ゲリラ的に豚汁などの炊き出しをすることも。「クチコミだけで人を集めるのがルールで、豚汁がなくなるまで帰れません。せっかくやるなら、おもしろくやりたいと思って」そう笑って話す、防災訓練もゲームのように行う緒形さんたちだからこそ、多くの人をつなぎ、巻き込んできたのだろう。居住者やまちに関わる人が増え、まちの状況が日々変化するにつれ、ってもらって情報を整理して、『そのイベントは、これと一緒にできるよね』と整理したり。URさんが用意してくれた大きな掲示板が、とても助かっています」は、URの情報交流&発信の拠点「なみいえ」に設置されたものだ。「浪江町では把握できないほど活発にイベントが行われていますので、情報を集約する場として、なみいえの入口に大きなボードを設置して一般の方にも開放し、自由に書き込んでもらっています」と浪江町のソフト支援を担当する「これはどこに問い合わせたらいいの?」「いったいそのイベントはどこであるの?」といった声も増えてくる。それらの情報整理の場となっているのが、「なみとも」主催で隔月で開催される「なみえ会議」と、情報交流施設「なみいえ」の情報掲示板だ。「なみえ会議は、まちで活動する団体や関連企業さんとの情報交換会の場です。URさんにも関わ緒形さんの話に出てくる掲示板URの阿久津賀■央■は説明する。東日本大震災の復興支援に長く携わってきた阿久津だが、浪江のプレイヤーの多さ、盛り上がりは驚異的だと語る。そもそも、なぜ浪江町には移住者が多いのだろう?よれば、もともと商売人が多いまちで、祭り好き。人が温かくて、新しい人を受け入れ応援する土壌があることが、移住しやすさに影響しているのではないかとのこと。「ゼロからスタートのまちですから、チャレンジもできるし、必要とされることも多いんです。必要とされるから頑張って応じる。移住者にも居場所があるんです」自分の居場所であるまちをよくしたい。そのような思いを抱く人が増えれば増えるほど、まちは魅力を増すだろう。たとえ困難な課題が現れても、恐れず立ち向かえる。そんなしなやかな強さを浪江町に感じた。緒形さんに■■ここには移住者の居場所がある14UR PRESS vol.77浪江駅の東側に整備中の「なみえルーフ」の完成イメージ図。URが基盤整備を行った。芝生広場を囲んで、建物と大屋根がつながり、エリア内に居住・交流・商業の機能を一体的に配置する。隈研吾さんが総合デザインを担当。2026年度末にオープン予定。上/にぎわいマーケット。URも毎回ブースを出して参加している。右/「なみいえ」の掲示板。個人のヨガ教室からまちのイベントまで、多彩な内容が書き込まれている。取材に訪れた2月はシーズンオフで、書き込みが少ないほうとのこと。下/今年の3月10日に行われたキャンドルナイト。URの阿久津。まちの情報を整理するため、自らSNSで探して掲示版に書き込むこともあるという。
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