UR PRESS VOL.76
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アーケードに、ストリートピアノの音が響きわたる。足を止めて音色に聞き入る人、椅子に腰掛けて軽食を食べる人、コーヒー片手に通り過ぎる人……。昨年11月19日、沼津駅前の沼津仲見世商店街で催された、ヒト中心のまちなか創出プロジェクト「OPENNUMAZU」の取り組みのひとコマだ。ーブルなどを置いて、誰もが自由にくつろげる空間に変え、ヒト中心のまちなかを創ろうという試みは、2022(令和4)年にスタート。3回目を迎えた昨年は7月から12月まで半年間、くつろぎ空間が日常になるよう常設化。併せて毎月1回、異なるテーマを設け、空間活用を促進するイベント「OPENNUMAZUWeekend2023」を実施した。11月は「ブック」がテーマ。商店街の象徴的存在だった書店の前を中心に、のべ20店以上の個性的な書店などが出店し、市内外から多くの人でにぎわった。ゆったりと時間が流れる休日のまちなかの公共空間に椅子やテ出店者の一つ「書■肆■猫に縁側」は静岡市から。店主の女性は「中心市街地の活性化の取り組みに共感したのと、県東部の方にもうちの店を知ってもらいたくて」と出店の理由を語る。小学生の子どもと書店をのぞいていた女性は、「このイベントが始まってから、商店街にも頻繁に来るようになりました。来るたびに知り合いも増えて、すごく楽しい。沼津をより好きになれます」と笑顔で話してくれた。「現在、沼津市では、中心市街地を南北に分断していた鉄道施設を高架化する事業など、各種の整備事業が動き出しています。それに伴い、沼津駅周辺の市街地をヒト中心の魅力ある場所へと再生する、中心市街地まちづくり戦略を推進しています。とはいえ、鉄道高架事業などは、15年、20年といった長いスパンでの事業。市民の方に期待を持ち続けていただくためにも、OPENNUMAZUなどの取り組みを通して、まちが少しずつ変わっていく様子を発信していきたいと考えています」と沼津市ヒト中心のまちなかへプロジェクトを開催鉄道高架化と歩調を合わせまちを再編■15UR PRESS vol.76仲見世商店街の知のシンボル的存在だった旧マルサン書店前を中心に繰り広げられた「OPEN NUMAZU2023」。11月は「ブック」をテーマに沼津市内外の書店と軽食などのブースを設置。読み聞かせも行われ、来訪者は各店を回りながら、自然と商店街を回遊する仕掛けだ。阿部民子=文、青木 登=撮影NUMAZU静岡県東部の拠点都市、沼津市。市の中心部である沼津駅周辺では、URの協力のもと新しいまちづくりが始まっている。その取り組みの一つ、「OPEN NUMAZU」から、新しいまちの姿が見えてくる。静岡県沼津市時間をかけてゆっくりとヒト中心の「まちなか」を創る

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