ロケハンしたときに、窓から見える、対岸にある建物の存在感と垣間見える生活感が非常に画■になると思いました。また、棟がいくつもあって、その間の通路や自転車置き場などに人の流れがある、空間的な豊かさも感じました。主人公の海野清■澄■が集合住宅の管理人ですので、清掃をしたり、1日かけて敷地の中を移動する、動線のイメージもしやすかったです。さらに敷地内の自然が非常に魅力的で、ここで撮影したいと思いました。また、大通りが近くにあったり、ちょっと見渡せば住宅があって景観も良い。俯瞰で見たときに、まちが想像できる、生活動線が見える、景観の統一性があることが映画を作るときに非常に大切だと思っていますので、平塚の団地はぴったりでした。自分が生まれ育った山形には、集合住 ■■ 宅がほとんどなかったので、22歳で東京に出てきて大きな団地を初めて見たとき、とても興味深く思いました。小説や映画などで描かれる団地に憧れを抱いていましたので。お隣との距離感の近さ、コミュニティーの関係性に、どこかうらやましさを感じていました。むつき潤さんの原作コミック『バジーノイズ』は出版された当初に読んでいました。シンプルな線で可視化された音楽が心地よく、ふわふわ漂って耳に届く感覚がありました。映画化に際しては、音に向き合うチャレンジをしました。主人公が作る音楽は、誰かに届けるためのものではなく、あくまで自分のための音楽。暮らしの原風景や日々の願いのようなものが込められています。その音楽が知らず知らずに誰かの心の助けになっていきます。自分の原風景は山形の自然です。山形で感じてき自然があり生活動線が見える豊かな空間がロケ地の決め手に音の表現にこだわり山形の原風景を投影かざま・ひろき1991年、山形県生まれ。東北芸術工科大学映像学科卒業。AOI Pro.所属。大人気ドラマ「silent」をはじめ、映画、ドラマなど話題作を次々に手がけ、注目を集めている。(撮影:菅野健児)撮影の合間のひとこま。主人公・清澄を演じる川西拓実さん。むつき潤・小学館/「バジーノイズ」製作委員会=写真、妹尾和子=構成25UR PRESS vol.775月に公開される『バジーノイズ』は、音楽表現にこだわり、人間関係の機微を丁寧に描いた青春音楽映画。URの団地、サニーメゾン平塚でもロケが行われました。ロケ地、そして作品へのこだわりを風間太樹監督にお聞きしました。映画のロケが行われたURの「サニーメゾン平塚」。オフホワイトやグレーがかった住棟の外装の色合いなど、全体的にモダンな雰囲気であることも撮影地としての選択のポイントだった。風間太樹監督インタビュー音が心情を物語り、言葉となって届く映画に
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