UR PRESS VOL.77
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東日本大震災から13回目の春。東京都北区赤羽台にある「URまちとくらしのミュージアム」で、「東日本大震災からの復興を語り継ぐ桜」植樹式が行われた。この日、植えられる桜は、東北の被災地で津波を生き抜いた3本。岩手県陸前高田市からは、震災前に桜の名所だった本丸公園のヒガンザクラ。宮城県女川町からは、旧女川第一中学校のヤマザクラと、旧女川第二小学校のソメイヨシノの幼木が選ばれた。支援室の畑裕治は、「2年前にURの津波被災地の復興支援事業が完了した後、被災地の復興の状況を長く語り継ぐきっかけがつくれないかと考え、陸前高田市と女川町の皆さんに相談しました」と経緯を説明した。この2市町は、URが岩手県、宮城県でそれぞれ最大規模の復興支援事業を行った地区だ。「津波を生き抜いた桜を植樹して、それを国内外に発信し復興を語り継ぐレガシーにしたい」はこう話し、陸前高田市、女川町式典を担当したURの震災復興式典の冒頭でUR理事の土屋修から来られた来賓のあいさつが続いた。陸前高田市建設部部長の菅野誠さんは、本丸公園の桜がここに植えられることを喜び、「この木の由来を知って、陸前高田を訪れる人が増えれば、交流人口の拡大につながる」と期待を寄せる。震災直後に地元・陸前高田で小学校の校長を務めた金野美惠子さんは、「まちが復興していくさまを見た子どもたちには、立ち上がって未来をつくる力が備わっている」と話し、女川町から参加した建設課技術参事の小林貞二さんは、植樹する桜は復興事業で道路を拡幅するために伐採した桜を接ぎ木したものだと、その由来を説明。女川桜守りの会副会長の加納純復興のレガシー桜への思いを胸に津波を生き抜いた3本の桜が東京で復興を語り継ぐ2月24日、「URまちとくらしのミュージアム」で、東日本大震災の津波被害からの復興を語り継ぐ桜の植樹式が行われ、津波を生き抜いた3本の桜の幼木が、東京の土に植えられた。AKABANEDA17UR PRESS vol.77武田ちよこ=文、平野光良=撮影上/震災前は桜の名所として市民に親しまれていた本丸公園のヒガンザクラ。来年には花が楽しめるかもしれない。左/「東京やほかの地域でたくさん学び、将来は陸前高田に帰ってまちづくりに携わりたい」と話す松田さん。陸前高田市の本丸公園の桜を植樹した。左からURの土屋理事、陸前高田市の菅野さん、金野さん、松田さん、URの高原 功統括役。式典であいさつするURの土屋理事。I

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