発事業東京都港区URのまちづくり最前線 30都心に残された唯一無二の場所超高層ビルが次々に誕生して、まちが大きく変貌している港区の虎ノ門周辺で、URが施行する新たな再開発事業が動き出している。その舞台は、歴史ある愛宕山の麓。事業の内容を取材した。歴史ある神社と深い緑の愛宕地区その価値をさらに高める17UR PRESS vol.78愛宕下通りから大鳥居に向かう空間を広場として整備し、参道のにぎわいを生みだす計画だ。※パースはイメージであり、今後の設計及び関係機関との協議により変更となる場合があります。武田ちよこ=文、菅野健児=撮影
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