巻き込むポジションです。誰かが喧嘩していたら、「ふたりで話し合ったほうがいいんじゃない?」と仲裁に入ったり、食事会など話す機会を設けたり。おせっかいな人がいないと、まとまらないと思うからやっているところがありますね。早希も遠慮しているだけでは、家族との絆は深まらないと思っていると想像して演じました。早希が動かなければ、優子との関係はどうにもなりませんから、とにかく巻き込もうと(笑)。優子のお見合い相手のお母さんも差し入れをしたり、何かと世話をやきます。周りの家族も介入してくる距離感の近さは、関西地方らしいと思いました。私の母も関西人でお見合いの世話をよくしていて、何組か結婚するほど、おせっかいです。撮影中に何か心がけていたことはありますか。映画や舞台の主演は、座長みたいな役でもあると思います。みんながまとまるためには、主演が誰よりも作品をよくしようと頑張ることです。一緒によい作品を作りたい、応援したいとみんなに思っ4UR PRESS vol.77映画『あまろっく』は兵庫県尼崎市が舞台です。どのような作品ですか。笑って泣ける家族のお話です。最初に脚本を読んだとき、登場人物に寄り添い、それぞれの心が描かれているので、5人ぐらいで執筆したのかと思いました。私の役は、笑福亭鶴瓶さんが演じる町工場を営む近松竜太郎の再婚相手の早希。竜太郎は65歳、早希は20歳。なんと45も歳の離れた夫婦です。竜太郎には優子という39歳の娘がいて、江口のりこさんが演じています。優子にとって義母は19歳下ですから、親子の年齢が逆転しているし、性格は違うし、何かとチグハグ。しかも優子は早希を受け入れる気がないので、うまくいきません。竜太郎は仕事そっちのけで、近所の人たちと話し込んで遊んでばかりいます。優子は大学を卒業して東京の大手企業にさん俳優就職していましたが、理不尽なリストラで尼崎の実家に戻ってきます。仕事をせずに家にいるニートで、独身。一方の早希は家族団欒を夢見ています。3人がどのようにして家族になっていくのかという物語です。優子と早希の関係は難しいと思いますが、近松家にすんなり飛び込めましたか。はい、入っていけました。自分は早希に似ていると思いました。ちょっとおせっかいなところなど(笑)。早希の気持ちがすごくわかるんです。優子にお見合いをさせようとしたり、家族になるために距離感を縮めたり。早希は家族全員で幸せになること、家族団欒に向かって、まっすぐ進みます。その夢があるからこそ、頑張れる。演じていて、夢をもつことは大事だと思いました。私自身は、家族のなかでは、みんなを「人生に起こることは何でも楽しまな!」私もその精神です中条あやみ小西恵美子=文、菅野健児=撮影
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