このPJの一番の特徴は、URが一方的に遊び場をつくるのではなく、団地や地域の人たちに参加してもらい、ともに考えながら遊び場をつくっていく点にある。まず、近隣の小学校や保育園に声をかけ、遊び場や遊具のアイデアなどの意見を聞いた。22年に団地の広場でさまざまな遊びが体験できるイベントを開催すると、2回のイベントに460人も参加。ここで新しい遊び場づくりへの理解を広げ、基本方針の策定へと進んでいった。その結果、人工的な造形物を極力排し、子どもたちが自由に遊べる空間が考えられていった。そこでは36種類の基本的な動きが自然にできるよう配慮されている。子どもだけでなく大人も集い、子どもを見守りながらコミュニケーションの輪が広げられる、そんな遊び場を目指すことになった。向け、年内に3回ワークショップを開催する。6月に行われた「自由な外遊びの大切さを知ろう!」には、団地内外から多数の親子連れが集まった。遠山健太さんの講演があり、子どものうちに基本的な運動スキルを身につけるためには外遊びが大切で、体を動かすことが楽しいと思う環境づくりが重要だというお話があった。その後、参加者は子どもたちが遊んでいる所に移動して、実際にどんな動きをしているのかをチェックした。PJのアドバイザーを務める大妻女子大学社会情報学部教授の木下勇さんは、「遊び場をつくるところから住民の皆さんが関わり、できあがった遊び場を使いこなすことが大事。それが人のつながりを生み、住みやすいまちをつくることにつながるはずです」と話す。このPJでは今年10月の完成にこの日はスポーツトレーナーの7月のワークショップで外遊びのリスクとハザード(遊びの価値としての危険性と、そうでないもの)、ベネフィットについて講演する大坪龍太さんは、「住民の皆さんと対話しながら遊び場を形にしていく、URのこの挑戦を応援したい」と期待を込める。この日の講師を務めた遠山さんも、「こんな遊び場づくりを考えている企業や自治体はありません。期待しかないですね」と言葉に力を込めた。URの持田は、「遊び場ができて終わりではなく、みんなで見守り、育てていけるように、この取り組みをもっと広く発信して、共感の輪を広げたい。そして、この遊び場づくりが一定の成果を上げたら、他の団地にも展開したいですね」と意気込みを話す。期待が高まる遊び場の完成は、10月下旬の予定だ。みんなの意見を聞きみんなでつくる遊び場地域を巻き込み共感の輪を広げたい10UR PRESS vol.78親御さんが講演を聞いている間、子どもたちは団地の公園でのびのび遊んでいた。上/新たな遊び場ができる場所を見学。URの持田から、この遊び場への思いを聞く。右/講演の後、親御さんは子どもたちの遊びの様子を観察。文科省が唱える36の基本的運動スキル(まわる、たつなど)と照らし合わせながら、外遊びが子どもの発達に重要なことを学んだ。「懐かしいけど新しい、魅力的な遊び場づくり」PJのメンバーたち。右から大坪さん、木下さん、遠山さん、URの持田。
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