UR PRESS VOL.77
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大熊町がキウイフルーツで盛り上がっている、2023(令和5)年秋には、大学生がキウイ栽培のために起業した、と耳にした。それはぜひ話を聞いてみたいと、大熊町へ向かった。訪れたのは2月。青空の下に広がる畑で、さわやかな笑顔で出迎えてくれたのは、今春大学を卒業する原口拓也さんと、春から大学4年生になる阿部翔太郎さんだ。1ヘクタールの圃■場■■に540本のキウイの苗木を植える予定とのことで、その準備をしていた。のは大学に入ってからだ。神奈川県出身の阿部さんは大熊町の人にふたりとも大熊町と縁ができた話を聞いて本にまとめるサークル活動を通して、この地に通うようになった。大阪府出身の原口さんは、友人の誘いで「おおくまハチドリプロジェクト」のアイディアソンコンテストに参加したのがきっかけで訪れた。原口さんはコロナ禍で大学に通えない時期に、大学のある和歌山でみかん農家の仕事を手伝ったのを機に農業に関心をもち、全国20カ所以上の農園を訪ね歩いていたが、まさか大熊町で就農するとは考えてもいなかったという。「それがなぜ?」と尋ねると、「おおくまキウイ再生クラブの活動で出会った関本元樹さんのキウイがうますぎて〜」とニッコリ。「おおくまキウイ再生クラブ(以下、再生クラブ)」とは、5年前にスタートした、震災前に大熊町の特産品であったキウイフルーツの再生に取り組む有志団体だ。URの職員も参加している。かつて大熊町で果樹栽培をし、震災後は避難先の千葉県で栽培している関本さんの指導を仰いでいる。再生クラブで出会った阿部さんと共に、昨年「(株)ReFruits」を立ち上げた原口さん。衝■9大学時代に大熊町に出会うUR PRESS vol.77妹尾和子=文、菅野健児=撮影上/「ReFruits」の圃場。訪れた2月は、キウイの苗を植えるための穴掘りをしていた。キウイはつる性なので這わせるためのワイヤー棚も用意している。右/URが大熊町で運営する交流と実験のための施設「KUMA・PRE」前で。右から「ReFruits」の阿部さん、原口代表、URの島田。将来的には加工品の製造やキウイで大熊町への来訪者を増やしたいという夢がある。大熊町夢はフルーツ王国の復活!キウイ栽培に挑む若者たちOKUMA

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